JP / EN

Chair's Blog 会長ブログ ネコの目

猫イメージ

9月11日のこと

9月11日は、9.11英語風にはSeptember 11th(セプテンバー イレブンス)として人々の記憶にあります。

11年前のこの日、帰宅してつけたTVには、黒煙を上げるアメリカニューヨークの世界貿易ビルの一棟が映っていました。あれっ?ニュースではなくて、映画?と一瞬思い、チャンネルを確認した時、もう一機が、他の貿易ビルに激突しました。

書類入りの、やや重いカバンをぶら下げたまま、私は呆然と、突っ立ったままTVを凝視していました。ニュースキャスターが、「ビルが燃えています・・・」といったような、見ればわかることを繰り返していました。映像はあるけれど、読むべきニュース本体がなかったのでしょうか。もちろん、後には、「ご覧いただいているのは、信じがたいですが、本当に起こっていること…」といったような解説もありましたが、やがて映った当時の首相の一声が「怖いね・・・」だったことも併せて、不適切な云い方!!とちょっと、怒りを覚えたことを記憶しています。が、「アメリカ同時多発テロ(現地では9.11攻撃)」をライブで見た日でした。

凶器はハイジャックされた4機の民間航空機。ハイジャックし、航空機を乗っ取る際、操縦者やキャビンアテンダントを殺めるには何らかの武器を使ったでしょうが、この史上初の先進国大都会での大量殺害には、いわゆる戦場で使われるような武器兵器は使用されていません。何ということが起こったのか、いえ、起こりつつあるのか、でした。

2001年9月11日の(現地)午前8時45分と9時3分、ニューヨーク マンハッタンの双子の貿易ビル、そして9 時43 分にはアメリカ国防省本部 通称ペンタゴンへの突入(10時10分、一機はペンシルバニア近郊に墜落)は、長い時間をかけた周到な準備の上に実行されて未曾有のテロでした。

アメリカでは、「テロとの闘い」が合言葉になりました。国際社会というある意味実態のわからない存在も、それに呼応しました。わが国も、です。そのこと自体はやむを得ない…と、多くの人々が思いました。未だ他国から攻撃を受けたことのないアメリカ本土で、武器を使わない仕掛け、攻撃が数千の命をほふり傷つけたのですが、当時、一般には、誰が仕掛けたのかは明確でなく、したがって、誰に対して「報復」すれば良いのか…

この「事件」、自由の国アメリカが受け入れた異国からの若者が、そのアメリカで航空学校に通い、小型飛行機の操縦を習得し、近代的フライトシミュレーションをつかって、さらに大型機の操縦法を学習したということ自体、アメリカにとっては大きなジレンマであり、犠牲となった方々のご家族には受け入れがたい自国の自由でありましょう。

商業のシンボルとともに、国防の中枢ペンタゴンが狙われ、最後の一機は墜落したものの、政治の中枢ホワイトハウスともされました。何という、途方もないことを計画し実践したのでしょうか!!何故、これほどの大掛かりな企画が気付かれずに進行したのでしょうか?当時、既にアルカイーダに対する警戒はあったようですが、とにもかくにも、誰も考えつかなかったことだったのでしょう。

あれから15年、世界各地では、(国際社会による)いくつかの正義の武力介入が行われました。
サダム・フセインのイラクは無くなり、アルカイーダを作ったオサマ・ビン・ラディンも殺され、タリバンも往時の勢力は無くなりました。アラブの春もありました。が、紛争は無くならず、ウクライナのクリミア自治区はロシアに編入され、イスラム国が生まれ、ヨーロッパ各地では、市民の憩いの場でのテロが頻発しています。そしてそのヨーロッパへは、シリアやアフリカからの避難民が続々と押しかけています。イギリスがEUを離れたBrexitもその余波でしょうか。

9.11の前年、2000年9月、21世紀へと千年紀が替わることを期して、全世界が、2015年までに達成しようと合意したのが国連開発目標(UNMDGs)です。その8項目の内、3つは子どもの死亡率の低下、妊産婦の健康改善、マラリア・結核・エイズ対策という直接の健康問題、その4つは貧困と飢餓の撲滅、基礎教育、女性の立場、環境という間接的ながら健康に関係する事項でした。最後の1項は開発協力の仕組みですから、過去15年間、世界が目指したのは地球上の人類の健康の達成でした。
それらの幾分は相当改善したものの、2001年以来、世界で起こっているあまりにも多くの血生臭い出来事を考えると、一度、地球上の出来事への取り組み方をまるごと考え直さねばならないのではないか、考え直した方が良いのではないかと思いませんか?あまりにも進歩した武器、身体的健康と、精神的なそれの乖離<カイリ>、世界中に蓄積されつつあるらしい鬱々としている若者たち。

それは不可能と云いきる前に、テロリストが企画した途方もないやり方を想えば、悪意ではなく、何か面白いことを仕出かそうとの企画などに不可能なことはありえないのではないかと・・・

昨日、アメリカでは荘厳なメモリアルが行われました。9.11の犠牲者とそのご家族に改めて哀悼の意をささげます。