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21世紀は看護師の時代

笹川記念保健協力財団の活動の柱の一つとして、1998年より15年にわたり緩和ケアに携わる看護師育成を行ってまいりました。医師対象の研修支援は、2001年に開始し、現在も実施しております。
私事、古い話で恐縮ですが、岸本英夫先生の「死を見つめる心」は学生時代に、キューブラ・ロスの「死の瞬間」は駆け出し小児科医時代を終わる頃に読みました。少し重いところでは、澤瀉久敬先生の「医学概論シリーズ」は学生時代から新米医師の頃、先生に直接お目にかかってご指導を受けた時期もありました。そして70年代末、留学先のアメリカノースカロライナで、現地初のホスピス開設時にボランティアもさせて頂きました。が、緩和ケアが活発になる頃には、国際保健専業で、紛争地めぐりが多く、以来、この分野の知識が乏しいまま、現職に就きましたので、目下、知識は獲得中とは申せ、実践はかなわない身と申さざるを得ません。
その長い「ホスピス緩和ケア研修」に続いて、弊財団では、来年度、在宅看護施設を運営できる、ちょっとシニアーな人材の育成を始める予定で、鋭意、準備をつとめています。
一方には、先進工業国日本に発生した東日本大震災-地震、津波そして原子力発電所の問題もありますが、世界的高齢化とともに、高度先端技術の行使ばかりを求めてきたかのような治療優先の保健医療サービスを考え直さねばならない機運も生まれています。数日前に出た、アメリカ Nurse.Comには、看護実業家でもあるDonna Cardillo氏の、エエッ!!と思う予測が記されています。
そもそもが高額医療であったがためかもしれませんが、アメリカでは、2020年までに、現在の病院の1/3が閉鎖されるだろう、そして看護師は新しい分野に転進するだろうとあります。病院は、とてもとても重症者に限り、一方、リハビリやホスピスを行うところが出てくる、そして学際的チームによって運営される患者中心のメディカルホームや、健康に関する諸々を行う施設、看護師が運営するヘルスセンター、リテイルクリニック(小売り屋診療所、日本式にはコンビニ診療所?)、そしてホームヘルス(在宅ヘルスケア)などなどの可能性を挙げられ、看護師は、マネージメント、コーディネーションに廻ればよいとされています。しかし、嬉しい情報も記載されています。Donnaさんは、世論調査で有名なギャラップ社が、1999年調査から看護師を含めるようになって、常に高い評価を受けているのだから、看護師の時代だ!!と述べておられ、常々、21世紀は看護師の時代と吠えてまいりました私としては、わが意を得たりとの思いで、この記事をご紹介します。
岸本英夫 「死を見つめる心」講談社文庫
澤瀉久敬 「医学概論」 誠信書房
E・キューブラ・ロス  「死の瞬間」「続 死の瞬間」読売新聞