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被ばく医療の研修

先日、原子力規制委員会が、原発などの事故時の対応の中心となる「原子力災害拠点病院」の医師らを対象とした新たな研修制度を平成31(2019)年度に導入するとのニュース産経毎日がありました。【なお、平成は30年で終わるのですが・・・・】

また、その計画では、放射線医学総合研究所(千葉市)を「基幹高度被曝医療支援センター」に指定し、人材育成や内部被曝対応の中心的役割を担わせるとあります。当然、これらの計画は、先の東北大震災時に生じた東京電力福島第1原発の事故で、いわゆる被曝医療が十分機能しなかったからですが、すでに2015(平27)年に、原発関連施設の30Km圏内にある24道府県には、原子力災害拠点病院を指定することを義務化しています。が、なお8府県が未指定だそうで、しかも原子炉施設等を立地しているにもかかわらず、指定していない自治体が、神奈川、新潟、石川、静岡、岡山の各県と大阪府だそうです。ただし、各自治体が指定している原子力災害時の拠点病院や原子力災害医療協力機関は258もありました。

災害とは、人智を尽くして備えていた対策を凌駕するから災害なのです。どれほどの対策を講じていても、必ず、それでは間に合わないというか、想定外の事態がおこります。東北大震災以来、堤防や耐震免震対策は進みました。が、物理的構造的対策ができたからと云って、ノホホンとしていても良いということではありますまい。同様、指定された施設があるから良い訳でも、専門家がいるから良いのでもありません。

私たち住民自身が、海に近い、火山がある、峻険な崩れやすい山の傍だとか、何度も氾濫した河川に近いなどなど、それぞれの地域の特性を知っておく必要がありましょう。最近では、各地でそれぞれのハザードマップ(危険地図)が用意されています。

いずれにせよ、放射線災害は、きわめて稀である一方、生じた時の対応はとても困難を伴います。その意味では、いくら準備しても十分ではないとも申せますが、他の自然災害に比べて、全国的な統一された対策、一定規格の研修を繰り返し行う意味は大きいと思います。

遅きに失することはない、是非にと思いつつニュースを読みながら、私ども笹川記念保健協力財団が行ってきた学生研修へ思いを馳せました。私どもは、2014年から、福島医大、長崎大学の協力を得て、福島県で保健医療系および工学系の大学・院生対象の、1週間の研修を行っています。東京電力福島第二原発発電所の見学(事故があったのは第一)他、川内村、富岡町、飯館村の被災地実習をはじめ、それぞれの専門家のコンパクトな講義からなります。詳しくは、私どものホームページをご覧頂きたいのですが、4年間で78名の学生諸氏が、基本的実習を含め、放射線災害対策に触れてくれました。その多くは、既に大学を卒業して、実社会で専門家の道を歩んでいます。彼らの得た知識が役に立つ日が無いことを願いますが・・・今年は8月6日からです。ご関心の向きは是非ご参加を。