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新型コロナのその後

しばらく、ウクライナを取り上げることが多かったのですが、いわばこの急性の人道の危機に対して、慢性の人道の危機ともいえる新型コロナパンデミックは、もう2年半にわたって、世界中を席巻したままです。

人間の健康を侵す・・・と云えば、病気と云いがちですが、国と国の戦争、同一国内での地域紛争、誰かれなく生命や健康や社会的存在を脅かされるテロのような人為的暴力行為、自然災害そして慢性的にじわじわと進行し、その修復がきわめて困難な環境破壊とそれが原因となりがちな干ばつ飢餓、さらにいじめや差別偏見といった人的感情的行為など、世界には、人類の穏やかな生存を妨げる要因があふれているように思います。

さて、2019年12月頃に発生したらしい新しいウイルスはSARS-CoV-2と命名され、そのウイルスの感染で生じる病気はCOVID-19(coronavirus disease 2019)と呼ばれるようになりました。このウイルスの進化・・・変異はどんどん加速しているようで、私たち人類が屈服するまで変性し続けよ!とウイルス王国のキングかクイーンが命じているのかしらと思う程です。しかし、人類が滅んでは元も子もないのです。なぜなら、このウイルスは人間に乗っかって蔓延しているので、そのヒトが滅亡するとウイルスの生存もないのです。多くのウイルス疾患は、病原体であるウイルスとその宿主であるヒトの両者が、共に生き延びられる、ちょうどよい具合のところで折り合いをつけて共存します。が、この新らしいコロナウイルスは、特に、オミクロンと命名された変異株以降、異様に感染力を高めています・・・どうしてそんなに広がらなくてはならないのか??です。

しかもオミクロン株感染に関しては、感染力の強さのわりに致命力というか重症化力というか、病毒性は、かつてのデルタ株などに比して、強くないとされています。実際、感染後も、気道の上の方に留まっているため、気道の最終部である肺には至らず、したがって肺炎になり難いことも判っています。では、心配しなくてよいのかというと、何と、後遺症が多い!!広がりやすいが、急性的病原性はそれほどでもない・・・もちろん、基礎疾患があれば別ですが、なのに後遺症が多い・・・大阪弁で申しますと、「けったいな(奇妙な)」ウイルスです。

後遺症に関しては、オミクロン株に感染したヒトの体内では、ウイルスを排除するための免疫細胞があまり作られないので、回復に時間がかかるらしいことが最近の研究で判っているようです。でも、なぜ、同じ新型コロナウイルスなのに、オミクロンという変異株だけ、免疫対応が悪いのか・・・です。

ウイルスに感染した後の免疫学的な対応を研究されている京都大学上野英樹教授によりますと、オミクロン株に感染した人は、以前のデルタ株の感染者に比べると、ウイルスを排除する力を持った免疫系の細胞が極端に少ないのだそうです。先生の解説によりますと、ワクチンを2回以上接種した場合、新型コロナに対する免疫系細胞(白血球の中のリンパ球のT細胞とよばれるもの)を幾分保持した状態で感染している・・・通常は、新たなウイルスに感染すると、それを排除するために細胞が一気に増えるのですが、オミクロンではそれがない・・・パラパラと残っているウイルスのかけらも取り除けない状態・・・らしいのです。オミクロン株感染者の後遺症のある方では、ウイルスを排除する免疫細胞があまり作られていないとされています。つまり、悪さをするウイルスやウイルスの欠片が体内に残っている状態が後遺症のようです。もちろん、このような状態で、他人に感染させることはないのですが、本人だけがシンドイ・・・けったいなだけでなく、厄介なウイルスです。

しかしながら、日本のコロナ嵐は、アメリカ、ヨーロッパ、そして直近の中国、韓国さらに北朝鮮に比し、上手くしのいできていると、私は思っています。もちろん、第一線の医療者・・・医師や看護師の日に夜を継ぐ献身、公衆衛生専門家の貢献、そして住民自身の忍耐もあります。一億総コロナ批評家的な外野勢力をも含め、マスク警察も含め・・・幾ばくかの国に比べ、あまりきちんとした科学情報が出なかったこともありますが、この程度に収まっていることは大したものだ、と私は思います。

少し整理しますと、新型コロナのパンデミック(世界流行)は、現在も進行中です。

流行がはじまって以来、毎日、世界の情報を発信しているアメリカ ジョンズホプキンス大学のコロナ情報センターの発表によりますと、2022年5月17日現在、世界の感染者数は5億2千5百37万9,518人、死者総数は6百28万3,575人、ワクチン接種総数は、114億2,502万5,084人です。

同じ情報源による日本の感染者数は847万287人、死者数は30,176人です。ここしばらく、日本の感染者数は、沖縄県を除いて、低下傾向にあります。が、近隣中国の、ちょっと強硬に見える都市封鎖や発熱者ではなく「有熱者」という呼び方が出てきた北朝鮮の膨大な感染者数を思いますと、政府が発表しつつある海外交流の段階的制限解除措置に浮かれることなく、改めて、必要な場(密集カ所)でのマスクと、外出後のきちんした手洗いは継続しなければと思います。

なお、幾種類かのワクチンが出ていますが、結論的にはどれも少しは副作用がありますが、決定的に避けるべきものはなく、いずれのワクチンも、完全に感染防止はできなくとも重症化は防ぐことは証明されているようです。また、小児に関しては、重症化がほとんどないことから、ワクチン接種をためらわれる方も多いようですが、集団接種ではなく、親/保護者が、子どもの健康状態をきちんと把握し、また、予防接種の意義をきちんと理解した上で、医師とも良く相談して、受けるか受けないか、また、何時受けるかを決めることが必要でしょう。

この厄介なウイルス感染を集団免疫(地域住民の多くが免疫を持つこと)でしのごうとお考えの方もおありかと思いますが、激しく変容するがために、どうもその集団免疫は出来そうにない、予防はワクチンとマスク手洗い・・・が、このけったいなウイルス対策のように思います。

今しばらく、めげずに頑張りましょう。