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99号大使メッセージ:グローバル・アピール2020:パラアスリートとともにハンセン病差別撤廃を訴える

前列右から、マセソン美季氏、河合純一氏、加藤勝信厚生労働大臣、安倍晋三首相、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 森喜朗会長森喜朗氏、国際パラリンピック委員会ドゥエーン・ケール副会長、池透暢氏。後列右から橋本一郎氏、伊藤真波氏、日本財団パラリンピックサポートセンター 山脇康会長、日本財団会長 笹川陽平、全国ハンセン病療養所入所者協議会 森和男会長、インドハンセン病回復者家族代表 チャンドラ・プラカシュ・クマール氏、木下航志氏

第15回目となる「グローバル・アピール」は、「世界ハンセン病の日」に合わせ、1月27日に東京で開催した。グローバル・アピールは、ハンセン病患者、回復者、その家族らに対する社会的差別の撤廃を世界に訴えることを目的として日本財団が主催するもので、毎年世界的に影響力のある団体や個人の賛同を得て実施してきた。過去には、世界医師会、国際法曹協会、国際看護師協会、列国議会同盟、国際商業会議所などの賛同を得ている。今年のグローバル・アピールは、2020年に東京でオリンピックおよびパラリンピックが行われるため、国際パラリンピック委員会(IPC)とともに開催するに至った。

スピーチでは「ハンセン病を経験した人々や障害を持つ人々を含め、誰もが差別されることのない「インクルーシブな社会の実現」を訴えた。

「パラリンピックスポーツを通じて、多様性を認め、誰もが個性や能力を発揮し活躍できる公正な機会を設け、共生社会を創出する」というIPCのビジョンは、ハンセン病患者と回復者に対する烙印(スティグマ)と差別を無くすという私たちのビジョンと共鳴するものでもある。グローバル・アピール式典に出席したIPCのドゥエーン・ケール副会長は、「パラリンピックスポーツを通じて私たちが目指すのは共生社会。しかしその実現には、まだまだ根深い差別や偏見というハードルが立ちはだかっている。ハンセン病の患者や回復者の方々が日々直面しているスティグマや差別は、障害を持つ人々が経験するものと同等といえる。私たちの使命は、パラリンピックムーブメントの旗振り役として、真の共生社会の創出を推進すること」と述べた。

アーティストによる音楽パフォーマンス 左から:伊藤真波氏(バイオリニスト、パラリンピアン)、木下航志(シンガーソングライター)、橋本一郎氏(手話パフォーマー)

現代の日本では、ハンセン病発症例はほとんど見られなくなった。それでも、近年まで続けられた1世紀に及ぶ強制隔離政策によって、社会には未だ差別問題が根強く残っている。2007年、日本政府から「ハンセン病人権啓発大使」の委嘱を受けた私は、政府とともにハンセン病患者・回復者の人権回復に向け、国連を始めとする国際社会への働きかけを積極的に行ってきた。その取り組みは、2010年に「ハンセン病患者、回復者、その家族に対する差別の撤廃」が国連総会で満場一致で採択されることにつながった。

宣誓文を読み上げる池透暢氏(車いすラグビー日本代表)、マセソン美季氏(日本財団パラリンピックサポートセンター)

2016年に続き、今回のグローバル・アピールに出席した安倍首相は「国として歴史を反省しハンセン病回復者への社会復帰支援を行ってきたが、今後も元患者とそのご家族の方々に対する差別や偏見の根絶に向けて、政府一丸となって全力を尽くしていきたい」と語られた。オリンピック・パラリンピックイヤーである本年に、IPCや日本政府から強力な賛同を得て東京から発したメッセージは、世界に届いたものと確信している。

WHOハンセン病制圧大使 笹川陽平

99号 PDF(英語版)

IN THIS ISSUE
Message
Global Appeal 2020:
Advocating social inclusion
Torch-bearer for the appeal
Text of Global Appeal 2020
Difference is natural
Ambassador’s Journal: INDIA
News: Special Rapporteur visits Japan
From the Editor