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「Kalaupapa: a collective memory」が最優秀書籍に選ばれました

ハワイのモロカイ島には、世界の隔離政策に大きな影響を与え、モデルとなったカラウパパ療養所があります。
病気の進行した人たちをハワイ本島のカリヒ病院から収容した療養所です。1866年に12人の患者さんが収容されて以来、1969年までに8,000人もの人たちが収容されました。そのうちの9割以上がハワイ人だったと言われています。2012年にハワイ大学出版局から出された「Kalaupapa: a collective memory(カラウパパ:集合記憶)」は、カラウパパの歴史を、ここで暮らしている、または暮らしていた人たちの言葉を膨大な資料や文献で裏打ちして紡いだ本です。
カラウパパといえば、患者さんのために尽くし、自身もハンセン病にかかったベルギーのダミアン神父の名前がすぐに挙げられますが、ここでくらしてきた8,000人もの人々の声を文献やインタビューを通して丹念に拾い上げながら、それをカラウパパの、ハワイの、そしてアメリカの大きな歴史の流れの中に位置づけたこの本は、歴史が無機的な過去の話ではなく、人々がどのように生きてきたのか、そしてその人生がどのように大きな流れに影響をされ、影響をしてきたのかを語っています。
第20回 Ka Palapala Po’okela book awardで、同書が2012年に出版した本の最優秀賞として選ばれました。
著者はアンウェイ・スキンスネス・ローさん。IDEA(アイディア)という回復者ネットワークの創設メンバーで、現在も国際コーディネーターとして活躍しています。40年以上にわたる交流を通し、カラウパパで暮らす人たちとの間に確固たる信頼と愛情を築いた彼女だからこそ書くことができたのかもしれません。英語のこの本は、本文だけで530ページを超す大著ですが、カラウパパやハワイの歴史、ハンセン病問題に関心のある方は、ぜひともご一読ください。日本のアマゾンではハードカバーのみ売っているようですが、アメリカのアマゾンではソフトカバー版も売っています。