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新型コロナウイルスに対するワクチン

アメリカ ジョンズホプキンス大学のコロナウイルス情報センターによりますと2021年2月8日現在、世界の新型コロナウイルス感染者数は106,042,748人と1億人を超え、死者は2,314,602人と鎮まる気配はありませんが、わが国では、7日の感染者数は1,631人、死者52人・・・累計で感染者406,274人、死者6,441人、東京の検査陽性者数も10日間1,000名を下回っています。昨日7日は、少し春めいた一日、ちょっとホッとするニュースでした。

が、といって気を緩めて出歩くと、10日か2週間後には、またまた、第3波の最大数約2,000を超えて、さらなる爆発が来ます。今こそ、心して、個人で可能な対策を強化しなくてはなりません。

ウイルス感染症では、いわゆる病原体であるウイルスを直接やっつける薬剤がないので、その他の細菌性感染症では大きな力になる抗菌剤が使えません。そして、だから、ウイルスそのものへの抵抗力を生み出すワクチンが重要です。

世界では、既に72ヵ国でワクチン接種が始まり、総計127,994,423回も接種が行われています(上記ジョンズホプキンス資料)が、残念ながら、わが国ではまだですね。それにもっと残念なことは、わが国で開発された独自のワクチンの実用化はまだ、まだなのです。2月の下旬にも接種開始とされるワクチンも、海外のものです。それを厚生労働省が、使用の認可をして、初めて、私たちに使われます。チャッチャと認可したらよい・・・のではなく、新たな薬剤が、日本人に有効で、副作用がないかどうかの検定が必要ですから、一定の期間は必要です。今回も、緊急的に、最低限の検定がなされている・・・はずです。

昨年12月8日、イギリスで、ご高齢の女性が第一号接種者となられた映像が広がりました。このワクチンは米国の製薬会社ファイザー(Pfizer)とドイツのバイオンテック(BioNTech)が共同開発したものですが、アメリカのFDA(Food and Drug Administration、食品医薬品局。米国保健福祉省に属する政府機関で、食品・医薬品・化粧品、タバコ、その他玩具などの安全性を管理する政府機関、1万人近い職員、予算14億ドル<約1,500億円>。)も急遽、認可しています。そのFDAが、このワクチン組成をとても詳しく発表しています。

*有効成分:新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイク糖(S)タンパク質をコードするヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)

*脂質:((4-ヒドロキシブチル)アザンジイル)ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(ALC-3015)(2- ヘキシルデカン酸),2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド(ALC-0159)1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPSC)コレステロール

*塩:塩化カリウム リン酸二水素カリウム 塩化ナトリウム 塩基性リン酸ナトリウム二水和物

*その他:スクロース

一般に、私どもはワクチンの成分を吟味して、それを受けるかどうかを判断するなど、致しません。なぜ、こんなに詳しく?開示する必要があるのかと思いましたら、フェイスブックに色々な雑音が投稿されたそうです。曰く「ビル・ゲイツが、ワクチンにマイクロチップを組み込んだ」とか、「ワクチンにはホタルに由来する発光物質ルシフェラーゼ(キリスト教の伝説では悪魔サタンの堕落前名前ルシファーが連想され、良くないイメージ)が含まれる」などなど。で、フェイスブックは、きちんとワクチン成分表を説明し、同時に、このようなややこしい投稿規制もしているそうです。で、さらにFDAも組成発表した・・・のでしょうか。

が、この組成を読んでではなく、見て、すぐに理解できる人など、皆無とは申しませんが、ほとんどおいでではないでしょう。最新の科学的知見を判りやすく、しかし専門的に解説しているMITテクノロジーレビューでさえ、「この成分表を読むことは、シリアルの箱の側面を眺めるのに似ているが、内容を理解するには有機化学の学位が必要」と書き、「各成分の作用を理解し、その他諸々を正確な知識に基づいて推測をするためには、複数科学者とバイオテクノロジー起業家の助けを借りた」と、実際、協力した錚々たる新進学者名を7、8名連記しています。ちょっとでなく、大いに難しいのですが、ちょっとサワリの部分を・・・

まず、本体のmRNAです。ファイザー社製では、ウイルスの実際の遺伝情報を含むメッセンジャーRNA(mRNA)が使用されています。そしてこれは新しいタイプのワクチンだそうです。このmRNAは、ウイルス本体分子の一種で、タンパク質合成=ウイルス複製誘導のための遺伝指令を、ウイルスが侵入した細胞に伝達するための指示が載った長い紙テープのようなものと考えられる、すなわち、この新型ワクチンは、ウイルスそのものともいえるRNA配列をも含むらしく、しかもmRNAはとても壊れやすいので、このワクチンは使用時まで約-70℃という超低温で保存する必要があるのです。

新型コロナウイルスは、人体に侵入した際、その体内のどこかの細胞に取りついて、その中に潜り込んで、その内部で自ら複製します。最初に、どこか・・・多くは呼吸器系=鼻腔、咽喉、気管・・・の細胞に潜り込む際、昨今、TV画面でおなじみの、ウイルス表面にある突起物、すなわち「スパイク」と呼ばれているもの・・・タンパク質ですが、それを使って人の細胞表面にくっつき、細胞膜を破って、細胞内に侵入します。スパイクタンパクは、ウイルスの一部ではありますが、ウイルス表面のパーツに過ぎず、つまり内部の本体部分を持たないために無害です。それでも私たちの体はスパイクタンパクに反応するそうなので、それに対する対抗力・・・免疫を獲得し、本物のウイルスに曝された時には、そのウイルスを撃退できる・・・というわけです。難しいですね。

一言でいえば、ウイルスのパーツであるものを抗原として人体に投与すると、それに反応するもの=抗体が産生される・・・だから、本物のウイルス(抗原)にさらされても体内にできている抗体がそれをやっつけてくれる・・・のです。でも、-70℃にする理由は、mRNAが入っている???それは体内で、どうなるのか・・・私も、良く判りませんが・・・

反応といっても、実験室の試験官の中で目に見える形で行われるものではありませんから、本当に効果があるのか、副作用・・・悪さはしないのか、などなど、沢山念を押すべきことがあります。が、現在の世界規模流行パンデミックでは、一定レベル以上の効果があって、致命的な大きな副作用がない・・・とおおよそ合意されたものは使うべきとの考えで動いています。現在進行中の各国ウイルス開発状況が図示されています。

 

もちろん、高度な科学的情報のすべてが開示されているわけではないのも事実です。実際、ワクチンや薬剤の開発には、途方もない年月と科学的知識、そして膨大な経費が必要ですから、人道的に多くの部分が公表されていても、とても重要な、肝心の部分は、企業秘密でもありましょう。

その他、RNAを包み込んでいる脂質や、ワクチンの酸性度(pH)を人体のそれに近くするための調整剤としての塩やワクチン凍結防止剤としての糖の成分も開示されています。まだまだ、ワクチンも開発途上のようですが、既に世界では多数国でワクチン接種が始まっています。

わが国は、諸外国に比し、パンデミック被害は小さい方ですが、それでも去年1年を思い返すまでもなく、生活の在り方は激変しました。ワクチンさえあれば・・・という思い込みもいかがなものかですが、ますは、私たち一人一人が守るべき❶3密を避ける、❷対人距離の確保、❸手洗いをしっかり徹底し、そしてワクチンを待ちたいと思います。