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新型コロナ ワクチンと変異株

昨年10月、イギリスで、90歳の女性が、ファイザー社の新型コロナに対するワクチン接種の第1号になられたとの報道が世界に広がりました。

人口3億2千800万人強のアメリカでは、既に1億6千万回の予防接種が施行されており、バイデン大統領は「5月1日まで・・・つまり4月中には誰でもが予防接種を受けられるようになり、独立記念日の7月4日までに、生活が正常化するようにする。」と宣言されました。が、3月30日、米疾病対策予防センター(CDC)のロシェル・ワレンスキー所長は、原稿にないコメントとして、「ヨーロッパなどで広がっているような新たな感染者増加の事態がアメリカでも起こる危険性がある。」と警告されバイデン大統領も3月末には、各州政府に再度、マスク必着を指示しておられます

昨年11月頃、まだ、ワクチンが高根の花のようであったころには、ワクチンの有効性と副作用と、配布に際しては、ワクチンを産生できる国はわずかで、ほとんどが民間製薬企業に委ねられていることでの価格統制や、富裕国の買い占め、超低温保存のノウハウなどが危惧されましたが、それでもワクチンさえ出来れば・・・との思いはありましたが、このウイルスは一筋縄でも二筋縄?でもうまく行きそうにありません。

何故?そして、どうすれば良いの?ですね。

まずは、ワクチンが入手できる国とそうでない国・・・に対して、WHO(世界保健機関)は、予防接種は「一部の国の全国民を優先して、他の国の人々を待たせる」のではなく、国や地域を問わず感染や死亡リスクが高い人々を優先するべきだと勧告しています。感染者死亡のリスクの高い、そして社会的に活動が必須の人々・・・一時、エッセンシャル・ワーカー(必須の仕事をしている人)とかキー・ワーカー(重要な仕事をしている人)として、保健医療者への賛意表明が広がりましたが、私どもの生活が円滑に続けられるためには、多くのエッセンシャル・ワーカーが必要です。新型コロナ感染症という病気の検査、治療そして予防には、医療者や行政の係員が必要であることは申すまでもありませんが、ステイ・ホーム(在宅)を続けようとすると、郵便や宅急便配送も必須ですし、出来るだけ人に会わないように移動するためにはタクシーも必要です。そして、たった1年数1ヵ月前に人間社会に現れた未知の病原体、SARS-Cov-2と命名されたウイルスに関して、その本態がまだ良く判からない間にも、それと対抗する、すなわちヒトの体内でウイルスをやっつける抗体を産生させるワクチンを研究開発し続けてきた人々もキー・ワーカー、それらを保存するための超低温保存庫を急ぎ作って下さったかたも・・・そして、それらの人々の生活を支えている人々も、です。

西欧で、新型コロナのワクチンを一般国民に接種するのは、イギリスが初めてでしたが、早い時期に首相がICUに入るほどの重症になられたり、昨年10月でも新型コロナ死が6万人を超えていたりするなど、それだけ深刻な状況にあったことも関係しているのでしょうか。そうは申しても、諸外国に比し、数字的に大きな感染ではないとは云うものの、わが国固有のワクチンは、未だに生産されず、そして接種も遅れていること、大いに残念です。

さて、ワクチンは2回接種が必要なものがあります。何故、2回かというと、1回では十分に抵抗力=抗体産生が出来ない場合、もう1度ワクチンを与えて、抗体産生を強化するためです。この際1回目から2回目までの3週間・・・をヤキモキされる方々も多いようです。というのは、健康な人を対象にしたワクチンの有効性試験では、概ね90%程度が有効とされていますが、いくつかのワクチンでは、感染防止の確証が取れていないものもある・・・が、現行、わが国で行われているものは、世界的に認可されたもので信頼できると申せます。もちろん、100%の安全性を目指してはいますが、副作用ゼロのワクチン(予防接種)はないとも申せます、何より、今は対コロナ非常事態、専門家が効く・・・と保証したものは使うべき時期でしょう。

そもそも予防接種とは、ある病気に罹っていない人に、その病気を軽度に発症させることで、体内にその病気への本格的抵抗力=抗体を産生させるものです。健康な人を人工的に病気にする・・・だから重篤な副作用が出ると大問題です。私見とお断りしますが、集団を護る・・・つまり何百万、何千万人がある病気に罹らないようにするために、一人二人の犠牲者が出ても仕方ない!!と申しているのではありません。倫理的人道的に犠牲者前提のやり方を是とせよ!ではありません。自分が属する集団を護るために、自分が犠牲になる・・・美談かもしれませんが、諸手をあげて大賛成と云えないことはお判りでしょう。しかし、公衆衛生的に集団を護ること、全国民の感染を防ぐことを考えると、予防接種の利点と不利益をどう判断するか、なのです。

わが国には、予防接種による犠牲者への対策、予防接種健康被害救済制度が用意されていますが、世界全体では、未だに、幾ばくかの犠牲をも前提にしなければ、国民全体への予防接種が行えないところもあります。その昔、従事した難民キャンプでのEPI(The Expanded Programme on Immunization、予防接種拡大作戦)では、発熱や筋肉痛などは副作用の内にも数えられていませんでした。

さて、東京都でも、世田谷区と八王子市に待たれていたワクチンが届きました。きわめて少ない人数分ですが、それでも現場に届いたのはうれしいことです。

では、個人的に予防接種を受ければ、もう心配はない、マスクも手洗いも、対人距離も忘れて大丈夫、ガハハ・・・と笑ってもカラオケで絶唱しても大丈夫ではありません。時々、見聞する集団免疫という言葉がありますね。私たちの社会は、集団で出来上がっています。その集団の全体の60%程度が、抵抗力を持たないと、このウイルス君は鎮まらないのです。日本全体で云えば、6,000~7,000万人が実際に感染して抗体を持っているか、予防接種を受けた状態・・・まだまだ・・・です、ね。

しかも、やっかいなことに、新型コロナウイルスには、次々に変異株が現れています。現在、判っているのは英国型、南アフリカ型とブラジル型ですが、これらにはN501Yという共通の遺伝子変異が認められています。加えて、南ア型とブラジル型では、E484Kという変異があって、これが感染後に出来る抗体の力を阻害するらしいことも判ってきています。英国型は、既存のウイルスより感染力が高く、悪性化しやすいようですが、ここ1週間ほどの間、関西で広がりだした変異株が、今後、どのように広がり、どのような悪さブリを示すのか、大いに気になりますね。

結果として、世界保健機関(WHO)幹部が繰り返し通告しているように、「コロナ感染の新たな急増を抑えるには公衆衛生対策が重要であって、ワクチンは万能ではない。」ということになります。「ワクチンは素晴らしい手段で、非常に役立つだろうが、ある程度の感染対策の防壁となりうるという意味でのワクチン効果はまだまだ。」だそうです。

きちんとしたマスク、手洗い、対人距離・・・もう一度、肝に銘じましょう。

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