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Chair's Blog 会長ブログ ネコの目

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「子どもが壊れてゆく・・・」 

何ともショッキングなニュースです。日本では8月21日に、「英看護師の女が新生児7人を次々と殺害、最年少の被害者は生後わずか1日」(Yahoo news)と報道されていましたが、イギリスで新生児室勤務の看護師が7名の赤ちゃんを殺め<アヤメ>、さらに他にも6名の殺害未遂で有罪判決を受けました。

アメリカではThe Washington Post紙が、その事件と共に、同国での類似犯罪を取り上げています。“Neonatal nurse found guilty of murdering seven babies in her care”(The Washington Post、2023年8月18日)

イギリスの「ルーシー・レットビー事件」です。イギリスでは、当然ですが、大きな関心を呼んだだけでなく、新生児関係で働いている看護師たちに、かなりの動揺があるそうです。

事件は、イギリス・イングランド北西部チェシャー州にある「チェスター伯爵夫人病院(550ベッド、非常勤スタッフを含む勤務者数は5,200名とあります)」の、かつて勤務していた新生児室で、看護師ルーシー・レットビーが7人の赤ちゃんを殺害し、さらに赤ちゃん数名の殺人未遂を起こしていたというのです。8月21日に有罪判決を受けましたが、判決が出るまでの10ヵ月間、国内の注目を浴び、国民の怒りを引き起こしていたといいます。報道によりますと、裁判官は「この事件は非常に悲惨で苦しい」と表現しています。どの年齢の人でも同じですが、やはり赤ちゃんは特別です。

「事件」は2015、16年頃の話です。夜勤であれ日勤であれ、レットビーの勤務時間帯にだけ、理由のつかない新生児死亡が増えたことを、病院幹部医師たちが医学的に説明できない・・・つまり不審な死として警察に通報した・・・結局、逮捕は2018年で、それからさらに5年を経た今年2023年に有罪判決が出ました。

多分、誰しも、もし赤ちゃんが生きていたら・・・と思うでしょう。現地警察の主任捜査官は、 「(犯人は有罪になったけれども)今は祝うべき時ではない。この事件に勝者はいない」と述べています。判決後、政府は、改めて、病院に独立した調査を命じています。報道では、殺人の手段はどこにでもある本来は無害の物質か治療用薬剤が使われたとし、その方法も述べていますが、ここでは、それは記しません。

ただ、この「犯人」は、何となくマークされていたようで、「常に悪意があるような存在・・・」と非難されています。赤ちゃん殺し!当然ですが、イギリス大衆にも衝撃的でした。裁判の間、レットビーはずっと自分は無罪と主張し、新生児ケアの不備を認めたくない一部医師が自分をスケープゴート(犠牲)にしたと主張しているそうです。

一方、アメリカでも、最近有名な事件がありました。2022年に、ニュージャージー州で、患者29人を殺めた看護師は、終身刑11回が言い渡されています。が何と、これをもとに“Good Nurse(良い看護師)”という映画が作られています。実際には、数百人を殺したかも・・・と。

日本でも、最近、若い女性が男性の首を切断し、持ち帰った事件では、その父である医師が関与していたことにショックを受けた方もいらっしゃるかと思います。

ひとを殺すことは誰がやっても同じ行為です。
しかし、人を救うことを本務とする看護師が、助けるべき人に手を下すことは、言葉厳しく申しますと、本来、人殺しの場でもある戦場での行為とは異なります。重い病気を持った患者が亡くなる・・・当然、あらゆる手だてを尽くした、亡くなっても仕方ない状況を経ても、亡くなられると担当した医師や看護師ら関係者は、落ち込むものです。それが自ら手をかけて命を終わらせる・・・
なぜ、そんなことが起こるのかと思います。

ごく最近、ある町の福祉事業に携わっている看護師(助産師、保健師でもあります)で、かつて勤務した看護大学の卒業生が、社会的に逸脱しかかっている子どもたちを何とかできないかとやきもきしているというので、話を聞きました。何か病気があってと云うのではなく、正常な社会生活、家庭との疎通性がない・・・今、手出しして予防出来ることがありそうなのだが、と彼女は厳しい表情を見せました。

私どもの「日本財団在宅看護センター」ネットワークでは、少子化対策に母子保健的活動を始めている事務所が複数あります。さらに、社会的な・・・とも云いきれませんが、逸脱しそうな子どもに、看護師や街の在宅看護事務所が、何が出来ないか・・と思っていることもあるのです。

身体的健康障害、つまり病気に対する予防対策がかなり進んできたことに対して、社会的健康障害とも云いたい「登校拒否」、「引きこもり」、「(家族内)ネグレクト」、「(チョットした)暴力発露」・・・その時期に有効なワクチンがあれば・・・なのです。そのような事態は、一人の子どもであっても、複数の前兆がある、多重している、つまり複合障害とでも呼びたい状況であることは理解できました。

マスク、手洗い、社会的距離、そしてワクチンみたいな対処法が欲しいと思いました。

誰が、何を、どうしたら良いのか・・・すぐには答えられませんが、街の健康を護る看護師の出番はありそうな・・・仕組みづくりを考えねばなりませんが、彼女が云った言葉が、今も耳の底でエコーしています。
「子どもが壊れてゆく!」

お知恵を貸して頂きたいと思います。