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Chair's Blog 会長ブログ ネコの目

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肥満とコロナ死

昨日3月4日は、世界肥満の日だったそうです。そんな日があるとは・・・ですが、今回は肥満とコロナの死亡率のお話です。

コロナコロナで明け暮れて、早1年以上が経ちました。

2019年末、中国武漢で新型肺炎が広がっているとのニュース・・・フゥンと思っている間、1月15日に、渡航歴のない日本人での最初の感染者、1月30日には、WHOが世界的緊急事態を宣言しました。エエエッと、皆、少しザワッとし始めた中、感染者がみつかった大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に入港したのが2月3日。やかましく報じられてはいましたが、まだ、自分に降りかかる自覚は希薄でした。2月初め、ロンドン、ジュネーブにまりましたが、ほぼ、マスク姿の羽田に対して、ロンドン、ジュネーブはどなたも・・・・2月13日、わが国最初の死者が報じられても、まだ、身近には感じられていなかった中、月末に、突如として小中高校の臨時休校要請が出ました。そして昨年の今頃、三密ということが出始め、マスクが必需品になりました。最初、お飾り的マスクをひっかけていた人々も、きちんと肌に密着したマスク姿に変身し、色々な模様や柄のおしゃれマスクが華やかになりました。私も、猫マークを愛用しています。そして、各地各所では在宅勤務、ネット会議が当たり前になりました。最初のニューノーマルでしょうか?

さて、2021年3月3日のイギリスの新聞「ザ・ガーディアン」に、エエッ?本当なの、そうかも・・・と思う記事が出ています。「成人が太りすぎの国では、新型コロナ感染症(COVID-19)による死亡率はそれ以外の国の10倍高い」というのです。そして、英国や米国など、太りすぎの人が多い国の実際の死亡率が高いとのレポートを示し、政府は緊急に肥満に取り組み、また、ワクチン接種は太りすぎの人を優先するよう求めています。Covid deaths high in countries with more overweight people, says report Governments urged to prioritise obese people for vaccinations over greater risk of death from coronavirus

ジョンズホプキンス大学のコロナ情報センターによりますと、昨日3月4日現在の全世界の感染差数は115,222,221人、1億1千5百万人・・・日本の総人口に等しい数の人々が感染しているのですね。感染者の最大数はアメリカの28,760,954人、そして死者の最大もアメリカで518,453人、わが国の感染者は、435,297人、死者数は8,086人です。

さて、ガーディアンの記事によりますと、世界肥満連盟の報告書が、COVID-19の死者250万人のうち、何と約220万人は太りすぎの人が多い国で発生したとしていると報じています。そして、成人の50%以上が太りすぎの英国、米国、イタリアなどでは、確かにCOVID-19 関連死の割合が高くなっているのです。

ここでの問題は、単に肥満というのではなく、成人の50%・・・つまり半分以上の人々が、BMI(ボディマス指数)25kg/m2以上の場合、死亡率が10倍高い・・・というのです。個々の人のそれではなく、集団としての指数を観ていることが大事だと思います。

そして、太りすぎの人の死亡リスクは高いから、予防接種や検査の優先順位を上げよと、世界肥満連盟は云っています。肥満とCOVID-19の死亡関連として、成人人口の半分以上が太りすぎの国としてベルギーの死亡率が最高、スロベニアと英国がそれに続きます。イタリアとポルトガルは5位と6位、米国は8位です。一方、ベトナムのCOVID-19 死亡率は世界最低ですが、太り過ぎレベルは世界で下から2番目に低いのです。 ちょっと見難い図ですが、如何に新聞記事の図をコピーしました。

WHO事務局長も、「COVID-19による死亡と肥満と相関は明確で説得力がある。この報告書が、世界各国にとって、肥満とそれに関連する健康問題に対する意識変化を喚起して欲しい」と述べています。そして、「公衆衛生への投資と肥満の根本原因に取り組む協調的な国際活動はパンデミック後の保健医療制度の回復に最良の方法の1つだ」ともしています。

報告では、COVID-19関連の最大死亡要因は年齢、太りすぎは2番目としていますが、肥満者がインフルエンザなどに感染すると死亡リスクが高まることはよく知られているとか。「太りすぎ成人の割合とCOVID-19による死亡と間にかくも高い相関があることにショックを受けた」と、報告書著者でもある英国公衆衛生サービスの元顧問ティム・ロブスタイン博士が述べておられます。「何ヵ国かでは問題意識はあったが、ニュージーランドやアイスランドなど、いわゆる弱者対策のために強力な施策を講じているところを別とすれば、世界中で共通する」知見だそうです。

ガーディアン紙の分析ですが、死亡リスクは肥満度とともに上昇すること、英国の成人のほぼ64%は太りすぎまたは肥満だが、集中治療室に入ったCOVID患者中、正常体重は約20%、32%が太りすぎ、48%が肥満だそうです。成人の太りすぎと肥満が68%の米国では、同じく集中治療室のCOVID患者の12%が正常体重、24%が太りすぎ、64%が肥満だと!!

この分析は、年齢をも考慮しているが、いくつかの国からのデータが不足しているが、結果は間違ってはいない・・・ロブスタイン博士は仰せです。つまり入院しなくとも、死亡数報告は正確だと・・・そして、各国のGNI(国民一人当たり総所得)調整の結果、所得水準も関係がないことも判ったそうです。

「日本や韓国のように太りすぎが少ない先進国では、COVID-19死亡率は非常に低い、同様南アフリカやブラジルなどの低所得国は、太りすぎが人口の半分以上で、COVID-19死亡率が高い。」

さらに、少し脅迫的にも聞こえますが、「太りすぎの人々を待っているのは次のパンデミックだ!!」と。

そして政府に向けて、「政府は怠慢で、【健康であること=健康な人々】の価値を無視しているが、その人々が危険にさらされている・・・過去10年、国連が肥満対策目標を設定したが、どの政府も適正に取り組めていない。COVID-19は体重に関連して重篤化を示した新しい感染症にすぎないが、警告の兆候だ。」としています。実際、ほとんどの国は、2010年から2025年の間に肥満レベル増加半減、との国連目標を達成できていない。気温上昇や海洋汚染のように、肥満問題も世界的リーダーシップが必要で、人々の健康と地球の健康に役立つべき産業とマーケットもある。」「そもそも、やせることは難しいし、私たちの社会では減量計画や関連商品を売るビジネスもあるが、食糧食品は安いと売れるし、格差拡大もあって、個人的な呼びかけだけでは無理だ」と、博士は述べています。

WHOのNCD(非感染性疾患・傷害)対策大使のマイケルRブルームバーグは、これらは、「肥満が急速に増えつつある低・中所得国を含め、世界が肥満対策を行うことの重要性を強調するものだ。健康な食品政策が数十ヵ国に良い影響を与えることを確認したが、一緒に命を救い、改善することでさらに進歩を遂げることが可能だ。」と述べています。

一難去ってまた一難・・・でしょうか、でも、健康は、だれにとっても大事な基本的人権です。が、自分でまもるべきところも多々あります。肥満対策は、誰かにして頂くものではなく、自分でやらねばなりませんが、それが新型コロナ対策につながる・・・やってみましょう!!