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ハロウィーンとクロネコ

一時より鎮まっているような気がしますが、わが国でもハロウィーンという異国の行事が冬の到来を告げる風物化しているようです。

私は、40年以上前、アメリカの南部(なのに北 Northという文字がついている)ノースカロライナ州チャペルヒルに暮らし、この行事に初めて接しました。当時下宿していた家のインテリ女性家主も、ご近所の子どもたちにふるまうお菓子の小袋を用意していました。私も、当然、幾ばくかの出資を求められましたが、ついでに、そもそもの来歴もしっかり教えられました。

曰く、ハロウィーン(Halloween)は、キリスト教の行事やお祭りではなく、ましてユダヤ教のそれでもない。そもそも、これはケルト人(CeltとかKeltと書く)という・・・と、まるで異教徒と云わんばかりに強調された民族は中央アジアの草原にいた遊牧民で、馬に曳かせた戦車!でヨーロッパを制圧した、その民族の行事なのだ・・・と、念を推されました。何故、ヨーロッパでないと、強く念を推したのかは理解できませんでしたが、「ユダヤ人」であることに強い誇りと自負心をお持ちだった家主にとっては、協力はするけどあくまで異文化だったのでしょう。

そのハロウィーンは毎年10月31日です。

今では、アメリカだけでなく世界的にも広がっていますし、今年は日曜日。そして幾つかの国では、少しコロナが鎮まっている時期、盛り上がりもあるやもと思います。くれぐれも密集、密着、密閉しないこと・・・ですが。

ハロウィーンでは、かぼちゃをくり抜いて顔を作った「ジャック・オ・ランタン」を飾り、魔女、お化け、その他さまざまに仮装した子どもたちが練り歩きます。そして、「お菓子頂戴!さもないといたずらするよ!!」と、ご近所を訪れます。その中にネコがいます。クロネコです。私は、「クロネコやまと」さまがないと生活に支障をきたすほどお世話になっていますこともあって、常々、不満に思っていました。“Inside Histry”というネットジャーナルに、「なぜ、クロネコがハロウィーンや悪運に関係するのか(Why Black Cats Are Associated With Halloween and Bad Luck)」という寄稿がありましたので、ご紹介します。

それによりますと、13世紀頃に、カトリック教会が猫をサタン=悪魔と結びつけていたそうです。そして、最も古い迷信に、黒猫に出会うと不運に見舞われるというものがあるのだそうです。なるほど、西欧人にクロネコ嫌いが多いのは、迷信を信じているからデス。では、黒猫と不幸の関係がどこでどのように始まったのかについて、この寄稿の著者Elizabeth Yukoは、ハロウィーンと黒猫の関係について、今も残る迷信の影響を含め、次のように解説しています。

黒猫の迷信の起源・・・人間と猫の関係は、世界最古の文明のひとつ、古代エジプトに遡ります。当時、穀類を食べつくすネズミを駆除することもあって、猫は神の象徴とされていましたし、ギリシャ神話にも猫が登場しますが、魔法と魔術、月そして魔術の女神であるヘカテがペットとして猫を飼っていた・・・つまりヨーロッパの民間伝承では、ネコは魔女を助ける超自然的な生き物であったのです。

また、黒猫といわゆるオカルトは、1233年6月13日、ローマ教皇グレゴリー9世が発行した「Vox in Rama(教会公式文書)」に、「黒猫はサタンの化身と宣言されていた」と、『黒猫の話:真実の話と感動的なイメージ Black Cats Tell: True Tales And Inspiring Images』の著者R・M・ワイルドが記載しているそうです。

「この布告は、異端審問や教会の異端狩り、魔女狩りの始まり」となり、当初、ドイツで拡大していた当時の異端教団ルシファーを潰すためだった宣言が、瞬く間にヨーロッパ中に広まり、クロネコ悪者論が確立したようです。サタン=悪魔との結びつきに加え、黒猫は魔女とも密接に結びつけられていました。が、中世の魔女とは、キリスト教以外の異教を信仰していた人たちを示していたそうですから、クロネコ嫌いは宗教的偏見ですね。

中世ヨーロッパでは、キリスト教会と「魔女」は最初共存していたのですが、キリスト教会が勢力を得るにつれて、魔女=異端宗教を信じる人々を敵対視し、魔女を狩り、迫害・拷問し、殺し始めたそうです。が、「魔女は自然を敬い、植物や動物に深い敬意を払っていた」のですが、人間や動物、自然への愛情が「ディアボリック」、つまり悪魔的と見なされ、猫を連れた老婦人は疑わし・・・となったのです。本当は、魔女と猫と悪魔の間の関係だけではなく、「魔女的とされた女性と同じく、権威を無視する猫」と「価値のないものにも媚びる犬」を比較し、媚びない猫、自立した女性を嫌ったのだそうです。

そして、「魔女と猫」組は、いつしか黒猫に絞られ、理由は不明ながら、「夜になると姿が見えなくなる黒猫・・・狩りに有利な動物・・・」などの理由もあったらしいです。

トレド大学英米文学准教授D・コンポラ先生は、黒猫にまつわる恐怖や魔術との関連性は清教徒(ピューリタン)入植者とともに大西洋を渡って新大陸にも伝わったと云います。「魔女は身近なものに変身できるという考えは、魔女として訴えられた人々がペットとして飼っていた猫にも類を及ぼしたかも」と説明しています。

も一つ、ネコ嫌い的話題ですが、中世、猫が悪と結びついて殺されるのは珍しいことではありませんでした。ネズミに取りつく虱・・・猫とネズミの関係から、ペストが広がった際に猫を殺したこともあります。が、それは逆効果でした。ペストはネズミに取りつく虱が広げますから、猫を殺すとペストは余計広がります。

ま、猫、特に黒猫は色々災難を受けていますが、黒猫が横切ると良くないことがおこるという迷信もあります。中世、悪魔や魔女が黒猫の姿に変身すると信じられていたことから、黒猫=悪魔・魔女が道を横切ることはもっての外と人々は信じました。

こんな考えがルネッサンスの時期にも引き継がれ、黒猫が通り過ぎると、魔女が使いを送り込んでいると思われ、「恐怖を感じた当時の農民たちは、近くの教会で、神父様にお金を払って悪魔よけをしてもらい、猫にかけたかもしれない呪いを取り除いてもらおうとした・・・それは教会の収入源になっていたことを考えると、そのような恐怖心をあおることはあり得たででしょう。」

しかし、嬉しいことに、黒猫は不吉という考えは世界共通ではなく、黒猫が幸運をもたらすと信じている文化もあるそうです。

古代エジプトでは、猫の女神バステトに似ていることで、黒猫が尊ばれていましたし、スコットランドや日本でも、黒猫は繁栄の象徴として知られています。どうやら、黒猫を善良な生き物と見るか、邪悪な超自然的な力と見るかは、どのような伝承を受け入れるかによって決まるようです・・・と著者は記しています。

著者Elizabeth Yuko先生は、生命倫理学を修めた博士、ジャーナリストであり、今、日本では知られているフォーダム大学の倫理学の非常勤教授でもあります。

私は、クロネコも白猫も、猫はみんな大好きですが・・・犬派の方には余計な話でした。