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ウクライナ その1 ウクライナ問題とは

ウクライナ内相が避難、前線視察中に迫撃砲攻撃に遭遇

ウクライナ情勢 “親ロシア派地域 独立承認されれば制裁” EU

ロ、ウクライナ東部へ派兵命令 プーチン氏、独立承認

ウクライナは、一触即発からまさに噴火時点に到っています。

が、なぜ、ウクライナで戦争が起ころうとしているのでしょうか?そして、そもそも、なぜ、ウクライナとロシアがもめているのでしょうか?

国同士あるいは民族的なもめごとには、しばしば、当事者でなければ理解し難い、ややこしい因縁と長い歴史があると理解しています。この両国も然り・・・私の、偏見入り解釈ですが・・・

まず現在進行形の問題の最初、といっても古い話です。

ウクライナという地域が国として、西側諸国グループであるEU(European Union:欧州共同体 ヨーロッパの27ヵ国が加盟する経済的政治的連合。域内人的物的サービスと資本は自由移動、司法・内政に関する法律も制定、貿易・農漁業と地域開発も共通政策維持。1985年同意のシェンゲン協定範囲内地域はスポート管理なし。2002年以降、多くが共通通貨ユーロ使用、4,233,255.3平方キロメートル 総人口約4億4,700万人の一大国家ともいえる)に加盟する意向を示してきたことが根本だと思います。そして、それにも長い歴史があります。

この国は、30年近く昔1994年6月に「EUとのパートナーシップ協力協定」を調印(1998年3月1日発効)しています。また1999年12月のヘルシンキでのEUサミットでは「EU対ウクライナ共通戦略」が採択され、ウクライナとの欧州統合政策が改めて確認されています。

ウクライナという国あるいは地域は、ギリシャ文学にも出てくるほど長いルーツがあり、由緒正しき本家ロシア発祥の地で、その昔「ロシアの母」とも呼ばれたこともあるのですが、近隣諸国から侵略ばかりされ、その昔の帝政ロシア時代も、ソビエト連邦時代も、さらにその後、ソビエト連邦が消滅し、ロシア連邦とCIS(Commonwealth of Independent States 独立国家共同体)となってからも、経済・産業、政治そして軍備などなど、一方の雄として君臨する旧ソビエト連邦、そして現在のロシアを超えられない、どころかヨーロッパで一番貧困な・・・とさえ云われてきました。美しいけど、ちょっと弱き、意気地ない国なのかなぁ・・・数年前、90年代に財団が支援させて頂いたチェルノブイリ原発事故現場を訪問しましたが、その折の見聞とかつての国際機関勤務時代、現ジョージア出身の元ソビエト政府高官やウクライナ系同僚との対話などからの私のウクライナ観です。

歴史的に由緒正しく、ロシアのルーツと誇りたいウクライナ、ですが、ちょっとネガティブな気持ちが対ロシアにあるのかナと感じることが無きにしも非ず・・・一方、だから云うこと聞けば、チャンとめんどうみるとの想いがあるのに、靡<ナビ>かないウクライナにイラついているロシアのすれ違いみたいな雰囲気をチラと感じたことも事実。ちょっと・・・いえ、大いに違うと云われそうですが、その昔、天子様がいらっしゃるみやこの京と、明治維新で日本の首都となった東京への感覚・・・・かつての都は地方である東に向かうことは東下りでした。下るという言葉には別に偏見はありませんが、遷都後も「アズマ下り!」の言葉は残っていました。「お江戸ではなく、トウキョウ!!って、オオ怖<コワ>!」みたいな、ちょっとした羨望のある偏見もあったかも。というのが私の偏見。

ロシアとウクライナあたりは、一族の中にも、ご先祖もずうっとロシア人という方や一族全員ウクライナ人という人々もいらっしゃいましょうが、実に多彩な民族性が入り組んでいます。ウクライナ第4代大統領ヤヌコーヴィッチ氏のお父上はポーランド人かタタール人で、お母はロシア人、現大統領のゼレンスキー氏はユダヤ系ウクライナ人、女性首相を務められたティモシェンコ氏のお父上はラトビア人で、お母上はロシア人でご本人はウクライナ人・・・人種を云々することの無意味さが分かりますが、ローカルな対立や人々の帰属意識は政治や経済と云った個人のレベルを越えた国や領土問題の裏で、人々の日々の生業<ナリワイ>の中に想いがにじむのかと思います。

歴史的にはロシアの一角的存在だったのですが、ウクライナ政府は親西欧と親ロシアの間でゆれ、首都キエフの人々は親西欧で東部はロシア系で親ロ。背後に大国ロシアの経済支援や天然ガス補給もあり、感情的には親ヨーロッパでも生活はロシア依存・・・複雑になるのでしょう。

近年、ロシア系住民が多い東部のクリミア半島併合問題がありました。東部を構成するクリミア自治共和国、セヴァストポリ特別市とロシアが、国際的にはウクライナ領土とされている地帯のロシア連邦領土に併合することに合意する条約に調印(2014年3月18日 ロシアによるクリミアの併合)したことから、この地の住民によるクリミア自治共和国独立運動が発生、住民投票では圧倒的多数でクリミア共和国が独立、この経過の中で、当時の大統領はロシアに亡命されました。

看護関係者には忘れられないナイチンゲールの活動で名高いクリミア半島やセヴァストポリは、今いっそうホット、いつ燃え上がってもおかしくない・・・と申している間にも爆弾がさく裂しているかもしれません。その地は、今、実質的にロシア支配、国際的にはウクライナ領、何とも落ち着かない状態です。そんな環境で日々の暮らしを送らねばならない・・・民族や宗教、地上の国境線がない日本では想像することすら難しいです。

表面的かもしれませんが、住民の意志で独立したとしているものの、逆の立場からは、当然、国土侵害!と考えるウクライナや、国連、米、EU諸国もロシアによる他国侵略は国家主権と領土侵害であるとして、上記の併合を認めていません。そして、それが故に始まったアメリカとEU諸国の対ロシア経済制裁は、これまた当然ロシアの社会を痛めつけています。国際関係の何と難しいことでしょうか。

経済制裁だけではありません。対策も動いています。ウクライナ東部の状況悪化を受け、ロシアとウクライナにEUの二大国独仏が加わり、新たな和平プロセス「ミンスク合意」(2014年ミンスク1、2015年ミンスク2)が合意されました。武器の即時使用停止や欧州安全保障協力機構(OSCE)の武器使用停止の監視、東部ドンバス地方を特別な地位とするウクライナの法採択や前倒し地方選挙の実施・・・ですが、これらは案の段階からうまく収まりませんでした・・・まぁ予測通り。その間に、何とプーチンロシア大統領が、問題のウクライナ東部の武装勢力支配地ドンバス住民にロシアパスポート発行を認める大統領を発しました。(2019年4月)

一方、2019年5月に就任したゼレンスキー現大統領は親EU路線ながら、ロシアとも対話の姿勢、2020年7月には武装勢力とも停戦合意しました・・・にもかかわらず、2021年には、合意違反の小競り合いが増加し死傷者が相次ぎました。そして、現在の一触即発的状況の前兆は昨年からです。「ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)加盟することは認めない」と!なぜ、外国が云えるのか・・・ですが、ロシアはウクライナ国境付近にロシア軍を増強し始めました。ロシアの言い分は、ヨーロッパと北米の30もの国の軍事同盟で、相互防衛に合意した集団防衛システムであるNATOが、ウクライナを支援するのはロシアに対する脅威である・・・とし、2021年12月10日には「将来的にジョージアとウクライナのNATO加盟を認める」とした2008年のNATO首脳会議の決定取り消しを求める声明を発表しました。

これに対して、今度は、アメリカが「ロシアは、ウクライナ国境に10万人以上もの軍隊を配備し危機を引き起こしている!」とロシア側を非難・・・だんだんかつての冷戦構造のような事態となっているのです。プーチン大統領は、冷戦が終わった後の1990年代にもNATO加盟国は東欧に拡大してきたことに不信感があるのですが、特にNATO軍ミサイルの東欧配備を警戒しているとされています。まぁ、売り言葉に買い言葉・・・これが外交なのですね。

北京のオリンピック中は何もないとも予測はありましたが、ロシアとウクライナの国境沿いの10万人規模のロシア軍展開、さらにウクライナとも国境を接する北部のベラルーシにもロシア軍が派遣されました。プーチン大統領は、戦争は望まないと仰せですが・・・本当に一触即発状態です。

かつて、1999年夏前、バルカン半島の緊急事態、コソボ危機時でした。WHO本部緊急人道援助部の現場支援責任者として、迫りくる戦闘に対し、何処にどんな医療施設があるか、薬剤や資材はどのルートで補給できるか、何処に備蓄すべきか、そして各地の住民はどう避難するか・・・などシミュレーションしたことを思い出しました。また、かつての冷戦構造の時代、最後の代理戦争ともされたアフガンに関与して、連日、身近に銃声が響き、ミサイルの発射音や落下音が聞き分けられるようになる紛争近傍地で働きました。その後も、紛争地での保健事業関与の機会がありました。かつてと異なり、世界の多くは文民政府です。各国為政者が戦いを指示するのは何故でしょうか?彼らも人の子、ヒトの親でしょうに。

街や地域を壊し、環境・自然を破壊し、人の生命と健康を損ない、若者や子どもの希望を砕き、歴史や伝統文化を消滅させ、人間関係を狂わせるのが戦争、勝っても負けても得るものは皆無です。

話し合い、外交での解決をひたすら祈ります。