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世界の高齢化対策の先端

WHO(World Health Organization、世界保健機関)は、1948年、スイスのジュネーブに、「すべての人々が可能な限り、その能力を発揮できるための、最高の健康水準に達すること」を目的として設置された国際連合の専門機関です。日本人で、初めて国連のトップに就かれたのは、1988年から二期10年のWHO事務局長を務められた故中嶋先生です。私は、先生の最後のご勤務の時代に緊急援助部に奉職し、わずかの期間でしたが、ご指導を受けました。
ジュネーブは、多言語国スイスのフランス語圏なので、現地では、 Organisation Mondiale de la Santé (世界の衛生の機関)、略してOMS(オーエムエス)とも呼ばれます。よく知られている「身体的、精神的および社会的(福祉的)に完全に良い状態で、単に疾病がないとか、病弱でないことではない」という健康の定義はWHO憲章の前言に書かれています。
そのWHO関連の研究センターが神戸にあります。
1995年に設立され、現在は、社会、経済、環境と健康の関連を研究していますが、来年2016年からの10年は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(Universal Health Coverage、国民皆保険など、すべての人に保健サービスが行き渡ること)とイノベーション(保健に関する革新)、高齢化に重点をおいた研究を目指すそうです。その魁でしょうか、WHO神戸センターでは、2013年に続いて、「高齢者のためのイノベーション」と題する第2回グローバルフォーラム(世界からの参加者の得た集会)が開かれています。今回のテーマは「明日を見据える(IMAGINE TOMORROW)」、その初日に参加しました。
高齢化、高齢者は、現在、洋の東西を問わず最大の、と申して過言でないトピックです。そう云えば、10月1日、ジュネーブのWHO本部から、「高齢化と健康に関するワールド・レポート」が発刊されています。その日本語要約もダウンロード可能です。
さて、初日、靴の色など、様々な条件での種分けが指示され、組み合わされ、参加者が入り混じり話し合うネットワーキング・セッションから始まりました。私は、ベトナムの高齢者NPO代表、シンガポールの医師でNGOの役員、ブラジルの公衆衛生学者、オーストラリアの高齢問題研究者、日本の医療機器メーカー技師、日本の経済学者らと話しました。
たった2セッションしか参加できませんでしたが、とても興味深い発表や意見交換に、ちょっと興奮しました。と申すのは、「地域密着型ケアのモデルについて」の、その1「地域社会(コミュニティ)のメンバーの参加を得る」でも、その2「保健医療ケアと社会的ケア制度の統合」でも、現在、私どもが進めている「日本財団在宅看護センター企業家育成事業」という、看護師による、地域保健のハブになりうる機構の管理運営者育成と、その研修修了者の実践、現在、10地域に広がった実地の活躍は、多分、世界モデルになりうるとの感触を得たからです。
地域/コミュニティのメンバーをどう網羅するか、家族、近隣、地域の各種保健分野の専門家による多職種連携により、適正で科学的なケア(治療cureキュアではなく)を、継続することの重要性、また、高齢者のもつ身体的疾患や不健康対策だけではなく、まるごと一人の人間の生活、存在を、誰が、どのように支えるのか、誰が何を分担するのが良いのか・・・後1,2年もすれば、大都市型、中都市型、都市近郊型、農村型あるいは漁村型などなど、色々な地域ケアの在り方の見本を提供できるのだろう・・・と、ワクワクしながら発表をうかがいました。早く、研修修了生ご一同と、参加できるようになりたいものです。