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私たちはアジア人!!  財団開祖の「人類は、皆、(兄弟)姉妹」を思い出した第5回日中韓看護学会

3連休に、第5回日中韓看護学会が、国連大学で開催されました。

三つの国の看護協会会長のご講演も基調講演も、参加できた特別セッションも、皆、興味深いものでしたが、まず、私の受けた、的外れな印象です。

かつて国際保健業に携わっていた頃、砂漠近くの、日干し煉瓦造りの要塞のようなお住まいで、ターバン風のかぶりもの、黒々と伸びた髭の、いかめしい顔つきのアフガニスタンの部族長老が、「ワシらアジア人は(We Asian are・・・)・・・」と仰せになった際、ちょっとギョッとしました。当時の仕事柄、“We”と仲間に入れて頂くのは、ありがたいことでしたが、精悍だっただろうその長老とその遺伝子を継がれたであろう鷲のような容貌の一族たち(女性は姿を見せない)と、軟弱で平坦な顔つきの私のどこに、あるいは何が「アジア人」としてくくれるのか、と思いました。

第5回日中韓看護学会で、参集された約300名の看護専門家を拝見していて、久しぶりに、「私らアジア人!!」と思いました。黙っておれば、どなたがどの国からか、まったく判らないほど、雰囲気は類似していました。国籍や年齢を超え、ユニバーサルに共通する看護という責務が、そのような感じを与えるのか、あるいは、この三カ国には、国籍、人種、専門性をも超えた共通の趣があるのか、定かではありませんが、一見では、「コンニチハ!」、「你好(ニィハオ)!」、「안녕하세요(アンニョンハセオ)!」のどれを使うか、ほんとに戸惑いました。おしゃれや、私のような白髪隠しの毛染めもありましょうが、皆、髪の毛はマッ黒。アフガンのような厳しい容貌ではなく、ややフラットな鼻梁、穏やかなお顔つき、まさに“We Asian nurses!”でした。そして皆、キラキラ輝いて見えました。

笹川記念保健協力財団の開祖笹川良一翁の「世界は一家、人類は皆兄弟姉妹!」を実感した一日でした。

われらアジア人の日中韓の看護師諸氏 記念撮影

講演会場でも、ちらほら、旗袍(チイパオ)をお見かけしましたが、懇親会での中国組は、概ね民族衣装、残念ながら、韓国のチマチョゴリや日本の和服は皆無でしたが。

これもその昔、部族が多い国では、それぞれの言語の統一ではなく、植民地化された場合、英語やフランス語といった外来語が「共通言語」つまり「公用語」になりました。中韓の専門家では、日本語の堪能な方もおいででしたが、対話は英語・・・もし、3カ国が一つにまとまったら、公用語は英語…しっくりこないですが。

さて、笹川記念保健協力財団では、日本看護協会の要請にこたえて、「日本財団在宅看護センター起業家育成事業」一期生で、岡山市で「訪問看護ステーション 晴」を経営している赤瀬佳代氏が、特別セッション「高齢者ケア」で、発表しました。典型的でもあり、また、多様な問題を抱えた在宅療養者の経過を述べつつ、今後、ますます必要度が高まる地域包括医療サービス制度における看護の役割、あり方を述べました。

予想通りとも申せますが、高齢者ケア、就中、在宅に関して、世界の先頭を走っているわが国の第一線在宅/訪問看護師の、vividな(実際に目で見るような)発表に、中韓両国から、実際の看護、家族への対応、経費、保健制度、人材育成のあり方等々、多数の質問がでました。そして、すでに在宅看護事業所を経営している韓国の看護師とShin看護協会長から、是非、視察に!!とのお言葉も。「日本財団在宅看護センター起業家育成事業」は、開始当時から、国際展開を想定してはいますが、実際に訪問したり、受け入れたりすることが予測よりも早く動くかもしれないと、ちょっと焦り、ちょっと興奮しました。いずれにせよ、中国の65歳以上人口は既に2億4千万と日本と韓国の総人口よりも多く、何よりも世界最大の人口を抱え、最速高齢化過程に入った、日・中・韓3カ国です。

「われわれアジア人」として、世界の高齢者ケア、在宅ケアの適正なモデルを構築したい、しなければならないと痛感しました。赤瀬さん、ご苦労様でした。

中国、韓国の発表者と質疑に応答する赤瀬氏