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【プレスリリース】ハンセン病問題のない世界の実現にむけて ~らい菌発見150周年記念 ベルゲンハンセン病国際会議を開催

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笹川ハンセン病イニシアチブ(東京都港区)は、ノルウェーのベルゲン大学と共催で、アルマウェル・ハンセン博士によるらい菌発見150周年を記念し、ハンセン博士がらい菌を発見したノルウェー・ベルゲン市で、2023年6月21日、22日にベルゲンハンセン病国際会議を開催しました。会議には、医療面、社会面、歴史保存の専門家、研究者、そしてNGO団体の関係者や、ハンセン病回復者団体などおよそ200人が参加しました。

ハンセン病は毎年約20万人の患者が新たに報告されており、世界では未だに、ハンセン病患者・回復者とその家族が差別を受けている地域も残っています。

今回の会議では、ハンセン病分野の主要な関係者が集まり、笹川ハンセン病イニシアチブが事業の柱とする、医療、人権と尊厳、歴史保存の三つに焦点を当てたセッションを行いました。

基調講演で、WHOハンセン病制圧大使である日本財団会長笹川陽平氏は、次のように述べました。「ハンセン病が呪いでも神の罰でもなく、病原菌による慢性疾患であることをハンセン博士が発見して以降、医療が目覚ましく進歩したことに感謝いたします。しかしながら、ハンセン病に対する130もの差別的な法律が20カ国以上で未だに存在することを考えると、偏見や差別と闘うためのより一層の活動が必要です。人権の尊重が求められる今日、このような大規模かつ深刻な人権侵害を放置することは許されません」

開会式では、テドロス・アダノムWHO事務局長とヴォルカー・ターク国連人権高等弁務官がビデオメッセージを寄せたほか、ノルウェーのイングヴィル・ヒャールコール保健ケアサービス大臣も挨拶をしました。

テドロス事務局長は、「らい菌が発見され150年、WHOが発足して75年が経ち、ハンセン病との闘いは多くの進歩を遂げてきたが、『ハンセン病ゼロ– 疾病ゼロ、障害ゼロ、差別ゼロ–』という共通の目標に向けて、まだ多くのことが残されています」と述べ、さらに「コロナの大流行により崩壊した医療システムの正常化には、さらなる努力が必要です」と語りました。

ターク国連人権高等弁務官は、「ハンセン病患者の生活を改善するためには、身体的な症状に対処する必要がありますが、偏見や差別に対処するための社会的・行動的な対策も必要です。質の高いケア、教育、社会保健サービスへのアクセスなど、包括的な戦略が必要です」と述べ、会議出席者に対し、「予防が可能な病気であるにもかかわらず、いわれのない差別や偏見によって人々に苦しみを与え続けるハンセン病をなくすため、共に戦いましょう」と述べました。

閉会の挨拶は、笹川保健財団の南里隆宏常務理事が行い「2021年、コロナ禍であってもハンセン病や、病気に苦しむ方々が置き去りにならないよう『ハンセン病を忘れないで』キャンペーンを開始して以来、当財団が主催する国際会議は今回で3回目となります。私たちがこのような会議を開催する目的は、ハンセン病とその影響によって苦しんでいる人々がまだ大勢いることを世界に知ってもらうこと、ハンセン病のない世界の実現に向けて協力する機運を高めること、革新的な解決策を生み出すきっかけとなるような、公式・非公式両方の交流の場を提供することです。また、財団として、革新的な解決策への支援の準備があります」と述べました。

ハンセン病について

ハンセン病は、らい菌が主に皮膚や神経を侵す慢性の感染症です。コロナウイルスのパンデミックにより新規患者発見活動が停滞する以前は、年間20万人余りの新規患者数が報告されていました。治療法が確立された現代では薬を服用すれば治る病気ですが、治療の開始が遅れたり、治療を中断したりすると、抹消神経が障害を受け、手足・顔面の知覚麻痺や筋力低下などの身体的な障害につながることがあります。推定300万~400万人がハンセン病によって何らかの障害を持ちながら生活していると考えられています。また、ハンセン病は治る病気にも関わらず、多くの回復者およびその家族が、ハンセン病に対する社会の根強い偏見や差別に今なお苦しんでおり、教育や雇用、社会参加の機会が制限されるなどの問題が残っています。

笹川ハンセン病イニシアチブについて

笹川ハンセン病イニシアチブは、笹川陽平WHOハンセン病制圧大使と笹川保健財団および日本財団がハンセン病のない世界の実現を目指す戦略的アライアンスです。笹川大使および大使が会長を務める日本財団(1962年設立)と、ハンセン病対策に特化した財団として設立された笹川保健財団(1974年設立)は、50年近くにわたり世界各地でハンセン病対策に取り組んでいます。「医療面」では、1975年以降、WHOを通じて世界各国政府によるハンセン病対策を支援しており、その累計は約2億ドルにのぼります。また、「社会面」については、日本政府などと連携し、国連総会における「ハンセン病患者・回復者・その家族らに対する差別撤廃決議」の採択(2010年)や、国連人権理事会を通じた国連ハンセン病差別撤廃特別報告者の設置(2017年)に大きく貢献しています