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AIの時代にこそ「読み・書き・そろばん」?

9月8日、OECD(経済協力開発機構)がPISA 2025の結果を発表しました。(OECD「PISA 2025」9月8日発表(日本語)OECD 公式ウェブサイト参照)・PISA 2025 日本の結果(OECD公式ウェブサイト参照)
PISA(Programme for International Student Assessment)、日本では「生徒の学習到達度調査」と訳されますが、世界各国の15歳の子どもたちが、読解力、数学的および科学的リテラシーなどについて、どの程度の力を身につけているかを調べる大規模な国際的調査で、2000年に始まりました。リテラシー(literacy)とは、元々は文字を読み書きする能力を指しますが、現代は、単に文字を読むだけでなく、ある領域の知識や技術を使いこなす力という意味で広く使われています。例えば、パソコンやインターネットなどをきちんと効果的に活用できることをITリテラシーと申します。

興味深いことは、PISAは学校で習う知識をどれだけ覚えているかを調べるのではなく、「習ったこと、知っていることを現実の問題解決にどれだけ活用できるか」だと理解していますが、「読解」・「数学」・「科学」3分野を3年周期で調査します。2025年には初めて「Learning in the Digital World(デジタル世界での学習)」が加わりました。

OECDの公式ウェブサイトより(https://www.oecd.org/en/about/programmes/pisa.html)

歴史をみますと、最初の2000年PISAには32か国(OECD加盟国28か国、非加盟国4か国)の約26万5,000人の15歳児が参加、読解力に重点が置かれ、2003年は数学、2006年は科学が重点だった・・・2025年調査は最大規模91か国・地域の約76万人の15歳が参加、日本は科学的コンピテンシー(科学的知識を使用し、課題を明確にし、証拠に基づく結論を導き出す能力のこと)、読解力、数学的リテラシー3分野すべてでOECD加盟国中1位!!3分野共1位は調査開始以降初めて、さらに今回初めて実施された「ラーニング・イン・デジタルワールド」でもOECD加盟国中1位!!日本は全国高等学校1年生を対象に183校、約6,500人が参加したそうです。調査は2015年からオンラインによるコンピュータ使用型調査だそうですが、日本の若者スッゴイですね。ですが、今回判ったことは、OECD加盟国の平均読解力と数学的リテラシーはPISA調査開始以来、最低水準だった・・・つまり25年前に比べて、読み書きとそろばん(などと云ったら叱られるかもしれませんが)数学的リテラシーは最悪だそうです。

2015年PISAと比較した読解力は28点低下、これは約1年半の学習量相当差だそうですが、数学も22点低下、これも1年超の学習量に相当するそうです。さらに、科学、数学、読解の3分野すべてで基礎的習熟度に達しない15歳がなんとOECD諸国では5人に1人存在することが判明。PISAが広がり、教育は進んでいるように見えるのに何ということでしょうか!

今回はAIとデジタル機器利用の程度も調べていますが、何となく納得するのは、デジタル機器を娯楽目的に使ったり、過度に使いすぎたりする生徒の成績は低い傾向だったとか。さらに、作文を書く際に「AIを使わない」と答えた生徒は、「使う」と答えた生徒より成績が高かったといいます。AI頼りになると、何か基本的な学習力がつかないような気もしますが、だからといって「AIを絶対使うな!」の時代ではありません。学習目的にAIを頻繁に使ってもAI情報が正しいかどうかをきちんと評価できる、評価する術〈すべ〉を修得している生徒はそれがない生徒より成績がよかった・・・つまり問題は「AIを使う、使わない」ではなく、「AIの答え・・・反応を自分がきちんと判断できるか」、自分の脳みそできちんと考え妥当かどうか考えられているか」どうかなのです。AIとの付き合いは必須、避けられない時代ですが、ちょっと安心しました。要は、自分の脳みそ次第なのです。

科学、読解、数学の推移(OECD公式ウェブサイトよりhttps://www.oecd.org/en/publications/pisa-2025-results-volume-i_73451bc5-en.html

すべて良い成績だったから日本の教育は大丈夫なのでしょうか?これは、日本も2022年から2025年にかけて読解力が低下し、上位10%と下位10%の学力差は数学、読解、科学のすべてで広がっていると指摘されています。この傾向は世界的らしいので、日本だけが学力低下したのではなく、世界的な基礎学力が低下傾向から日本も無縁ではないと云うべきでしょうか。

その昔、「読み・書き・そろばん」と申しました。
江戸時代の寺子屋以来、日本の庶民教育の基本を象徴する言葉ですが、AI共存が進めば進むほど、この言葉で象徴される能力が重要になるように、私は思います。「読み」とは、声を出して文を読むことではなく、長い文章を読んで何が書いてあるか理解し、内容と自分の考えや意見を生み、「これは本当?」と考えたり批判したりする力、「書き」とは、漢字や文字が正しく書けるだけでなく、自分が考えていることをまとめ分析し整理し他人に伝わる言葉にする力です。「そろばん」は、実際にそろばんを弾く技術ではなく、数の大小や割合を理解し、目の前の数字が正しいか間違っていないか確認できる力です。よみ・かき・そろばんは古い言葉ですが、中身は古くはありません。

独断と偏見ですが、AIにまかせられることと任せられないことをまとめてみました。

確かに、AIは「読み・書き・そろばん」のかなりの部分は簡単をこなしてくれます。だから、もう、そんなことは一生懸命学ばなくてもよい?ウ~ン、機械まかせで、人間は楽チンの世の中・・・それは科学漫画の世界でしょうか・・・少し気になることがありますが、それは次回に。