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アベノマスクの活用法ー日本財団在宅看護ネットワークが10万枚を活用!!

新型コロナが世界規模となり、WHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言したのは、2020年3月1日でした。当時は、ヨーロッパが大変な様子でしたが、まもなくアメリカ NYの混乱した状況が、毎日のTVに現れました。そして、わが国では、各地の知事たちが「三密を避ける」とか、「ソーシャル・ディスタンス!」などと書かれたボードを掲げて、毎日、TVに現れました。街では、マスク売り場が空っぽになっていました。

あまり耳慣れないN95マスクなどを求める人々も現れましたが、実際は、マスクの質よりも、きちんと装着することが大事なことも徐々に判りました。医療者のマスク欠乏の深刻さもありましたが、急激な国民一般のマスク需要の困難さから、政府・・・経済産業省が中心だったとか、国内のマスク需要に対して何とかせねばとの考えから、2020年4月1日の新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で、当時の安倍晋三首相が、国内全世帯に対して「布マスク」を無償配布することが発表されました。実は、現在もっとも有用とされている「不織布マスク」は、感染リスクの高い医療従事者に優先し、私ども国民は再利用可能な「布マスク」の使用で需給バランスを調整することも想定されていたそうです。

2020年4月7日に閣議決定されたこの方針は、4月17日に首相が記者会見し、「国民の高い需要に応じて布マスクを2枚配布する」と説明されました。そして、徐々に、全国配布されました。が、意外な評判は首相の経済政策アベノミクスになぞらえ、アベノマスクと、やや揶揄された感で広がりました。もちろん、総額260億円(2020年6月時点)の大金を費やした割に、やや小型で、ブッチャケた話、ちょっと使い勝手の悪いマスクが届いた頃には、街の薬局やスーパーには、色とりどりのマスクもあふれ出るようになっていました。

その後、2021年10月、会計検査院が用意した布マスクの3割弱(8,300万枚)は未配布で倉庫に眠っており、その保管に約6億円がかかっていることや、現在の岸田文雄首相が保管マスクの約15%(1,100万枚)が不良品で、追加対処費が約21億円と報告したことで、ちょっとまた話題になりました。岸田首相は、現在、市中にはマスクが行き渡っており、保管分は希望者に配布した上、残りを年度内廃棄すると発表されました。配布マスクが小さかったこと、虫や毛髪といった異物が混入していたこと、全土に行き渡るまでに時間がかかり過ぎたことなどなど、国際メディアも含め、全体評価は芳しくなかったと申せます。

かつての国際協力での経験を思い出します。

きっかけは善意、人々が必要とするものを差し上げたいとの考えは良いのですが、何を、何時、何処へ、どのように届けるか、そして経費は妥当で効果は十分予測できるか・・・です。

マスクという、きわめて日常的なものを、政府高官たちが議論して下さったことは大いに有難く思いますが、当時の薬局やスーパーでどんなものを人々が求めているのか、再利用可能な・・・を今の若者が受け入れるのか、具体性や実用性などなど、やや高度な政治的??判断すぎた気がします。後出しじゃんけん批判ですが・・・

国際協力でしばしば大きな失敗につながるのは「善意」に「膨大な予算」がついた時です。避難民キャンプや貧困国の地方村落を視察された政府高官が、純粋にかわいそうと思召して、子どもたちのためにノートや鉛筆や時には机や椅子を寄贈くださいます。先生がいない、学校が継続的に機能していない・・・しかも子どもたちは食べ物を探さねばならないのに・・・善意の学用品がどっさり来る、どこに置くか、配布をどうするか・・・受け取った側はお礼も申さねばならず、少しでも活用するには・・・と頭を抱えました。

さて、アベノマスクは、年末来、厚生労働省によって、個人や自治体からの配布希望を募っています。1月6日の時点で、約8万5千件の配布希望があったとして、締め切りを当初の14日から28日まで延期しています。

実は「日本財団在宅看護ネットワーク」の90名の開業看護師の中の一人から、年末に、在宅看護で使えるのではないか・・・個人で希望してもよいが、仲間に募ってみては?との申し出がありました。ネットワークへの呼びかけ後、78事務所から総計10万7千枚のマスクの配布希望があり、一括でお願いしました。

活用法は、高齢でマスクを買いに行けないとか、お金の問題もあるとか、本来のマスクとしての使い方をはじめとして、ガーゼを利用するなど、色々、在宅でケアに当たる看護師諸氏が工夫して下さるようです。8,000万枚のなかの10万枚・・・大したことはないでしょうか?私は、それらを工夫しようという看護師力に期待したいと思っています。