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アッテンボロー『生命・地球・未来』を読んで ー美しい地球を再生しましょう!

かなり前でした。偶然見たyoutubeで、BBCで多数の科学的かつ現場拠点の自然派ドキュメンタリーを制作されてきた生物学者でもあるサー・デイビッド・アッテンボロー博士が、英国の幼い王子王女と話される番組を見ました。1926年生まれ、94歳のアッテンボローと、それぞれ7歳、5歳、3歳の王子王女が、動物のお話をなさる・・・素敵な短い番組でした。エリザベスII世陛下にそっくりとされるシャーロット王女がクモが好きとか・・・ヘェェと思いました。ほほえましい素敵な短編でした。

アッテンボロー「生命・地球・未来」とユヴァル・ノア・ハラリ「人類の物語」

今回、そのアッテンボローの番組を書籍化した『生命・地球・未来 “A Life on Our Planet”』が出ました。とても興味深い・・・と云うだけではいけない、地球上で進行している深刻な事態への警告ですが、決して脅迫ではなく、私たちが、今、やれること、やらねばならないことを、希望と可能性をもって記されています。ぜひぜひ、ご高覧頂きたいと思い、ご紹介します。

要は、人類が増えすぎたこと、主に先進国の住民・・・つまり日本に住んでいる私たちも含め、現在快適な生活を送っている、地球上の全人口からみると一部の人間が、限りある地球資源と自分たちの存在をゆだねている環境を破壊しつつある、少なくともその原因を作っている、そしてそうなのに、それに気づかず、あるいは気づいても対応できていない。という現状を指摘されています。

誰も悪意はないのだけれども、そして、私どもは、日々、すべての事々をそれほど深刻に考えては生きてゆけないのですが、まあまあ、ナアナアと流されてきたことのツケが現れているということを指摘された本であり、元々は番組でした。

個々人の行っていることです。例えて申せば、「ゴミ・・塵芥〈チリアクタ〉」。私一人の出すそれは取るに足りない、少量です。が、それが10人、100人分ではなく、万人、100万人分となると、個々人のレベルでの対処は不可能になります。例えば、私が毎日、たった10gのゴミを捨てる。ほんのごくわずか・・・です。が、100人なら1,000g、1kgのゴミになります。しかしながら、このレベルなら、私が地域のゴミ処理係でも、何とかできそうな気がします。ですが、10日間になると10kg、ちょっとやれんなぁとなります。

人口10万人の居住地なら、毎日、一人がたった10gのゴミしか出さないとしても、1日百万g=1,000kg 、つまり1tです。10日間では10t、1ヵ月でゴミ約30tです。100万人になると街を押しつぶしましょう。そのツケが、地球全体に及ぶ前に、行動を起こす、とアッテンボロー博士は仰せなのです。

私が住む西東京市でのごみ排出量は、「西東京市の環境の現状と課題」(西東京市)によりますと、市の計画と市民の協力によって、大幅に減少したのち、過去数年間、5万1千tを上下しています。やったらやれることがあるのです。

私たちは便利に慣れすぎてしまっています。そして、生活の仕方を50年、100年昔に戻すことは不可能であると同時に、それが目的ではないのです。より効率的で、より継続的な暮らし方をどう求めるか・・・それこそがアッテンボロー博士が仰せの、地球環境をまもり、継続的な生命と地球につながり、私たちの未来をまもることにもつながると思います。

ほんの少しだけ中身を申しますと、『生命・地球・未来』の原題は、“A Life on Our Planet(私たちの地球の上の生命=生活)”ですが、博士の意図は、環境保護にあるように思えます。23億人が住んでいた1937年には地球上の自然は66%残存していたが、89年には人口51億となり、残存率は49%、2020年には78億人で、残存率は35%・・・その失われつつある本来の地球の自然をどう回復するか・・・が博士の提言です。導入部は、現在、戦争状態にあるウクライナでかつて生じたチェルノブイリ(チョルノービリ)原発事故で打ち捨てらたプリピャチの街・・・人がいなくなって自然が回復している様子から始まります。私も、先年、31年目のチェルノブイリに参りました。幼稚園のベッドに放り出されたままの人形、壁から外れたままの子どもの絵・・・朽ちた家の床からたくましく育っている植物・・・自然の回復力、横文字ではレジリエンスを実感しました。

本の後半では、このまま破壊が進行し続けばどうなるか、そして地球を再生する方法は何かが、やさしく述べられています。環境は、個人では何ともならないと思いがちですが、何とかしなければなりません。
良い考えを出し合い、未来の世代に美しい地球を届けたいものです。