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ハンセン病に関わる課題のないブラジルに向けた取組強化―ブラジル・ハンセン病全国ハイレベル会議開催―

2026年3月12日から14日にかけて、リオデジャネイロのウインザー・オセアニコ・ホテルで、ブラジル・ハンセン病全国ハイレベル会議が開催されました。国内外から多くの関係者が集い、350名が参加、各日を通じて約200名が継続的に議論に加わるなど、会場は終始、熱気に包まれていました。

初日は、笹川陽平WHOハンセン病制圧大使による開会挨拶で幕を開けました。同大使は、「ブラジルは、地政学的な事情からハンセン病対策が特に困難な地域も存在しますが、政治的リーダーシップのもとで補償制度の整備や国際戦略の推進など大きな進展を遂げてきました。しかし、新規患者や未発見の患者、後遺障害、差別といった課題は依然として残っており、今後も国を挙げた継続的な取り組みが不可欠です」と述べました。続いて、アレシャンドリ・ロシャ・サントス・パジーリャ保健大臣およびマカエ・エヴァリスト人権・市民権大臣が登壇し、ハンセン病のない社会の実現に向けた強い決意を表明するとともに、本会議の方向性が示されました。基調講演では、WHOパンアメリカン保健機関(PAHO)事務局長のジャルバス・バルボーザ氏が、21世紀におけるハンセン病の位置づけを改めて問い直し、国際社会として取り組みを一層加速させていく必要性を呼びかけました。

笹川陽平 WHOハンセン病制圧大使
アレシャンドリ・ロシャ・サントス・パジーリャ保健大臣
マカエ・エヴァリスト人権・市民権大臣
ジャルバス・バルボーザ WHOパンアメリカン保健機関(PAHO)事務局長

2日目は、議論が一層具体的かつ実務的な内容へと深まりました。世界におけるハンセン病の現状と課題、そして根絶に向けた優先事項が整理されるとともに、政策的・政治的な関与の重要性が繰り返し強調されました。特に、地方自治体や議会の役割、財政や法整備、人権や社会正義の視点を踏まえた取組について、参加者それぞれの立場から活発な意見が交わされました。また、医療アクセスの向上に向けては、早期発見体制の強化やプライマリヘルスケアの充実、地域に根ざした保健システムの整備が不可欠であることが確認されました。さらに、流行状況の異なる地域からの実践例が共有され、地域特性に応じた柔軟な対応の重要性が浮き彫りになりました。

最終日には、「社会的包摂と差別対策」が大きなテーマとして掲げられました。障害者政策との連携、スティグマや差別の現状、そして当事者の社会参加の促進について、率直で建設的な議論が展開されました。加えて、早期に診断できる技術や化学予防といった新たな技術の活用、人材育成や教育の強化など、今後の取組を支える具体的な方向性も示されました。閉会にあたり、笹川大使は、分野や立場を超えた連携をさらに強め、取り組みを継続していく重要性を呼びかけました。

会議期間中には、ブラジル出身のミス・スプラナショナル 2025のエデュワルダ・バーム氏による啓発活動も行われました。3月13日にはハンセン病患者が療養するタヴァレス・デ・マセド州立病院を表敬訪問し、患者や医療関係者と交流。14日には会議内セッションでスピーチを行い、自身の言葉で差別のない社会の実現に向けたメッセージを発信しました。さらに、保健大臣との面会やSNSでの発信を通じて、ハンセン病への関心を広く社会に呼びかけました。

ミス・スプラナショナル 2025のエデュワルダ・バーム氏
タヴァレス・デ・マセド州立病院を表敬訪問

3日間にわたる議論と交流を通じて、本会議は、ブラジルにおけるハンセン病問題の解決に向けた連携を一層強めるとともに、医療・政策・人権を横断した包括的な取組の重要性を改めて共有する機会となりました。