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コロナは終わり?油断召さるな!

有難いことですが、コロナ第5波はいよいよ鎮まりつつあります。が、第6波がないと考えている専門家はいません。大阪府では、10月25日、知事が「大阪モデル」の緑信号点灯とともに、事業者への「営業時間短縮、酒類提供の自粛要請の解除」を告げつつも、「感染状況、療養状況は落ち着いてきているが、ウイルスがゼロになったわけではなく、府民の皆さまには、引き続き、感染防止対策を徹底していただくとともに、特に会食を行う際の4ルール ① 同一テーブル4人以内、②2時間程度内の飲食、③ゴールドステッカー認証店舗の利用推奨、④マスク会食の徹底」を告げておられます。そして、次なる第6波のための医療施設整備が始まっているとの報道もあります。

私の周囲では、ほとんどの大人は、ワクチン接種を受けられています。では、子どもや青年層は?です。いつものことですが、JAMA(通称ジャマ、アメリカ医師会<American Medical Association>が1883年来、ほぼ毎週発刊する権威ある医学雑誌)の2021年10月12日号に「若者の入院増加に関係するデルタ変異株(Delta Variant Linked With Spike in Youth Hospitalizations)」という論文が出ています。

アメリカの新型コロナ関連入院の実態についてのネットワーク調査によりますと、2021年夏前にはほとんどなかったのに、デルタ型変異株(B.1.617.2)が広がった後、つまり2021年夏頃の子どもや青年層ー17歳までのすべての年齢層の入院数が増加しています。特に、4歳児以下と思春期世代の入院数が、10万人当たり0.2から2人と約10倍に増えています。

そして、12歳以上のティーンエイジ層でのワクチン接種が可能となった6月下~7月下旬にかけてのワクチン未接種ティーンエイジ入院率が、毎週10万人当たり0.8人とワクチン接種済青年の入院の10倍に上っています。そして、入院した子どもティーンエイジの1/4はデルタ型出現前後から、ICU(集中治療室)入室や人工呼吸器を要する割合も増加しています。

子ども、青年層への感染は、自宅療養者からとの報告も多く、日本でも、やむを得ずではありましたが、自宅療養が広がると感染者が増える危険性をはらんでいると申せます。

では高齢者・・・はどうなの、です。私、ワクチン2回接種しましたから大丈夫!と、高齢者がウロウロしてはなりません。

きちんと2回ワクチンをうけても感染する「ブレイクスルー(Break through 通り抜け)感染」が増えています。もちろん、ワクチンを接種したからと云って、その瞬間すぐに免疫力=抵抗力が上がるのではありません。体内で、軽い反応が起こって、1週間前後で、新型コロナウイルスに負けない抵抗力が生まれ始めます。そしてその後の長きにわたってその状態を持続したい・・・のですが、本当はどれ位の期間、効果があるのか・・・です。

Nature(自然、1869年以来ロンドンで発刊されている国際的に最も権威ある総合科学週刊誌)の2021年10月19日号に、ちょっとがっかりする、けど、何とかなると思える論文がでています。「COVIDに再感染する可能性は1~2年以内にあると、モデルは示す(COVID reinfections likely within one or two years, models propose)」によりますと、新型コロナウイルスSARS-CoV-2と3種の常在コロナウイルス(いつでもどこでも見つかる、悪さをしないコロナウイルス)と、最初のコロナウイルスであったSARS-CoV(SARSという急性呼吸器感染症の原因ウイルス)と、その10年後に現れたMERS-CoV(地中海辺りで流行った急性呼吸器感染症の原因ウイルス)の遺伝子データを組み合わせて、コロナ系のウイルス系統図を作成してそれら各ウイルスの性質が時間経過でどのように変化するかをモデル化して、研究した結果・・・それぞれのウイルスに対する免疫力がどのように低下し、どのレベルになったら新たな感染が起こるかを予測するのに必要な要素を推定できるというものです。

まぁ、ややこしいので、中身は別として、平均的に申せば、再感染は、初感染(して、ちゃぁんと免疫力が出来たとして)から4カ月後には約5%、17カ月・・・1年半後には50%の危険性があると判ったそうです。そして、いわゆる自然に獲得される保護力(抵抗力)は、これら3種の風邪コロナウイルスへの抵抗力の半分程度の期間以下しか持続しない・・・のです。そして、まだ判らないのですが、再感染した場合、どれほど重症になり易いか、なり難いかや、そもそも、再感染し易さ、再感染後の経過(COVIDと云う病気が長引くかどうかなど)には個人差が大きい・・・と。

もちろん、この研究は、あくまでウイルス学的な知見が基本です。それぞれのウイルスが持つ遺伝子の類似性から再感染に関連するウイルス形質の類似性が予測できるとする、あくまで仮定に基づいている・・・というややこしさには留意が必要だとの批判もあります。

結論的に申しますと・・・私が理解できたことは、過去1年以上、世界の多数地域で猖獗を極めてきた新型コロナウイルス“SARS-CoV-2”に感染してもデス、その人が予防接種を受け、きちんとマスクを付けるといった予防対策を行い続けない限り、1年か2年以内に再び感染する危険性があるということです。

新型コロナウイルスは、周りに似たような仲間が沢山あることで、ウイルス自身が簡単に装いを変えてしまう・・・ちょっと慎みのないヤツのようです。確かに、予防接種後のブレイクスルー感染、感染者の再感染など、麻疹のように、一度罹ればその後は一生大丈夫という、これまでのウイルス感染とはかなり異なる様相が理解できました。

まず、手洗い・・・石鹸がなくとも流水でしっかり洗うこと、アルコール消毒の場合は、格好だけではなく、指の間や手の甲もしっかり消毒すること、例え、発表される感染者数がゼロであっても、当面は、密集・密接・密閉はさけ、多人数の集まりも、今しばらく慎む。また、アルコールは・・・私は下戸ですが、何処でも飲めなくなるのは困りますので、お店が経営継続可能な範囲に限定する・・・良識の範囲で、あとは自宅でしょうか。

温度と湿度が下がる冬・・・インフルエンザ、コロナ系など呼吸器系ウイルスが好きな季節です。

コロナウイルスに負けないで、2021/22年冬季を乗り越えましょう。