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Chair's Blog 会長ブログ ネコの目

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国のあり方① ベネズエラで起こったこと・・・何かおかしいけど・・・

「普通の日本人・・・が」といったら、「誰が普通を決めるネン!」と突っ込まれそうですが、ここしばらく、遠い所の出来事ではありますが、何か無視できない。けれども、何ができるのかを考えても答えはない、ウ~ム、どうしたら良い?答えようもないモヤモヤが、自称普通の日本人の私の頭の中にあります。

ベネズエラで起こったことです。
2026年1月3日未明(現地時間)、アメリカ軍は特殊軍事作戦を行い、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領と妻のシリア・フローレス氏を拘束しニューヨークへ連行しました。当然、マドゥロ側と一部中南米国は「拉致(誘拐)行為だ!」と強く批判します。翌4日、ベネズエラ最高裁は副大統領デルシー・ロドリゲス氏を暫定大統領に就任させるよう命じました。ニューヨークの裁判所に現れたマドゥロ氏は「私はいまもベネズエラの大統領だ。無罪だ」と主張しました。

アメリカの作戦とは、空爆・空襲でベネズエラの防空施設や軍事インフラを制圧した後、有名なデルタフォースなど米特殊部隊とヘリコプター部隊が首都カラカスのマドゥロ居住地を急襲しました。

米軍急襲で燃え上がるカラカス(CNN記事より)

アメリカの説明(言い訳?)では、軍は大規模機動力と奇襲での大規模占領戦ではなく「拘束と連行」を目的とする作戦を行ったとし、その理由は、「麻薬取引・テロ支援関連にかかわる容疑での法執行行動」と説明しています。が、作戦成功後にはトランプ大統領の「殺害もあり得た」「政権運営に関与する」などのとの発言もあります。

ベネズエラ側の被害状況は、まず、死者(軍・治安部隊、民間人含む)が約100人、内ベネズエラ軍・治安部隊員の死亡は23人、キューバ軍・情報機関要員が32人(キューバ発表、ベネズエラ国内でキューバ要員が協力していた!)に対し、アメリカ当局側の発表は死者0人、負傷者はアメリカ軍7人程度と伝えられていますし、推定75人死亡という報道もありますし、民間人も含む可能性もありでしょう。物的損傷では、空港、軍事基地、港湾、通信インフラなどの複数施設が被害を受けた衛星画像が公開されています。

普通のベネズエラ人、つまり市民への影響では、停電、交通網の乱れ、治安不安など生活インフラの混乱の報告はあります。一般市民の犠牲も含まれる可能性があるとする報道もありましたが、確かなことは出ていません。

国際的な反応です。
当該国ベネズエラの政府は「主権侵害・国際法違反・拉致行為」と非難し、中国とロシアは「主権と不干渉の原則に反する」と安全保障理事会で強い懸念を表明し、一部の中南米諸国は「軍事的手段は認められない」、「地域不安定化を招く」と声を上げたに対して、アメリカは「国際犯罪への法執行行為」であるとか「安全保障上の措置」であるとし、かなりの国が「ベネズエラ政権の正統性と人権問題」を強調しました。

調停役となるべき国連事務総長は、「武力行使の自制」と「国際法尊重と民間人保護」を要請しました。そして非同盟諸国(どっちでもない・・・)の一部は、「事実関係の独立検証が必要」、「対話による解決」が大事とするまともな意見を述べましたが、その後のフォローはどうなっているのか・・・

私ごときがまとめる立場ではありませんが、国連の意見は「主権を侵害した」のか、不法国への「法執行である・・・」との両論に分かれていると思います。

ではベネズエラとはどんな国なのか?
べネズエラは、地図でみると南米大陸の右上の一角を占めています。人口は約2,800万人ですが、過去10年間に6〜700万人が国外に流出・・・移民、難民化し、中南米で最大級の難民・移民送出国です。国の金持ち度を示すGDPは約1,000〜1,100億米ドル(日本は約4.28兆米ドル)、一人当たりGDPは約3,500〜4,000米ドル(日本は約34,000米ドル)、つまりあまり発展した国とは申せません。が、世界有数の石油埋蔵量を誇り、20世紀前半以降、産油国として繁栄してきました・・・にしては、一人当たりGDPが低すぎますね・・・富は、どこかで消えている?

1999年来のチャベス政権は、一言でいうならば、石油収入をばらまき型社会主義政策に濫用しました。教育や医療への補助金は拡充されましたが、産業育成や生産性向上への配慮がなく、民間の力、企業や市場(しじょう)を軽視し、国有化や価格統制をやり過ぎたのでしょうか、企業の投資力は低下し、結果として国内生産は縮小しました。そして、国際市場で原油価格が下がると一気に財源が枯渇しました。調子の良い時は良いとしても、不時に対する対策や制度はなく、単に為政者のカリスマに依存していたツケが出ました。持続可能な社会を作り上げるための制度設計がなかったとでも言いましょうか、調子が悪くなると全体的にガタガタになります。

2013年来、その政権を引き継いだのがマドゥロ政権です。原油価格は下落、国内政策はうまく動いていない、経済はハイパーインフレで物資は不足し、医療は崩壊している・・・権威主義的な為政者、選挙のたびに起こる正当性への疑義、最近、インフレはやや落ち着いていたとされていますが、国民生活は困窮したまま。石油生産体制は修復されつつあったようですが、投資不足やしっかりとした中長期的ビジョンがない、また実践できていない。公的医療が機能不全的で、海外からの支援に依存した医療。麻薬や石油利権の不明朗さもあって政権正統性にも疑義が生じる・・・中で、アメリカとの対立が深刻化していた。豊富な資源をもっているのに、政治や統治機構が円滑でなく国全体が疲弊していた国がベネズエラでもあります。

アメリカの裏庭とも云われる南米・・・どなたがおっしゃったのか判りませんが、失礼な言い方ですね。ですが、こんな云い方があるからでしょうか、アメリカは、今回の「拉致」は麻薬取引・テロ支援関連容疑への法執行行動と説明しています。

市民生活への影響は、インフラの混乱(停電、交通網の乱れ、治安不安)などの報告があり、一般市民の犠牲も含まれる可能性があるとする報道も出ています。

一言で言えば、資源大国だが、政治の混乱が生活を壊し、国際対立まで引き起した・・・
と云えますが、一国の大統領が他の大国に拘束・連行され、国外で裁判にかけられているということがあっても良いのか・・・それは私の頭の中のモヤモヤです。

次回、続きを書きます。