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第4回「日本財団在宅看護センター」ネットワーク 北欧研修とちょっとイライラ

この研修も第4回目となりました。
すでに、40名弱のネットワークの仲間が、ここフィンランドと近隣国の高齢者保健施設、ネウボラと呼ばれる子ども及び家族への支援体制の現状、そして各種暴力から逃れるためのシェルターを見学しています。今回も12名が参加下さいました。

17日午前6時という早朝集合でしたが、さすがに夜昼ないケアに明け暮れている在宅看護の猛者たちは爽やかな笑顔で集合してくださいました。ウクライナへの攻撃を続けるロシア上空は飛行できないため、以前の羽田‐ヘルシンキ便より2、3時間長い、北極近くを飛ぶ12時間余の滞空時間でしたが、ヘルシンキ着は同日15時前でした。

そして、毎回のことですが、ヘルシンキ市の中央図書館の会議室をお借りして、現地でこの国の看護・保健政策を研究中の久末智実さんのオリエンテーションから始まりました。
北欧・フィンランドでも看護師不足が問題で、英語圏からの看護師希望者を受け入れるため、看護教育にも英語化がなされるなどの対応がされているそうです。

全員、ほぼ初対面でしたが、和気藹々〈わきあいあい〉に加えて、喧々諤々〈けんけんがくがく〉、2時間のオリエンテーションでの質問議論は夕食まで引きずりました。

2日目、ヘルシンキから北に向かって延びる幹線道路を1時間半、首都ヘルシンキから100キロメートルのハメーンリンナに向かいました。この街は13世紀の十字軍時代に築かれたハメ城を中心に発展したそうですが、今もVanajavesi湖(何と発音するのか!?)とヨーロッパ風のお城とは似て非なるお城がきれいです。雲のかけらもない真っ青の空と湖。湖岸でサンドイッチのランチを頂きましたが、次々の中年?以上の男女が現れ、たんぽぽの上に持参の布を広げて、日光浴をなさいました。湖畔とはいえ、街中で裸に近い姿になること・・・オッオッ!と思うのは日光に恵まれている日本人の私、こちらの方には絶好の紫外線浴の機会なのでしょう。

北欧三国とフィンランドの首都ヘルシンキ周辺

が、ハメーンリンナの人口は7万人弱・・・ヘルシンキを含めてどこもそれほど人込みはありませんから、人目を気にすることもないのかもしれません。それもそのはず、日本の9割程度の国土にわずか550万人が住んでいるのですから、人はパラパラです。

見学研修の成果は、いずれ報告書を書きますが、ちょっと十字軍で脱線します。

ハメ城(Wikipediaより)
Vanajavesi湖岸
Vanajavesi湖

こちらに着いた日の午後、5月2日に亡くなられたヨハネ・パウロ2世の後を継がれるレオ14世の就任式がライブ放映されました。新しいローマ法王レオ14世は、初めてのアメリカ人法王だそうです。実は、1969年と申しますから56年前のクリスマスイヴの前日に、世界一小さな国であるバチカン市国に行ったことがあります。もちろん国全体が世界文化遺産ですから、どっちみてもこっちをみても有名無名な宗教美術ばかりですので、はっきりと覚えているのはシスティーナ礼拝堂のミケランジェロの『最後の審判』を見たことだけですが、あの壮大な広場に20万人の人々が集まられたそうです。見渡す限り、人で埋まっている広場・・・20万の人々が祈りを捧げているその放送のテロップの下に戦争の情報・・・

20万人が一斉に祈っても平和は来ないのに、一人、二人の為政者が決断したら、果てしない暴虐が起こせる・・・民主主義は生きているのでしょうか?

モヤモヤと思いながら、ヘルシンキの街を歩きました。この国、サウナが有名ですが、高齢者施設の地下にはシェルターすなわち防空壕があります。なんかおかしい世界です、何とかならないのでしょうか?私たちは何をしなければならないでしょうか?

BBCニュースより
ガザの戦争の情報を流すテロップ