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吉田南&福間洸太朗デュオ・コンサート ストラディヴァリウス「ブース」を聴く

日本財団傘下の姉妹財団に、日本音楽財団があります。
この財団は、私ども笹川保健財団と同じく1974年設立で、事務所は日本財団ビル5階のお隣と、ちょっと親近感を持てそうなのですが、仕事の中身はゼンゼン異なります。

日本財団グループの多様性ダイバーシティといえばそうですが、私どもは、国内外の現場で、色々な困難、苦難をもっている人々の中に入り、生活とも密接した行動により、良一翁の目指された「地球は家族、人類は兄弟姉妹・・・今風に言えば、誰一人取り残さないLeave no one behind.」のための活動やそのような活動をしている人々、グループを支援しています。

対して、日本音楽財団は国宝に対して国際宝とでも呼べる世界的名弦楽器を多数、正確には、HPをご覧いただきたいのですが、21挺も所有されており、それらを国際的に活動されている演奏家や将来を嘱望される若手演奏家に無償で貸与され、それらが演じられる機会を通じて、人々に芸術的な、至高の時間、幸せ・・・うまく言えませんが感動・・・心の喜びをもたらす活動をなさっていると、私は理解しています。

数年前、十数挺の、それら国際宝的弦楽器の演奏会に参加させて頂きましたが、常日頃、ガサツな生活をしている私故かもしれませんが、言葉で言いあらわせられない感動を覚えました。実は、2013年、笹川保健財団に参って以来、コロナ迄の毎年、音楽財団主催のこれら名弦楽器演奏会にご招待頂ける幸せを享受させて頂いておりました。それがコロナで・・・

今回は、それらの名楽器の演奏を聴く機会が途切れていることから、広報としてライブ収録され、インターネット無料配信されるための・・・

吉田南&福間洸太朗 デュオ・コンサート

~ストラディヴァリウス1716年製ヴァイオリン「ブース」を聴く~

久しぶりのサントリーホール・・・サントリーのバイオ技術が開発した青いバラにちなんでブルーローズと命名された小ホールに参りました。

吉田南嬢は、医学を学んだ奈良県の天理市のご出身で、幼少時のデビュー頃からお名前は存じていましたが、何とまだ20代前半!そして何とダイナミックで感動的な演奏!さらに、伴奏の福間氏も40歳前・・・おふたりの年齢を合計しても私のそれよりはるかに若い・・・チト長生きし過ぎているのか・・・でも、長生きするとこんないいこともあるのだから・・・

演奏されたストラディヴァリウス「ブース」は、1716年に作られています。
1716年・・・日本は、徳川時代中期、創成期から成熟期に入った幕府には色々な問題が山積していました。しかも3歳で7代征夷大将軍を継いた家継が7歳で夭折し、紀州藩主徳川吉宗が8代将軍として着任した享保元年が1716年、幕府中興の祖の改革が始まる頃です。

世界では、イギリス王国はアン女王、フランスはルイ14世の時代。ドイツ辺りは、まだ、神聖ローマ帝国でローマ教会も勢力を持っていた。ロシアはピョートル大帝、インドはムガール王朝、中国は清朝康熙帝時代、アメリカはまだ生まれていない・・・そんな時代に、イタリア半島北西部のクレモナ地域で活動したアントニオ・ストラディバリと二人の息子がつくった弦楽器、現在、ヴァイオリン、ビオラ、チェロ、マンドリン、ギターなど600挺が残っているそうです。

昨年10月に小欄でご紹介した『あるヴァイオリンの旅路』という本を思い出しました。もともと、ヴァイオリンのような楽器はドイツに近い地域で試作されていたそうですが、当時のローマあたりからの顧客が多く、職人たちは南下して、現在のイタリア地域に定着したという風に書かれていました。そんな中にストラディバリ一家もいたのかもしれません。

今回演奏された「ブース」と命名されたヴァイオリンは、1855年、息子のためにこれを求められたMadam Boothのお名前によるそうですが、息子のために・・・とストラディバリウスを買われたマダムブースは、中世究極の教育マダムだったかもしれません。楽器は3世紀生き延びているのですが、その息子たちやご一家の歴は如何ならんですね。

楽器の真価は当然ありましょうが、モノであるヴァイオリンが勝手に音を出すことはなく、演奏者の力で楽器が生きるのだとも痛感しました。実は、子どもの頃、ヴァイオリンを少しかじっていましたので・・・

コロナのお蔭?で、少人数しか入らない演奏会、もったいない・・・と思ったのですが、モーツァルト、ブラームス、フランクの3曲、夜分、横になっても、耳の中で熱演が残っていました。

そして数時間後のtwitterには、南嬢の投稿が・・・

少し、びっくりの別感想、しばらく独演会にまいっていないからかもしれませんが、ウーム!時代は変わった、と思ました・・・
デュオのお二人は、古来の楽譜ではなく、iPad・・・?ピアノ奏者の傍で、的確に楽譜を繰る方の姿はなく、南嬢も、時折、譜面台をちょっと触れられる・・・演じるお二人の若さ、用いられている事態を超えた名人作の楽器を、iPad楽譜で演奏する21世紀の演奏家たち・・・時代の変遷を痛感しました。