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ICN CONGRESS in モントリオール-1

会場のモントリオール国際会議場

ICN大会は、隔年で開催される国際看護師協会(The International Council of Nurses/ICN)の各国代表者会議にともなう集りですが、保健医療系の国際会議の中では、最大級ではないでしょうか。2023年の大会が、7月1~5日、カナダのモントリオールで、カナダ看護師協会と共催で開催されています。

財団では、2014年開始の「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業に続き、2021年に「Sasakawa看護フェロー」海外留学奨学金制度を開始しています。前者では、日本全国に90数名の研修修了者が、「カンタキ」8ヵ所を含む150以上の事務所を稼働させており、その仲間の知見は、毎年、日本在宅医療連合学会で報告しています。後者は、看護系では世界最大と自負していますが、実に贅沢な奨学金制度です。厳しい審査を通ったSasakawa看護フェロー(日本の看護師免許保有者、国籍は問わない)は現在27名となり、22/23年学期の留学生3名に加えて、間もなく始まる23/24学期には5名がアメリカ(カナダは該当者なし)の各種保健系分野のベスト10内にある各大学院で、修士または博士号を目指します。

ワタクシ(喜多悦子)は、看護は、国境や国籍、人種やジェンダー、年齢や所属・立場の如何を問わず、受け手も働き手も、共にuniversal世界的と考えています。少し残念なことは、斯くも多様性を増す世界の中で、私自身は世界最高と信じている日本の看護がいささか見えづらい・・・ことです。日本の看護・・・その技術や対処の実際、考え方やあり方は、私が経験した多数の国々のそれらに十分優っているのに、日本の看護、看護教育そして看護活動は素晴らしい!!との情報は寡聞にして聞きません。

そんなこんなもあって、自称看護応援団をつとめていますが、これからは、急激に変化が始まる予感ではなくて、変化は必須であることをモントリオールで実感しました。

クロアチアの参加者とSasakawa看護フェロー

今回、財団では、ICNモントリオール大会に参加する看護学生・院生の参加支援を決定したのですが、広報がやや遅れて、実際に希望者が出るか危惧しましたが、学生院生あわせて12名(上記フェロー3名を含む)が参加して下さいました。数の話ではなく、彼女彼らの行為は、おおいにvisible(見えた)というより、diversityの中で、ピカリと光って見えました。

まずは開会式前日の学生議会(Student Assembly)です。
各国・・・といっても数十の国でしょうが、個人の資格で参加登録した学生、院生たちの集会に参加しました。少しではなく、かなりびっくりしたのは、多数国で、看護学生の集会が定例化されていること。そして、その議長らは、世界の保健医療、看護教育に目を向けて、活発に発言していることでした。グループワークでも、実に要領よく仕切る若者の生き生きした表情、行動に大いに啓発されました。主宰者の説明後、百数十名の参加者、すなわち学生院生らは、10名程度のグループに分かれ、三つの設問に対して議論していました。主題は、①それぞれの国の看護協会が、学生や新卒看護師らと連帯する際のメリットとは何か、若者世代はどんな効果をもたらし得るか? ②個々の学生や新卒者は、看護協会にどんなことを期待しているか? ③最も緊急性のあるグローバルな健康問題は何か?でした。

私のような高齢者がウロウロしがたい若さ蔓延の会場でしたが、チラチラ見る限り、Sasakawa看護フェローも財団支援で参加した学生院生たちも、しっかり発言し、それぞれのグループの中で、場所を占めている感じ・・・日本人も変わった、と実感しました。議論沸騰したためでしょうか、延長した意見交換後、三組が発表しましたが、熱気ムンムンでした。

向こうの端まで、ぎっしりの開会式場

そして7月1日、ICNモントリオール2023大会が開会しました。

複数の看護協会を持つ国もあるので、正確に何ヵ国とは申せませんが、それぞれのお国柄の衣装での登場もあって、数千人(主宰者の発表では100ヵ国以上、5,000人程度)の看護職が一堂に会する壮観さは言葉にはなりません。もちろん!日本看護協会は会長他和服でのご参加でした。

一般に、看護師・・・女性のイメージが強いですが、私が指折り数えた限りですが、1名または複数の登場者全員が男性という国(看護協会?)が、何と17もありました。それも若い男性ばかりではなく、年配の男性2人も。年配と云えば、やや高齢化?と思う国もありましたが、若々しい女性と男性のペアからなる国々もありました。

式の間に、色々なスローガンが現れましたが、私が印象的だったのは、この大会のスローガンでもある“Nurses together: a force for global health(団結する看護師—グローバルヘルスの推進力)”、“Caring with Courage(勇気をもってケアを).” と ”Nursing for Peace(平和のための看護)“でした。次回は、財団関与の活動を報告します。