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沈黙は金-銃社会の中での勇気 エマ・ゴンザレスさんのスピーチ

紛争地だけでなく、「武器あるところでは、必ず、それは使われる」と、その昔、仕事上のお付き合いを余儀なくされていたアフガニスタンのムジャヒディン(聖戦士)ドノは髭をなでながら、のたまいました。「武器は、使われるためにつくられるものだから」とも。

紛争地への文民派遣で、パキスタンのペシャワールに赴任し、ようよう家が見つかった後、現地の方々から護身用の銃を貸してあげると、私には、ありがた迷惑なお申し出を頂きました。初めて、中国製のピストルやロシア製のカラシニコフライフルを手にしました。どちらも、重くて、映画で見るように格好よく、一発で敵を倒すことはできないな、というのが私の素朴な感想でした。それでも、やはり何らかの護身具は必要との職場の勧告もあり、結局、スタンガンを持つことにしました。英語でstunは一瞬気絶させるほどのショックを与えることで、それにgun銃が付いている通り、銃のように理解されていましたが、実際は、現在の携帯電話程の大きさで、着衣の上から、相手の身体に押し付けて、強力電力を放出するものでした。最近では、各所に設置されている心停止時の電気ショック、通称AED(Automated External Defibrillator自動的体外式除細動器)も理屈は同じです。

4月4日、アメリカカリフォルニア州サンプルーノにあるYou-tube本社で銃乱射があり、犯人の女性は自殺したと報道されました。またもや、です。

去る3月14日、同じくアメリカでは、フロリダ州南部ブロワード郡パークランドというところにあるマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で、元生徒が銃を乱射、17人が亡くなり、十数人がけがをさせられました。その後、アメリカ各地では、100万人以上の学生、生徒と教員が銃規制のための「私たちの命のための行進(March For Our Lives)」を行いました。3月24日にはワシントンD.C.で20万人規模の集会が開かれ、フロリダの高校での銃乱射事件を生き延びたエマ・ゴンザレスさん、生徒代表としてスピーチをしました。彼女は、こんなことが起こっているのに、なお、銃規制に取り組まない政治家を非難し、亡くなった17人の名前と誰それは二度と何々をすることができないと涙ながらに訴えました。そして突然の、少し長い沈黙が始まりました。ほとんど瞬きもせず前方を凝視、時折、涙をぬぐうエマさん。そして沸き起こる「二度と起こすな!(Never again!)」の大合唱。

最後に、沈黙を含む6分20秒の後、くしゃくしゃに顔をゆがめた彼女はこう締めくくりました。「このたった6分ちょっとの間に、私の友人17人の命が奪われたのです。」そして、「誰かの仕事と他人任せにする前に、自分の命のために戦いましょう(Fight for your lives, before it’s someone else’s job)」と。

素晴らしいスピーチでした。沈黙が始まった時、何?と思いました。

少し状況は違いますが、諺を思い出しました「沈黙は金、雄弁は銀(Silence is gold, eloquence is silver)」

BBCの要約日本版 には翻訳が付いています。

 

世界的注目を集めた銃規制運動の中心的存在となったエマさんたちは、表紙を含め、アメリカ版Time誌2018 April 2号fakeニュース にも取り上げられるなど、ひとつの運動のリーダーとして、多事多難の様にも思えます。けど、例え、大統領が「教師が銃を持って戦え!!」などとおっしゃっても、自分たちの将来を真剣に考える若者が力を持っているなら、揺るがない開かれた民主主義社会が存在しているのだと信じられます。