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[ガーナ]ハンセン病定着村における井戸建設支援

期間:2004年度

対象地域:ガーナ北部クパンデ村

協力先:IDEAガーナ

ガーナは1998年にハンセン病の制圧を達成して以来、制圧レベルを維持しており、2009年4月時点での登録患者数は591人、人口1万人あたりの患者数は0.25人となっています。一方で、ハンセン病の患者や回復者、またその家族に対する差別や偏見は根強く、病気を理由に故郷を追われた人々はへき地の定着村に移り住み、社会から隔離された生活を余儀なくされています。このような状況を受け、ガーナでは2003年に「IDEA(共生、尊厳、経済向上を目指す国際ネットワーク)ガーナ」が設立され、回復者やその家族の尊厳の回復や社会復帰を目指した活動を開始しました。当財団では2004年度より、IDEAガーナを通じて定着村の生活環境向上支援事業を実施しています。

2004年度は、ガーナ北部の貧しい定着村であるクパンデ村の井戸建設を支援しました。

クパンデ村の住民のほとんどは回復者とその家族です。村人のうち障がいの比較的軽い人々は農業に従事していますが、収穫される作物はわずかで、毎日の食べ物にも事欠く人々が少なくありません。また、村には井戸も水道もなく、村人は近くの小川から水をくみ、飲料用を含む生活用水として使用していました。しかし、小川の水は飲み水として安全なものではなく、細菌による病気にかかる村人もおり、さまざまな問題を抱えるクパンデ村の中でも、井戸建設は最も優先順位の高いものでした。

このため村の住民の協力を得て2つの井戸をクパンデ村に建設しました。川まで水をくみに行かなくても、安全な水が村で手に入るようになり、村人の生活が大きく改善されたことは言うまでもありませんが、その後、井戸がそれ以外にも重要な役割を果たしていることが分かりました。ガーナでは、ハンセン病に対する差別や偏見が根強く残っており、クパンデ村の周辺に住む人たちもクパンデ村とは交流を持とうとはしませんでした。しかし井戸ができてから、これまでクパンデ村に足を踏み入れたことのなかった周辺の住民たちが安全な水を求めてクパンデ村にやってくるようになったのです。

クパンデ村住民と周辺地域の人々との交流が始まり、村人に対する偏見や差別が減っていきました。また、安全な水があることから、周辺地域の市場がクパンデ村で開かれることになり、これまで周辺の村との交流もなかった隔離の村が、周辺地域の中心地にまで発展しつつあります。当時、クパンデ村には市場を開くための施設が整っていなかったため、当財団では2008年度に市場を開くためのコミュニティーホールの建設支援も行いました。コミュニティーホールは、市場を開いていない時間には、成人教育の場になったり、村の人たちが集会をしたりと多目的に使われています。井戸やコミュニティーホールを作るといったモノ作りを通して、ヒトの心も変えていくことができました。

本プロジェクトはボートレースチャリティー基金からのご寄付により実施することができました。

期間2003~2005年度
対象地域ヤンゴン管区、マンダレー管区
協力先ナンダミェン教育支援委員会、マヨンジャン教育支援委員会