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オミクロンと在宅看護

日本で初めて新型コロナ感染者が見つかって以来2年が過ぎました。このウイルスは、特に変異しやすいのでしょうか?次々、新しい変異株が報告されています。2019年12月8日に、武漢の海鮮市場での集団発生が、いわば《元祖新型コロナウイルス》の出現と思っていました、が、実はそれ以前に世界のいくつかの都市でも出現していたらしい報告が続いています。

まず、中国では、2019年9~11月にかけて、複数地域での存在が報告され、当初、ちょっと目の敵<カタキ>にされた武漢海鮮市場は、単に初のクラスター発生場所との見方もあります。ヨーロッパでは、スペインのバルセロナやイタリアのミラノとトリノの下水から2019年12月に、そして南米ブラジルでも同年11月採取の下水サンプルから、それぞれ新型コロナウイルスやウイルスの痕跡が検出されていますし、もっとびっくりは、中国奥地で、5年前の健康診断で採取された血液からコロナ感染の証拠もあったとか。つまり、新型コロナウイルス出現は、少なくとも、武漢の感染爆発!よりも前にあったらしい。アメリカでも、2019年12月の献血血液の1.4%で新型コロナウイルス抗体が陽性とか・・・現在のオミクロン変異株同様、初期症状がインフルエンザとまぎらわしく、そして健康成人では重篤にならないことから、単に風邪とみなされ、また、たまたま亡くなった高齢者なども風邪をこじらせて亡くなった・・・にまぎれた可能性は大いにあります。

こうして、世界の注目を浴びはじめた新型コロナは、その後、イギリスでアルファ型、南アフリカでベータ型、ブラジルでガンマ型、インドでデルタ型・・・と次々に形を変え、二つ目の南アフリカでの大流行となった変異株オミクロンに行き着きました。

これまで流行した変異株の概要を、エイヤァッとまとめますと以下のようです。

わが国の感染状況は世界各国に比し、決して、最悪ではありません。現場の緊迫感は伝わってまいりますが、最初の、すべて医療施設で・・・から、隔離施設で、そして5波頃からの在宅も含め、現場や行政の努力によって、何とかしのいできました。出遅れ感のあったワクチン接種も進みました。現在は、高齢者は医療保健関係者のブースターも進行しています。

世界保健機関(WHO)の2022年2月14日報告(2月13日現在の情報)は以下の通りです。

問題は、さらに流行が続いた場合への対策、そしてさらに近い将来に危惧される新たな新興ウイルスのパンデミック対策です。そして、世界のワクチン接種をみますと、以下のような状況です。未だにワクチン接種回数が100人当たり10以下・・・つまり、ほとんど予防体制が動いていない国が17ヵ国もあること(ブルキナファソ、ブルンジ、カメルーン、チャド、コンゴ民主共和国、エチオピア、ハイチ、マダガスカル、マラウイ、マリ、ニジェール、ナイジェリア、パプア・ニューギニア、南スーダン、タンザニア、イェーメン、ザンビア)に愕然とします。

日本の優れた看護レベルを世界化することには時間がかかりましょうが、健康と健康を得る手段を利用できることは、万人の基本的人権です。日本の看護職が、声を上げて欲しいと思います。

さて、第6波・・・東京では、2月2、3、5日の2万人以上の検査陽性以降、1万数千を行きつ戻りつしています。12、14日には、もう少しで1万以下・・・とも思いました。このような数字からは、ピークアウトに近づいていると読みたいのですが、ウイルスはしたたか、人間が油断すると、また、暴れます。今しばらくはきちんとマスクをし、手洗いをし、無用の出歩きを避けましょう。

長い2年間でした・・・と、早く過去形で話せる日が来て欲しいですが、国内では、医療の逼迫、医療崩壊!!!が声高に叫ばれた/ることもありました。が、保健医療分野の専門職以外にも、交通移動、物資移送や治安、通信などなど、わが国ならではのエッセンシャルワーカー(社会生活に必須の仕事従事者)のお蔭で、2年余の日常生活も耐えられてきました。

振り返ってみますと、1年半ほどは、緊張しながらも、用心予防のレベルにあった在宅/訪問看護仲間についても、5波以降は、第一線のケア担当者がその責任を避けることはできませんでした。そして、現在のオミクロンという新顔が跋扈し出してからは、在宅医療、特に在宅看護への負荷は急激に高まりました。

私どもの仲間「日本財団在宅看護ネットワーク」の全国の開業者たちも、かなりの割合で、検査陽性者、濃厚接触者のケアを余儀なくされています。そして、昨年2月からお世話になっている週一の「日本財団コロナ無料検査」でも、陽性あるいは疑いという結果が、この2、3週間、チラホラ出ています。幸い、仲間が感染発病し、加療を要したことはありませんが、幼児を抱えたり高齢者と同居したりのスタッフの緊張感と管理者のヤキモキは最高になっています。

近隣の高齢者施設でのクラスター的発生への関与を求められ、自宅内隔離の上、事務所には入らない体制で対処した事務所、看護師だけでなく、生活支援にあたる介護士との連携は必須故に、PPE=個人用防護具の着脱練習や情報伝達に時間を割いたり、また、利用者とその家族との接し方訓練をした事務所、さらに万が一、自分の事務所で感染者が出た場合、近隣同業者との連携を考えた交流ネット構築したところも少なくありません。一日も早く、少しのんびりと穏やかな在宅での看護が戻ってきて欲しいと念願しています。