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「男の料理教室」~ら・ふらんす会~

このタイトルから、どんな場所で、どんな人々が、どんなお料理を?そして、なぜ??料理教室など?とお思いになられましたでしょうか?

「社会的処方」という言葉があります。

処方箋(ショホウセン)とは、私たちが病気になったりけがをしたりして医療施設・医師を受診した際、その病気やけがに対して、どのような薬を、どのように用いるかを指定指示された文書として受け取るものです。すなわち、治療時の症状緩和、治療を目的に、薬(の種類)や1日あるいは一回当たりの使用量や使い方、時には使用期間や使用上の注意が記載されています。このような処方箋は、診察した医師、歯科医師、獣医師しか出せず、また、処方箋に基づき薬を処方できるのは薬剤師だけです。

これに対して、「社会的処方」とは、薬の代わりに、地域社会に存在する各種サークルやさまざまな活動など非医療的資源を活用し、人々のつながりを構築復活させ、孤立を防ぎ、生きがいや社会活動参画の機会をつくることを申します。最初はイギリスで始まったのですが、わが国でも数年来、耳にすることが増え、また、幾らかの試行が行われています。

毎度お馴染みの、「日本財団在宅看護ネットワーク」は、2021年12月1日現在、全国27都道府県に支店やサテライト、カンタキやホームホスピスを含め、111事務所となっています。「看護師が社会を変える」と大げさにぶち上げてスタートした事業ですが、特に地方の、急激な過疎化に加えて、病院や医院受診の制限がやむを得なくなった新型コロナパンデミックによって、医療施設へ行くことだけでなく、日常の集会や散歩・・・ご近所ウロウロも難くなった高齢者の日常生活は、急激に孤立・遮断化されているように見受けられるところも少なくありません。そんな中、私どもの仲間は、明らかな病気や障害がなくとも、近隣の皆さまの身体的健康のみならず、精神的社会的健康への関与を、あれこれ、模索しています。

訪問/在宅看護の大先達、秋山正子先生らがなさっている「暮らしの保健室」活動は、2011年の第1号以来、10年で50ヵ所以上に増えているとうかがっていますが、母体は、地域を看ている訪問看護ステーションです。各地域のニーズは異なるようですが、それぞれの場で、それぞれの人々と接「点」・・・点ではなく、接「面」のある看護職が中心になって・・・というよりは、看護師がきっかけを作って「住民の元気アップ」「地域コミュニティの再生」を支援しておられます。看護師が活動の起爆剤であり、継続のための応援団でアリマス!!

イギリスでは、各地域の住民は、必ずその地域の基本的保健医療=プライマリケアに責任を持つ地域医に登録されていますので、社会的処方も医師が行う・・・とのやり方に、まぁ、ワタクシも納得はします。が、日本の地域社会では、必ずしも住民のすべてが地域の医師に登録し、診察を受けている状態ではありません。もちろん、訪問/在宅看護師が全住民を看ているとも申せませんが、医療施設が少ない、と申すか、無いに近い地域では、在宅/訪問看護師の役割は確実に増えています。とりわけ、コロナで出歩けなくなった昨今、ただでさえ出かけ難い体力とウロウロすることへの抵抗から、ますます孤立を余儀なくされる方もいらっしゃいます。

そんな中で、私どもの仲間、福岡県田川郡香春町(かわらまち)で、2015年から訪問看護事務所「一会」、ホームホスピス「わこの家」を開業している特定非営利活動法人むゆうげんが、何とニース在住の国際的シェフ松嶋啓介氏  を講師に、街の中高年男性対象の料理教室を企画しました。私どもの在宅看護センター起業家育成事業でご指導を頂いてきた医療法人すずらん会たろうクリニック内田直樹院長のご仲介で珍しい組み合わせが始まりました。この試みは、12月6日、NHK福岡放送局で放映されたので、ご覧頂いた方もおありかもしれません。

私どもは「社会的処方ヤリマス!!」とぶち上げてはいません。が、訪問看護事務所の仲介で、素敵な会が生まれ、新たな連携の場が出来る様子を嬉しく拝見しています。その会の名は、なんと「ら・ふらんす会」・・・コロナもあって、参加者数制限は止むを得ませんでしたが、鶴我繁和 香春町長をはじめ、最年長85才までの素敵なウルトラ熟年紳士が、かわゆいエプロン姿で挑戦されました。準備やちょっとした介助は、九州栄養福祉大学の中野先生らがお手伝いくださいました。メニューは、鶏のクリーム煮、コロナもあって、会食はせず、ご自宅にお持ち帰りいただきました。

第一回の今回は、少し準備に手間取りましたが、これに味を占めて、次々、各地に広げたい・・・など、不遜な希望も生まれています。

われと思われる事務所はお手上げ下さい。

こちらはNHK福岡放送局で放映された時の写真です。