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「知ろう、考えよう、伝えよう」ハンセン病の歴史から学ぶ人権

この素晴らしいタイトルは、遺憾ながらハンセン病対策を行っている私ども笹川記念保健協力財団の催しのそれではなく、昨日2017年11月12日、長崎大学文教キャンパス中部講堂で開催された『文部科学省未来医療研究人材養成拠点形成事業「リサーチマインドを持った総合診療医の養成」』の一環として開催された『長崎大学「夢への架橋」チャレンジ・プロジェクト 学生企画』の市民公開講座のものです。

もひとつの感動は、まるでわがハンセン病対策プロ(と自称?の)財団主催のような会を企画運営してくださったのが、長崎の二つの大学の学生諸氏だったことです。

もちろん、長崎大学は、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 地域包括ケア教育センター長永田康浩先生、長崎純心大学は医療・福祉連携センター長潮谷有二先生が関与しておいでではあるのですが、お二方とも、要所要所のお気配りはみえましたが、学生諸氏のお邪魔にならないように、ちょっと控え目すぎるくらいに紛れておいでであり、それも新鮮な感動でした。で学生諸氏とは、長大の医学部医学科、保健学科、教育学部、純心は地域包括支援学科という2大学各専門分野からの男女が混在する長崎多職種連携・たまごの会のメンバーです。

タイトルの、知るの「知」、考えるの「考」、伝えようの「伝」の文字を入れたパワーポイント発表も、素直で、しかし深い洞察のある、学ぶこと多い発表でした。

ハンセン病は、確かに数十年前に比べて新患の数は減りました。が、この病気をめぐる問題は、まだまだ、奥深く、解決には長い道程があります。忘れられた熱帯病と呼ばれる一群の疾患の中でも、さらに忘れられがちとされるが故に、日本財団笹川陽平会長は、WHOハンセン病制圧大使として、今日も明日も、世界をめぐって啓発活動されているのです。が、ここ長崎で、日本の若者が、自ら立ち上がって、問題の本質に取り組んで下さっていることを目の当たりにして、本当にうれしく、誇らしく思いました。

数十年前の、世界の新患が毎年何百万の時代からみると、多剤併用療法によって、また、多様な啓発活動の成果もあって、現在の世界のハンセン病新患数は、毎年20数万に激減しています。しかし、この病気をめぐる生物医学問題もハンセン病問題という社会倫理的問題も、まだ、解決には長い道程があります。が、日本の若者は、それに立ち向かっているのです。

混とんとする世界の中で、人権や平等、また民主主義は公正と云った、みえないものの価値を追及する若者がいる国、日本を改めて誇らしく思いました。
皆さまありがとう。