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最長期間を率いられた宰相 安倍首相への銃撃

1週間前、あの「事件」が発生しました。手製の銃器が、安倍晋三元首相の命を奪いました。

改めて、そして謹んで安倍晋三元首相のご冥福を祈ります。

日本の各地、そして世界各国が、この悲劇を悼んで下さいました。
私自身に関しても、海外の数名の知人から、丁重なお悔やみと、世界で最も安全な日本でこんなことが起こるなんて・・・との驚きを述べたメールを受けました。

政治的信条や意見がどうこうではなく、何か言葉にならない想いがこみ上げました。それは、今もまだ私の中に残っていますが、映画やドラマでも、こんなことはあり得ない・・・本当に信じられない気持ちです、今も。

安倍首相には、仕事上、2、3度お目にかかりました。直々、お話する立場ではなく、数名のチームの報告の末席を汚させて頂いたり、会議にご臨席頂いた際、そのお出迎えの大勢の一人に過ぎませんでしたが、一度は握手させて頂きました。そして昭恵令夫人とも、ある催しで同席させて頂いた経験がございます。

が、それ故にではなく、何か、あまりにも理不尽なことが、白昼、堂々とまかり通ってしまったこと、それがよりによって選挙期間だったこと、それがあまりにも簡単そうに実行されてしまったこと・・・なんで、どうしてこんなことが斯くも簡単に起こってしまったのか・・・

急遽、予定を変えられたこと、結果として、不備は否めない警備がどうのこうの、現場での応急処置がどうこう、そして搬送の経過、最終的に不毛の闘いになってしまった母校奈良医大での処置、それぞれの場で、大きな悔いや反省や、怒りや、そして過剰の詮索やコメント・・・諸々がありますが、後出しじゃんけん的批判はいくらでも可能です。それぞれに怒っても詮無い想いが強くあります。色々なことで腹を立てる・・・気が短い私は、歳をとった今でも、怒りは身近ですが、そんな通常の怒りとはまったく異なる・・・そう、表現し難い気持ちです。

メディアの報道の諸々・・・当初「テロ」の文字や、どこかで「暗殺」という表現も見ましたが、すべて「安倍晋三元首相への銃撃」、「凶弾に倒れた元首相」と云った風に集約されました。

元海上自衛隊に属していたとはいえ、現在は一般市民である一人が、斯くも重大な事件を起こしたこと、準備万端余念なく進めていたとしたら、なぜ、判らなかったのか、周囲の無関心??

護衛や制度その他諸々、法律問題化されそうですが、権力を持たない、いわば弱者が政府や影響力の強い政治家や権力者を殺害したり、社会不穏を起こす行動をなす「テロ」でなかったこと、また、国家体制を揺るがせ政体を崩すために政府要人を殺害する「暗殺」・・・これもテロの一種とも申せますが・・・でなかったことに、どこかちょっとホッとしている自分がいることに、数日後、気がつきました。政治家として、わが国最長の宰相期間をお持ちの安倍首相が政府転覆の意図を持ったテロや暗殺で、非業の死を遂げられたとしたら、本当にこの国はどうなるのか・・・と思えます。

40年ほど前、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』と云われた時代がありました。その頃、世界第2位の経済を誇ったわが国の勢いを背景に、日本の国際協力が拡大しました。私はその頃、いわゆる国際保健分野に転向したのですが、特にアフリカ諸国では、日本への憧憬を強く感じました。

安倍首相の『美しい国へ』は2006年に出版されていますが、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の著者は、やがて日本が格差社会となって没落する危険も述べていました。

現在、日本という国の経済力は、なお世界3位にありますが、国民一人当たりの名目GDP(GDPとは国内で生産されたモノやサービス全体とその付加価値を含む国内の総生産で、名目GDPとは生産数量に市場価格をかけたもの)は39,339,84ドルで世界28位です(2021年)。世界の1位はルクセンブルグで136,701,40ドル、日本の3倍以上です。上位にはアイルランド、スイス、ノルウェー、デンマーク、アイスランド、スウェーデン、フィンランドと云った西欧諸国、アメリカ、オーストラリアそしてシンガポールが並び、カタールなど中東の国も入っています。日本は凋落しつつある・・・と海外の知人は申します。

安倍首相は、しかし、色々なネーミングとともに記憶されましょう。それらは重要な施策でもあり、また、卑近な対応でもありました。アベノミクス、アベノマスク・・・そして、2016年リオオリンピック閉会式でのマリオのいで立ちも、懐かしく思い出されます。世界の中で、日本、この国の存在、立場をしっかりと確立されたことが、世界中の元首からのお悔やみに現れているように思います。どの国の首相であれ、こんなことは未だかつてなかったようにも思います。

が、国内では、将来への展望が開けず、特に若者の意欲を掻き立てる事態が見えず、格差、訳の分からない差別・・・子どもの貧困、シングルマザー、ヤングケアラーなどの言葉が跋扈するようになっています。

安倍首相が目指された『新しい国へ 美しい国へ』をこわしたのは、いったい誰なのでしょうか?