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ICN CONGRESS in モントリオール–2 笹川保健財団の催し二つ Sasakawaランチョンミーテングと看護フェロー広報ブース

モントリオールでの2023年ICN(国際看護師協会 The International Council of Nurses/ICN)大会は、たいそうな盛り上がりで進行しています。今回は、笹川保健財団が行ったランチョンミーティングと展示場での広報をご報告します。

今大会では、若者の関与を強く求められる意向があると察知したことから、笹川保健財団では、進行中のSasakawa看護フェローの参加とともに、日本の看護学生院生へ新たな支援体制を作りました。その結果、海外留学中を含む18名が応募、審査の結果9名がモントリオールに集結して下さいました。

まず、Sasakawa Luncheon Meetingは、会期2日目、国際会議場内の大会本部に近い、大きな部屋・・・小型ホール?に、8~10人が掛けられる丸テーブルが14,壁際にはブッフェのご馳走がならびました。ちょっと、集客できるかドキドキしましたが、三々五々集まって下さった、数十名の国際色豊かな看護師たちは、とても反応よく、最後は時間切れに近い盛り上がりでした。日本からの参加学生院生とフェローを含めると、参加者は総勢100名弱でした。

まず、開会後、私が、極短く財団を紹介した後、ICN理事を務められている千葉大学大学院手島恵教授が、一言述べて下さいました。その後、この大会に参加した3名のSasakawaフェローが、それぞれ、アメリカの大学院での関心分野や目標を含む自己紹介をしました。2022/23年度からワシントン大学に留学中の渡邊さんは、昨今、日本でも話題になっているNurse Practitioner(ナースプラクティショナー NP)制度に関して、欧米諸国では、それがどのように生まれ、変遷発達しているのか、およびご自分が、Sasakawa看護フェローになって以来、どんな活動を開始したか、そしてここが重要なのですが、どのように看護への視点が変化していったのか・・・などなど。

そしてメインは、ワシントン大学看護学部長を務めた後、現在も同大学でGlobal Healthに関与している国際看護界の重鎮マーラ・サーモン博士が、様々な動物の写真(もちろん、私用のネコ写真も!) を用い、格調高く、リーダーのあるべき姿、将来性を解説下さいました。

通常の看護学からすると、エエッ、これが看護の講演?と思いそうな、深く広い洞察でした。そうです。看護のリーダーとして重要なことは、視野を広くもつことと断言されました。そして、何を感じ、どう表現するかが大事なのだと。こんなこと、あったりまえ!ですよね。でも、やれていますか?

フェローの一人、2023/24年度からエモリ―大学での研修が始まる岩水さんは、カメの写真から啓発を受けました。日本のウサギとカメの駆けっこを思い出してください。カメは、どんな場合でも、自分のペース-keep own pace-で進みます。遅々としての前進です。が、看護の発展、そして看護師の活動や立場の確立とさらなる自立は、ゆっくりでも着実に進むことで達成できると理解したと。

ジョンズ・ホプキンス公衆衛生学大学院の同窓生として30数年来の知己であるマーラは、そもそもは看護師ではありますが、国際保健分野でも大きな存在であり、かつてエモリ―大学とワシントン大学の看護学部で共に2期の学長を務めており、現在も、世界の看護界と国際保健分野で光を放っています。

参加者の反応も、一瞬のとまどいがあったようには見えました。が、熱心にペンを走らせる・・・というよりも、キーボードをたたき続ける方々を拝見したことは、この講演、多分、今後、ジワッと効いてくるのでしょう。

ちょっとしたハプニング?は、ICN会長のPamela F. Cipriano博士がフラリ現れ、ICNと笹川保健財団は、長きにわたり良い関係を築いてきたこと、Sasakawa看護フェローは、世界の看護にとって大きなインパクトを与えるであろうこと、さらに、フェローたちだけでなく、日本を超えた世界の看護師たちにも、今後、広い機会が与えられることを期待したいと、コメント下さいました。光栄なことでした。

もう一つの財団活動は、展示会場でのSasakawa 看護フェローの広報です。目下、この奨学金は、日本の看護師免許保持者に限定していますので、それを持たない外国人には、関係がないと云えばないのですが、実に多数の方々が、ブースに立ち止まられました。

ここは主に3人のフェローに任せたのですが、前述の岩水さんは、かつて働いた南米での経験から、スペイン語も駆使して、南米、北米、オセアニア、アジア、ヨーロッパ、アフリカ全大陸からの訪問者を、見事にさばいてくれました。その対応を、後ろで眺めていて、新しい世代・・・というか、彼女たちのスマートな応対こそが、日本社会の中で、ともすれば見えづらい「看護」の社会的立場・・・認知度を改善するであろうと、嬉しく眺めていました。