対象地域:北部地域

梅本記念歯科奉仕団は、1950年に設立された日本のNGOです。当時、大阪歯科大学に在籍していた大学生たちが日本国内のハンセン病療養所を慰問してまわったのがきっかけで、その後歯科診療奉仕活動として組織されていきました。当時は、ハンセン病に対する偏見や差別が非常に強く、積極的に歯科の診察をされていた歯科医はほとんどいなかったそうです。

1970年代後半から韓国、フィリピン、タイ、ベトナム、ラオスと広く海外にも活動の幅を広げ、息の長い活動を続けています。メンバーは歯科医と歯科技工士。いずれも開業医や歯科大学で若手の指導に当たっている現役の専門家です。現地の診療活動には、夏休みや連休を利用し診療活動に出かけています。

当財団は1977年、韓国における現地技術協力以降、協力を継続しており、ベトナムへは1997年から協力をスタートさせています。通常年2回、1回に歯科医師3名と歯科技工士1名がチームを組み、現地歯科医師、スタッフとハンセン病療養所や定着村に住む人の治療を巡回診療という形で行っています。

活動開始から数年後、活動地域を広げることになりましたが一番の問題は、現地の診療所に歯科診療機器がなかったことです。そこでポータブルで車両に積むことができる診療機器(写真右端)とバキュームをセットにして寄贈し、さらに活動地域を広げることができました。日本人の専門家チームの訪問以外は、現地スタッフによる巡回診療でフォローしており、現地スタッフへの技術指導も実を結んできています。

また村の子どもたちを対象に、歯ブラシを持参し歯磨きの仕方を教えて口腔衛生の大切さも指導しています。当初、初めて歯ブラシを見る子どもが多く、一人ずつ歯ブラシを配り、磨き方を教えると、翌年の訪問で1年使い続けた歯ブラシを見せられ、新しい歯ブラシが欲しいと言ってくる子どもが多くいたそうです。