バングラデシュ

笹川保健財団では、1979年からバングラデシュのハンセン病対策活動を支援しています。

支援開始から1990年代半ばまでの10数年間は、MDTによる治療の推進を中心とした医療面の支援を行っていましたが、ハンセン病の患者を減らす十分な成果は得られませんでした。こうした状況を受け、1993年11月、バングラデシュ政府は世界銀行による資金協力とWHOからの技術協力により、全国ハンセン病制圧プロジェクトを立ち上げました。そしてWHOは1990年代半ば、ハンセン病患者の発見・治療を加速し、感染の広がりを効果的に抑える方法としてハンセン病制圧キャンペーン(LEC)の実施を推奨し、特別予算を組み1997年と1998年に2回の地域レベルのLECを実施しました。1997年9月には政府とWHOによる制圧状況の評価・調査が実施され、その結果を受けて、政府はWHOおよび当財団を含むILEP(International Federation of Anti-Leprosy Associations:国際ハンセン病団体連合)4団体の協力のもと、準備期間を含め1998年から1999年にかけて全国レベルのLECを実施しました。1999年のLECに動員されたスタッフ数は約45,560人でうち保健スタッフと家族福祉スタッフが約2万7,000人、ボランティアが1万4,000人その他NGO職員などが一丸となって行いました。これら一連のLECは、バングラデシュが目標より2年早く公衆衛生上の問題としてのハンセン病制圧を達成することに大きく貢献することになりました。

その後1999年からは、バングラデシュの中でも特にハンセン病有病率が高い南東部コックスバザール地区において、バングラデシュでハンセン病制圧活動を行っているTLM(The Leprosy Mission:英国ハンセン病ミッション)バングラデシュ支部を通じて、同地区住民に対する啓発活動を実施しました。このプロジェクトではNGOや宗教団体のネットワークを活用して、同地区以外にもこの活動の成果を波及させることにも務め、大きな成果を得ることができました。

さらに2010年以降は、ハンセン病に対する偏見・差別が極めて厳しい状態にあるバングラデシュ北西部にあるディナジプール県において、TLM バングラデシュ支部を通じて、グループベースでの包括的自立支援を計画し、回復者だけでなく、その他の障がい者を含む自助グループを形成し、各グループのリーダーに、人権やビジネスなどの各種トレーニングを実施し、回復者自身のイニシアティブでグループごとに少額融資や奨学金の運営などができるように支援しました。

近年では、2017-2018年度にLepraバングラデシュ支部を通じて、北部のボグラ県においてハンセン病の回復者や障がい者、特に女性や子供たちのために活動をおおなっている自助グループに対しての栄養教育の実施支援を行いました。