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Chair's Blog 会長ブログ ネコの目

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猛暑の終わりに

先週9月29日の満月は、たまたま、中国でいう中秋の名月<陰暦8月15日の月をいう>と本物の満月が一致しました。拙宅からは、叢雲<ムラグモ>かかりではありましたが、秋の気配も感じられるような月光でした。

もう半世紀も前のことですが・・・伝統的な農村の、あえて申せば旧家だった私の生家では、折々の行事は割合重厚、お正月、小正月、ひな祭り、端午の節句、盂蘭盆会、そしてお月見では、母の手作りの月見団子、ススキと萩の花が飾られました、1969年(昭和44年)までは。
医師になって数年目だった私は、勤務中の国立大阪病院から、月光の中を、車で30分ばかりの生家に戻りました。「今夜はお月見やネ~」と私。「今年から、お月見はありません!」と母。「??」
1969年、アメリカのニール・アームストロング宇宙飛行士が月世界を歩かれたのは、その年の7月20日でした。有人月着陸船イーグルが月に着陸し、史上初めて人間が天体の表面を歩きました。アポロ11号計画の人類初の月面着陸、アームストロング宇宙飛行士が発した「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ(That’s one small step for a man, one giant leap for mankind.)」も、感動を持って聴きました。
母は申しました。「お月さんを、人間が歩くようになったので、今年からお月見はヤメ!」
大正元年・・・1912年生まれの母は、その世代には稀な大学卒、ちょっと理屈っぽいところもありましたが、私も何となく、母の論理に納得しました。爾来、自家製のお月見団子はなくなりました。

今年の満月、9月29日のYahooニュースで「スイスの氷河が2年で1割減 温暖化で・・・消失規模は“30年間分”に匹敵」と報道がありました。温暖化のせいで、2年間でスイス国内の氷河の約10%が消失したのです。スイス科学アカデミーによりますと、今年に4%、去年は最大消失で6%、合わせて2年間で約10%の氷河が消えたのです。これは1960~90年の30年間に等しい規模だそうですが、氷河というのは、大地が凍っている・・・そうは簡単に融けません。CNNの同ニュースによると、降雪量が少ない事態でも、今までなら安定していたアルプス地方の標高3,200m以上の高地にある氷河が、過去2年間では、3,776mの富士山に近い高さ以上でも、融けて消えているのが確認されたと報じていました。

CNNより(https://edition.cnn.com/2022/08/22/world/switzerland-glacier-loss-climate-change/index.html)
CNNより(https://edition.cnn.com/videos/world/2023/09/29/exp-swiss-glaciers-melting-vo-sot-092901aseg3-cnni-world.cnn)
崩壊した氷舌に登る氷河学者。鮮やかな青い湖は10年前には、厚さ数10mの氷に覆われていた。

とにかく、地球全体が温暖化ではなく、地球というひとつの惑星が熱中症になっているのです。2、3度訪問したスイス アルプスの高山地帯は本当に絵葉書通りの美しさ、行ったことはありませんが、天国みたい・・・と思いました。が、実際に住んでみると、特に冬場に向かっての準備は大変な様子でしたが、人々は黙々と伝統的な生活様式を護っておられたようでした。そして、その人々が大事に、だいじに護ってこられた景色が変化しつつあり、不安定な岩が崩れる危険もあるとの警告、本当に大変です。

一方、わが国でも猛暑の影響が報じられています。9月30日の仙台拠点の河北新報<かほくしんぽう>が、「コメ高温障害、東北の農家悲鳴 1等米激減『経営成り立たない』」との記事を掲載しました。それによりますと、夏の記録的猛暑で、コメどころの東北の生産現場では、今秋収穫のコメの品質低下の懸念が広がっているそうです。米粒が白く濁る高温障害が各地で発生し、1等米がほぼないとみる農家もあるそうです。等級が下がれば価格下落は避けられず、「経営が成り立たない」と悲鳴が上がっている・・・

minorasuより(https://minorasu.basf.co.jp/komeney/prevents-heat-damage)

さらに野菜も、です。読売新聞オンライン9月26日には「猛暑や雨不足で生育不良、ニンジンやネギなど野菜が高騰…北海道や東北産が目立つ」 とありました。それによりますと、夏以降の猛暑や雨不足の影響による生育不良で、野菜の価格が高騰しているそうです。農林水産省が9月26日に発表した9月の食品価格動向調査(18~20日、全国平均)では、調査対象野菜8品目の1キログラム当たりの税込小売価格は、表のようにほとんで平年より2~45%も値上がりしており、北海道や東北地方産野菜での高騰が目立っているそうです。調査では、ニンジンが平年比45%高い625円、ネギは23%高い1,021円などですが、群馬県が主な産地のキャベツは11%安い164円と、産地や品目で違いはあります。
個人的には、ニンジンが高いなら、しばらくは食べない、安いキャベツにするという手もありましょう。ですが、大多数のためのお弁当屋さんや食堂などを考えると、たかがニンジンされどニンジンです。いくつかの学校給食で、一斉にニンジンがなくなる・・・として、何日間・・・を考えると、簡単ではありませんね。

温暖化に関して、先日、中学生の知人の孫と興味深い対話を致しました。
嬢曰く「猛暑って云わなくても暑いのは判りますよねぇ。熱中症の注意も判ります・・・けど、どうしたら猛暑にならないのか・・・・温暖化をどうやって止めるか、ワタシがどうすれば良いのか、教えて欲しいデス!」と。さらに、「温暖化で台風が大きくなるのですよねぇ!どうしたら、台風を防げるのですか?」私「賢い・・・ですね。よくご存じですね・・・ホント、どうしたら良いでしょうかね・・・嬢は、どうしたら良いと思いますか?」
嬢「1日だけ、みーンなで、電気も自動車も新幹線も使わない・・・って、できないかなぁ。冷蔵庫もエアコンもTVも止める・・・できないかなぁぁぁ?」
毎月一日は、原始時代復帰日・・・やりますか?

読売新聞オンラインより(https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230926-OYT1T50182/)