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ブラジルMORHAN ハンセン病回復者組織基盤強化〜2020年度活動報告⑦

笹川保健財団は、2019年より世界で2番目にハンセン病患者が多いブラジルで回復者組織・MORHANの組織基盤強化を支援しています。MORHANは回復者、家族、市民、学生が共に活動を行うボランティア組織で、現在2500人近くがブラジル全国でハンセン病の差別をなくすための啓発活動やアドボカシー活動を実施しています。

本事業は3年間の事業で、MORHANが将来的にブラジルにおけるハンセン病対策のメインアクターとして、政府や社会に働きかけながら制圧と差別撤廃を実現することを目指します。2020年度事業も前年度に引き続き①蔓延州での支部の強化、②ボランティアの研修、③コミュニケーション強化の3つのプログラムを支援しました。

1.支部の強化

12州の16都市にて、新しい支部の立ち上げや、既存支部では支部強化のためのワークショップを行いました。支部が強化されることで、ブラジル全国で活発な啓発活動が実施され、ボランティアが効果的にアドボカシー活動を行うことが期待できます。現在、16の支部から11人のボランティアが自治体や州の保健審議会に入っており、当事者としてハンセンの問題を政策決定の場で伝える機会を得ています。

MORHAN支部の強化 マットグロッソ州クイアバ

2.ボランティアの研修

「コロナ禍とハンセン病」、「人権問題」、「ハンセン病の歴史」など13テーマの教材を制作しました。最初にライブ放送で講師と視聴者の交流や質疑応答の場を設け、その後オンデマンドで発信しました。合計で8000以上の視聴回数がありました。中でも「コロナ禍におけるハンセン病とコミュニティヘルスの役割」のコースは1117回と視聴回数が高かったことから、多くの人にとってとりわけ関心が高いテーマであったことが分かります。

オンライン研修 EAD do MORHAN
ライブ配信①
ライブ配信②

3.コミュニケーション強化活動

SNSやメディアを通した積極的な情報発信を行った他、 Whatsappというメッセージアプリを使ってブラジル全国からハンセン病に関する無料相談を1000件以上受け付けました。さらに、ハンセン病と新型コロナウイルスをテーマにした13人の学者と専門家による寄稿論文集を出版しました。ハンセン病と新型コロナウイルスは差別を伴うという点で共通しており、ハンセン病の教訓を生かしてコロナの分断や孤立が存在しない社会の実現を目指すべきだという内容は多くの人の共感を得ました。

2020年度は新型コロナウイルスの流行で世界中のハンセン病対策活動が混乱し、一時的に中断しました。ブラジルも5月頃から陽性者が急激に増え始め、MORHANのボランティアも数名が感染しました。このような混乱の中でも彼らはいち早く安全に活動を実施するためのプロトコルを作成し、全てのボランティアに共有しました。さらに、コロナ禍で孤立し、気鬱になりがちな回復者に向けたオンラインのライブトークを週に1回の頻度で開催し、励ましのメッセージを送り続けました。このようにMORHANの行動力やボランティアの動員力は優れており、彼らが回復者組織として持続的に活動を続けることはブラジルのハンセン病対策事業にとって大変重要であると言えます。

本事業は2022年3月まで継続する予定です。MORHANがブラジルにおけるハンセン病コミュニティのメインアクターとして、医療的・社会的な様々な問題の解決に寄与できる団体になることを目指して、当財団は引き続き彼らの基盤強化を支援したいと思います。