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研究助成の発表会・・・多職間連携の新しい試み

久しぶりに、保健医療の実践の場で活躍なさっている若い人々と直接接する機会をもち、しゃんとしました。昨日は、コロナで中断していた笹川保健財団の助成事業・・・支援させて頂いた研究の成果の発表会でした。

笹川保健財団では、目下、在宅看護の拡充、地域における看護力の確立に鋭意努力していますが、決して看護以外を無視しているわけではありません。特に、長年の研究・調査への助成支援では、多種多様の保健関連分野から、様々な申請を頂いています。この3年間は、新型コロナウイルスに蹂躙されてきた現場のご苦労は、主に事務所仕事の私どもには想像もつかないと思いますので、手を変え品を変えて、可能な限り、研究遂行を支援させて頂きました。その中から、私どもは、地域包括医療制度が必至の今日、研究・調査面での、いわゆる多職間連携をどう支援すればよいのかも思案してまいりました。

今回、2020年来の報告会を行うにつけ、助成させて頂いた方々の中から、とてもユニークあるいは火急の要ある研究をなさった方々のお知恵とお力をお借りして、「多職間連携のための新たな試み」と銘打った報告会を開きました。

総括そして当日の司会進行を横浜市立大学総合診療医学准教授日下部明彦先生に委ね・・・と申すより丸投げしました。先生は、臨終の場における医師のマナーとか、死に至る経過におけるsexualityとか、ホントに本当に、遭遇したら戸惑う問題をていねいにフォローし、そしてきちんと調査研究し、発表下さっているだけでなく、そのFacebookの面白さから、私はすっかりファンになっております。で、丸投げの成果が昨日の、とても面白い発表会でした。

全体の司会は日下部先生でしたが、18名4グループには、それぞれに先生ご指名の、またまた素敵なサブ司会者が選ばれました。

医療法人財団老蘇会静明館診療所 大友宣先生(医師)、
第一薬科大学看護学部 濵田裕子先生(看護師)、
尚美学園大学総合政策学部 高橋幸裕先生(社会学者)、
上智大学総合人間科学部 塚本尚子先生(看護師)の、
日下部先生に勝るとも劣らぬサブ司会ぶり、機知に富み、学問的にも深い質疑を短時間でなさってくださいました。その後、22名が、A4一枚程度の研究のまとめを提示したうえで、ポイントをごく短時間に発表するという神業的セッション!!が続きました。

話題は、老衰から新生児、妊婦ケア、独居者にわたり、難病のALS(筋委縮性側索硬化症)からハンセン病、都市の急性期病院の医療から中山間過疎地の保健活動の発表もありました。多職の順不同ですが、医師・看護師・助産師・保健師・歯科医師・薬剤師・栄養士・リハビリテーション技師・心理専門家・芸術家・社会活動家・・・そして介護関係者や行政もが関与した、さらに病気の、そして地域の保健医療の主体である患者=住民、家族をも含む多種多様な取り組みが論じられました。

医学部を卒業して半世紀以上の私には、病気を治す病院、健康を護る地域と云った二分法の考えが無きにしもあらずですが、参加された皆様には、そんな時代遅れの考えはないようで、その場その場で、その時その時に応じて、持てる知識、能力をフル活用することが身についておられるように拝察しました。

さて、財団では、この多様な知の集団をどのように支援させて頂けば良いのか・・・まずはネットワーク連絡網を構築し、引き続き、今回を仕切って下さった日下部グループに委ねて全国横断?縦断?の面白い、ワクワクするような取り組みを構築できないものか?老いの夢が膨らんだ一日でした。