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これからやります!!訪問看護の新しい活動ー日本看護管理学会から

本当のところ、今日のタイトルは「日本財団在宅看護ネットワークの活動」としたいところですが、その理由は以下に・・・

第26回日本看護管理学会が2022年8月19、20日に福岡市の福岡国際会議場 マリンメッセ福岡B館で開催されました。本年の学術集会長は、鹿児島大学病院医療情報部・部長(兼)特命副病院長 宇都由美子先生ですが、一般社団法人日本看護管理学会理事長は、前日本看護協会長で現在、東京医療福祉大学副学長で、同大学医療保健学部長と同部看護学科長および医療保健学研究科と助産学専攻科のそれぞれ科長を兼務されている坂本すが先生です。
すが先生には、上記の日本財団在宅看護センター起業家育成事業の経過中から色々ご指導を頂いてまいりましたが、その因縁?でしょうか、刷り込みでしょうか、ネットワーク仲間は、割合、看護管理学会に親近感?をもっているようで、しばしば発表させて頂いています。

そして今年・・・
枕詞的ですが、「日本財団在宅看護センター」とは、同名の研修を終えた約100名の看護師による看多機6を含む約130以上の事業所経営者の緩やかな連帯網です。研修は7年で終わりましたが、皆さまは、それぞれ事業の足場を固めつつ、多様な社会活動へも手を出し、口を出し、知恵をだして、つまり少しずつ関与が始まっており、さらに徐々に後継者育成などの動きも見えてきています。私どもが目指した『看護師が社会を変える!』の旗手たちです。

昨年度、コロナ嵐のサ中でしたが、その仲間の中に、3つの研究班「もどき」が生まれました。
失礼ながら、「もどき」と申すのは、ガチガチの、オーソドックスな方法論による難解なテーマの下に行う研究ではなく、実践の中で気付いたこと、「あれ?」と思ったこと、ちょっとこんなことやってみる?などなど、取りあえず、何かやってみよう、まとめてみよう、みんなで考えてみよう・・・というレベルで動き始めているからです。が、もちろん、活動は必要に応じて、財団設置の外部者による研究倫理委員会の承認も受けます。そして、21年度には、①訪問/在宅看護センターのコロナ対応(経過を第4回日本在宅連合学会で発表)と、②今後増やすべき看護師による看多機のあり方(まだ外部発表せず)と、③訪問/在宅看護事務所による妊産婦ケアと少子化対策、の「もどき」が動きました。その3つめの担当者たちが、今回の第26回日本看護管理学会の「インフォメーション・エクスチェンジセッション」に応募したという次第です。

タイトルは「訪問看護師による産前・産後ケアの展開—新たな取り組みの周知を図るため課題の検討」です。
北海道札幌市で、昨年開業したばかりの「株式会社町コム 訪問看護・リハビリセンターななかまど」の小六真千子さん、和歌山市で4年前に開業し、看多機でも医療ケア児対応に力をいれている「幹在宅看護センター」の丸山美智子さん、福岡県朝倉郡筑前町のやや過疎地で開業し、ちょっと苦戦中の「在宅看護センター日向ぼっこ」の小幡順子さんのトリオがとても、ユニークな試みを解説し、参加者とインフォメーション(情報)をエクスチェンジ(交換)しました。

実はユニークなのは中身がそうなンだ、というよりは、この計画を動かしている仲間の考え方がユニークだと私は思っています。すなわち、全国に展開している1万数千の在宅/訪問看護センターの中で、それぞれの事業所が中心的活動として「母性ケア」をどれ位取り上げているでしょうか・・・

もちろん、開業助産師さんはおいです。が、日本全体の助産師数は2020年に37,940人(令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況、厚生労働省)、その内開業助産所数は公益社団法人日本助産師会に所属している助産所では753件、分娩も行っている助産所となると86件(全国助産所マップ、公益社団法人日本助産師会)と、コミックならガーーン!!と書かれるほどわずかな人数です。もちろん、分娩のほとんどが施設で行われることから、施設勤務助産師が増えるのは道理ですが、産婦・・・よりも褥婦というか、お産後の諸々の問題を抱える女性、ひょっとしたら、そのパートナーは施設の産科にはあまり行かないかも、です。

妊娠分娩はお目出度い出来事、な~んにも問題は無い・・・との思い込み、また、不妊も含め、妊娠や授乳のことは産科医か助産師さん・・・と思い込み過ぎているのかもしれません。が、実は、マタニティブルーとよばれる状況は世界でも決してユニークではなく、出産後2週頃の女性の自死が高いことも知られています。

実際、最近、私どもの仲間から聞いた話ですが、大阪だったかと思いますが、分娩後のうつ的症状でとても難しい事態を、運よく、仲間の関与で事なきを得た・・・つまり、産後の難しい期間、相談する相手もなく、ドンドン落ち込んだ若いママさんの自殺願望に気付いた看護師の介入が、それを未然にふせいだという経過を知りました。

学会での発表の様子

さて、今回の発表は、統計上、世界でも稀な優れた妊産婦指数の日本ながら、実は妊娠・分娩・周産期をめぐる様々な社会的心理的そして保健医療的な問題の存在に対して、街の看護師がどのように関わっているか、いないか、そして今後、どうすればよいか、どう関われるかを、既に少数ながら介入経験を持っている北海道は道庁のある市街地札幌街の真ん中の「ななかまど」、地方都市県庁所在地ですが、かなり自然もある和歌山市の「幹」、郊外というよりも農村部であり、お産も少ないが、そもそも人口が減りつつある福岡筑前町の「日向ぼっこ」が、街の様子、人口規模、妊産婦ケアなど保健医療体制の各種各様とさまざまな問題を提示してくれました。

ハイブリット学会ではありましたが、会場に来られていた方々は、次々に、クエスチョン(疑問)やインフォメーションを下さいました。もちろん、たった数ヶ月の研究「もどき」で何か確固とした方針が出たわけでもなければ、たった1時間の学会の場で、全国的に適応しうる手段が合意されたわけでもありません。

しかし、私がご参加の皆さまからの共通のご意見として受け止めたのは、沢山あるというのではないし、そもそも、どの地域でも出生数は激減している日本ですが、だからこそ、どこにでも緊急で、ややインテンシブな介入を要する妊婦、産婦、そして子育て経験のない女性や、男性つまりカップルがいることを、街の看護師が理解しておくこと、さらに、時には、緊急の深刻な事態もあるということへの準備・・・ややメンタルケア的体制が必要なこと、だからこそ、各地域社会の看・護りを担当する看護師こそが出来る、看護師なら可能なことがあるとの共通理解が出来た感触を得ました。どの地方の方からも、必ず、そのような事態があることに気付き、時には何らかの関与を経験されているとも思いました。問題に気付いたとしたら、それをどうするか・・・訪問看護師では対処できかねることがあったら、どうするか・・・色々、話題の発展を感じました。

ひとりひとりを大事にすること、病気ではなくそれを持っているヒトを看ることは看護そのものですが、ヒトを取り巻く環境、街とその保健体制への関与も、重要な役割だと、私は考えていますので、このような制度的取り組みを、とても嬉しく拝聴しました。

ひとつ、私が、思わずフフフとなったご質問もありました、それは、なぜ、札幌と和歌山と筑前町の看護師がこの問題に関与しているのかとのお尋ね・・・それが「日本財団在宅看護ネットワーク」の強みなのですが・・・2014年からの7年間行った起業家育成8ヵ月間の研修には、28都道府県から108名が参加しています。研修は、ひとまず終わっていますが、今後は、各地に開業している仲間の事務所でのOJTによって、同好の士を増やしてまいります。

ご関心の向きは、「日本財団在宅看護ネットワーク事業」を企画、管理、運営している笹川保健財団にご連絡下さい。