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第6波 オミクロン変異株への対処

やっぱり来た!!というのが率直な感覚でしょうか、新型コロナの第6波です。

新型コロナウイルスという新たな微生物の人間界進出が確認されたのは2019年12月末でした。中国の武漢で判明したそのものは、あっという間に世界中に広がりました。といって、ウイルス自身がフワフワと広がったのではなく、ウイルスを持った人=感染者(必ずしも発病していない)とともに新たな場所に到り、感染者が咳や息を吐くたびにエアロゾルとよばれる細かい、細かい粒子となって空気中に排出され、周辺の未感染者が吸う息とともに人々に広がって行きます。ですから、不可能ですが、地球上の70億人以上の人類が、1週間とは云わないまでも3日間だけでも、ピタッと動きを止めれば広がりは終息するでしょう。都市閉鎖(ロックダウン)や移動制限をかけるのも、多数者の密集や密着を避け、私たちがマスクをするのも、いずれもウイルスをまき散らさず、安易にウイルスを吸い込まないようにするためです。そして手洗いと予防接種、5波であれ6波であれ、対策は同じ、個々人・・・自分がまもればよいのです。

少し古い話・・・人間界に新しいウイルスが出現し、しばらくして私たちと共存するようになるのは稀ではありません。
第一次世界大戦の1918年、やはりパンデミック(世界規模流行)を来したインフルエンザウイルスは今ではスペイン風邪とよばれていますが、そもそもの発生はアメリカ カンザス州ファンストン陸軍基地のようです。第一次世界大戦の戦場はヨーロッパ、ロシア帝国、第三共和政フランス、大英帝国とアイルランド連合王国からなる連合国と、主にドイツ帝国、オーストリア=ハンガリー帝国からなる中央同盟国が闘いました。大西洋の彼方のアメリカは遅れて参戦しましたが、そのアメリカで発生したインフルエンザが兵士とともにスペインに移動し、免疫を持っていなかったヨーロッパ各地に広がった・・・初発がスペインと思われて名前がつきました。スペインにはご迷惑なことでしたが、兵士の移動に伴いヨーロッパ戦線各地から日本にも至り、大正風邪となりました。

当時は戦時でしたが、そもそも、今ほど世界的な公衆衛生や疫学や免疫学が確立していなかったこともあって、情報開示がなかっただけでなく、今ほど正確な数字はなかったと思います。が、当時の世界人口の最低約30%が感染し、死者は推定4,000万人以上、1億人との説もあるとか・・・いずれにせよ、今に至るまでの感染症あるいは疫学史上最悪であったこともうなずけます。

このインフルエンザウイルスには、A、B、Cの3型がありますが、大流行を来すのはA、B型です。いずれの型のウイルス粒子の表面にもHA(赤血球凝集素)とNA(ノイラミニダーゼ)という糖蛋白があるのですが、何とA型のHAは15種類、NAは9種類もの抗原性の異なる亜型が存在します。つまりこれらの組み合わせからなる多数変異株があるのです。毎年、インフルエンザの予防接種で、H*N*型とされるのは、色々な調査から、次に流行しそうなタイプが判るから、それに向けたワクチンが準備されるというわけです。

スペイン風邪はA型H1N1型と判明しており、1950年代後半のアジア風邪は同じくA型ですがH2N2型、そしてこの変化までの約40年間、A型H1N1インフルエンザウイルスは、いわゆる季節性インフルエンザウイルスとして私たち人間の間で大小流行を繰り返してきました。その後、約10年、1968年にはA型H3N2が流行し香港風邪とよばれました。これによってH2N2ウイルスは消え、代ったH3N2ウイルスは今も季節性インフルエンザウイルスとして残っています。さらに、1977年には100年前のスペイン風邪と同じA型H1N1が再出現し、ソ連風邪とよばれました。これもしばらく季節性インフルエンザとして残っていましたが、ブタ由来のA型H1N1が出現し季節型として残った後、人由来のものは消えたそうです。

いずれにせよ、人間に大流行を来すのはA型インフルエンザウイルスで、これまで4回パンデミックを来しましたが、すべて季節性インフルエンザウイルスとなっています。

そしてです。これまで4回もの大流行を来したインフルエンザウイルスなのに、現在の新型コロナウイルス流行後、世界的にも流行っていません。ムムム?なぜなの!ですが、マスクや手洗いなどによって、インフルエンザウイルスの伝搬も妨げられていることが示唆されています。

ところがです。世界の新型コロナウイルス感染がオミクロン変異株に置き換わりつつある現在、ややこしい状態が報じられています。インフルエンザと新型コロナウイルスの同時感染症です。両方の名前をとって、「フルロナ」とよばれています。そして、同時感染では重症化の危険性がある・・・高いとの説もありますが、昨年末に報告された最初のフルロナ感染報告例のイスラエルの妊婦さんは、どちらのワクチンも未接種で、二つのウイルスに感染したものの症状は軽く、無事に出産されたそうです。あまり過大に心配することはない・・・とされています。そもそもオミクロン株は、感染力こそ強烈ですが、症状は比較的軽いことが確立しています。もちろん、感染力が強烈な故に、第6波は、数日内で軽く1,000名以上の検査陽性者にいたりましたし、感染者が多いということは、当然、高齢者や若くとも肥満や糖尿病などの基礎疾患を持つ人々、またワクチン未接種者への拡がりは増えましょうから手放しでは安心はできません。が、3回目はまだだけれども、予防接種2回は終えている、三密を避け、手洗いもマスクもきちんとしているならば、今まで通りの対応で日常生活を続けて良いと思います。要は、一時に一斉に発病して、医療施設がパンクすることを防げるかどうか・・・個々人の意識が問題です。三密をさけ、マスク、手洗いは個人の責任です。