ハンセン病とは About Hansen’s Disease/Leprosy

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ハンセン病とは

病原

ハンセン病はらい菌(Mycobacterium leprae )による慢性の感染症です。
感染後平均3年、長い場合には20~30年という時間の経過後に、まず皮膚や末梢神経に症状が現れます。しかし、らい菌は感染力が非常に弱い上に、95%以上の人がらい菌に対する免疫力を持っているので、たとえ感染しても自然治癒し、発症することは極めて稀です。免疫力が不完全な乳幼児や身体が衰弱している人が、未治療の患者と緊密で頻繁な接触を長く続けた場合以外では、ほとんど感染・発病にはつながらないとされています。

診断

一般的な初期の症状は、皮膚に現れる斑紋です。
この斑紋は身体のどこにでも現れ、白または赤・赤褐色で、平らなものと、隆起したものがあります。この斑紋には知覚(痛み、温度、触れる感じ)がなく、この特徴が、草の根レベルの保健職員がハンセン病を診断するときの判定基準となっています。この他、末梢神経の肥大や麻痺、その結果としての筋力低下、皮膚標本に抗酸菌が見つかる事も診断の判定基準となっていますが、より専門性が必要とされます。

治療

リファンピシン、ダプソン、クロファジミンの3剤からなる多剤併用療法(MDT)が最も効果的且つ安全で、服用の簡単な治療法です。
MDTには大人用と子供用(10~14歳)の2種類があり、1か月分(28日分)の服用量が1枚のブリスターパックに包装され、裏面には服用する順番に番号が書かれ、間違わずに服用できるように作られています。

多剤併用療法(MDT)の内容

ハンセン病は、診断時の斑紋数などにより、多菌型(MB)と少菌型(PB)に分けられ、治療期間がそれぞれ12か月と6か月と異なります。治療薬は全世界どの国でも無料です。

多剤併用療法(MDT)の内容

予防

現在、無症状の感染者を診断する方法が無いため、感染の可能性が高いとされる新たに診断された患者の家族らに対し、リファンピシンの1回投与がWHOにより推奨されています。

後遺障がい

ハンセン病は、治療の開始が遅れたり、治療を中断したりすると、抹消神経が障がいを受け、手足・顔面の知覚麻痺や筋力低下などの身体的な障がいにつながります。このため、早期診断と治療は極めて重要ですが、長期に渡る治療となるため、周囲の理解とサポートもまた同様に重要となります。

治療の移り変わり

~1941年 大風子油

治療の移り変わり
大風子油

インド原産の大風子の種から作られた大風子油が、筋肉注射として広く使用されました。
注射時の激痛、症状が再発しやすい、有効性が不確かであるなどの問題がありました。

1943年~ プロミン

プロミン
プロミン

1943年に、アメリカ、カーヴィル療養所のファジェイ博士によりプロミン(スルフォン剤)のハンセン病に対する有効性が報告され、「カーヴィルの奇跡」といわれました。日本では石館守三博士(笹川記念保健協力財団初代理事長)が1946年に合成に成功し、1949年から広く導入されました。1950年代以降は、静脈注射のプロミンから有効成分を抽出して経口剤としたダプソンが世界的に使われるようになりました。

1981年~ 多剤併用療法(MDT)

1960年代以降報告されるようになったダプソン単独処方による耐性菌の発現に対処するため、新しい治療法の開発が進められました。 1981年、WHO(世界保健機関)の研究班により、リファンピシン、ダプソン、クロファジミンを併用する治療法(MDT)が、ハンセン病の標準治療法として確立されました。 その後もWHOの研究班は、薬剤の組み合わせや治療期間について調査と研究を続けており、2018年現在、3剤を併用する同一処方を少菌型は6か月、多菌型は12か月服用することが標準となっています。

ハンセン病の制圧

明確な目標

1991年5月、第44回世界保健総会において、2000年末までに公衆衛生上の問題としてのハンセン病制圧(人口1万人当たり患者を1人未満とする)を達成することが採択されました。 公衆衛生上の問題としてのハンセン病の制圧

人口1万人当たり患者数が1人未満になること
明確な目標を設定したことにより、蔓延国の政府は、ハンセン病対策を国の保健政策の上位に位置づけ、それに必要な予算と人的資源を投入するようになりました。またNGOも、同じ目標のもと蔓延国政府やWHOとの協力関係を強化し、連携の取れた活動を推進したことから、短期間で多数の患者を発見、治療をすることができました。

治療薬の無料提供

ハンセン病制圧活動の世界的な展開に一層の推進力を与えたのは、治療薬MDTの無償供与が全世界的に実現したことでした。
1994年7月、第1回ハンセン病制圧国際会議(於ハノイ)で、笹川陽平日本財団理事長(当時)は、1995年から1999年までの5年間、毎年1,000万ドルずつ合計5,000万ドルを、MDT購入資金としてWHOに供与し、世界中のどこでもハンセン病治療薬が無料で入手できる途をひらきました。2000年からは、製薬会社ノバルティスが治療薬の無償供与を引き継いでいます。

制圧活動の進展

記録のある1985年時点で世界の患者は500万人を超えていましたが、2018年現在20万人台まで大きく減少しました。 この間、2000年末には世界レベルで、2011年末にはブラジルを除く全ての国レベルで公衆衛生上の問題としてのハンセン病制圧が達成され、今日までに、全世界で1,700万人を超える人がMDTによってハンセン病から回復しています。 しかし、ここ10年ほど、1年間に新しく診断される患者数は20万人台で変わらず、制圧活動の停滞が問題となっています。患者が大きく減少したハンセン病への関心は、各国政府内や医療従事者の間で低下しつつあるため、制圧活動を困難にしています。

制圧活動の進展

第1回ハンセン病制圧国際会議でMDT無償供与を発表した笹川陽平日 本財団理事長(当時)

制圧活動の新しいステージ

感染を100%予防する方法は現在ないため、新たな患者は今後も長い期間発生すると専門家は予測しています。このため、将来に向けた制圧活動の維持が強く求められています。
2011年、WHOは回復者のハンセン病サービスへの参加を促進するためのガイドラインを発表しました。患者発見、治療前・中・後の患者サポート、偏見・差別をなくす社会啓発などのあらゆるハンセン病対策にかかわる業務に、回復者が直接参加することが質の高いサービスの提供につながることが期待されます。
2013年7月、WHOと日本財団は、ハンセン病蔓延国(17か国)の保健大臣を招聘し、タイのバンコクで国際ハンセン病サミットを開催し、「ハンセン病のない世界」の実現に向けて各国が積極的に取り組むことを確認した「バンコク宣言」を共同で発表しました。2016年、WHOは世界各地で進行中の、ワクチン、早期診断法、新しい治療薬などの研究開発の評価を開始しました。その結果、2018年6月、「ハンセン病の診断・治療・予防に関するガイドライン」を策定しました。
WHOは5年毎にハンセン病対策にかかわる世界戦略を発表しています。現在の世界戦略(2016-2020)では、以下3つの目標を掲げています。
①診断時点で既に障がいを持つ新患者を人口100万人当たり1人未満とする
②診断時点で既に障がいを持つ子供の新患者をゼロとする
③ハンセン病に関する差別法を持つ国をゼロにする

制圧活動の新しいステージ
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