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鳥インフルエンザ

新型コロナウイルスCOVID-19のパンデミック(世界的大流行)は、危険な事態を超えたものの、Long-COVID・・・つまり急な感染症症状の後の後遺症については、まだ、はっきりしていないことがたくさん残っています。通勤の電車の中でも、2、30%の方はマスク姿です。そんな事態が続いている中、アメリカでは3例目の鳥インフルエンザの人感染が報告されています。

大流行する危険性はどの程度でしょうか?
ワクチンはあるのでしょうか?そしてワクチン接種が必要でしょうか?

アメリカでの3人目の鳥インフルエンザ感染者は、ミシガン州の乳牛農場で働いている方で、今回の鳥インフルエンザのヒト感染では初めて呼吸器症状を示しているそうです。感染症といえば、毎度名前が出る世界の疫学の中枢でもあるCDCことアメリカ疾病予防管理センター(US Centers for Disease Control and Prevention)は、この感染者は、鳥インフルエンザウイルスに感染した牛から感染した可能性が高いと発表しています。(CDC“CDC Confirms Second Human H5 Bird Flu Case in Michigan; Third Case Tied to Dairy Outbreak”2024.5.30より)

CDCが確認した鳥インフルエンザの人感染者発生地(CDC HPより)
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)

以前の、テキサス州での二人の感染者は結膜炎症状で、タミフル投与後1日で症状は回復したそうですが、3例目の方は前の2人よりも症状が重い・・・・呼吸器症状です。アメリカでのH5N1鳥インフルエンザの人感染は、2022年に一人が報告されているので、今回の3人を合わせて4人目だそうです。

今回問題の鳥インフルエンザはH5N1株で、このウイルスは種(鳥類、哺乳類、ヒト・・・)を超えて感染し、種を超えるごとに病原性(悪さの程度)が大きくなるそうです。アメリカでは、既に鳥類から始まり、複数州で哺乳類である牛の集団(牧場でしょうか)60以上に感染が広がっていることが判っています。市販の牛乳にもウイルス感染の痕跡はあるそうですが、牛乳は滅菌されていますので、安全だとしています。

重要というか危険なサインは、このウイルスが鳥類や哺乳類からヒトに感染し、さらにヒトからヒトへの感染が始まることですが、幸い、今までにヒト‐ヒト感染は起こっていません。アメリカの専門家は、「COVIDのパンデミックの後だから、鳥インフルエンザに神経質になることは理解できるが、現在のところ、多くの人々へのH5N1感染リスクは非常に低い・・・つまり、現在、生じているH5N1鳥インフルエンザは、「まだ」、人に感染する変化は起こしていない・・・と説明しています。しかし、「まだ・・・」ということは、「いずれ・・・」でしょうか?ため息がでますね。

アメリカでの話ではありますが、上記CDCは十分に信頼できる全国レベルのインフルエンザ監視システムを持っています。そして今まで人間の集団での異変はないそうです。一方、アメリカの食品や医薬品の監視を行っているFDA(US Food & Drug Administration 米食糧医薬品局、アメリカ合衆国保健福祉省〈Department of Health and Human Services, HHS〉に属する政府機関で、連邦食品・医薬品・化粧品法を基に医薬品や食の安全保障を司る行政機関。具体的には食品、医薬品、医療機器、化粧品、動物薬、たばこ、玩具など消費者が日常生活で遭遇する機会のある製品の認可や違反取締りを行う。)は、4月末に市販牛乳サンプルの1/5はH5N1陽性だが、それら牛乳には感染性ウイルスは含まれていないから、日常に飲用しても安全だと報告しています。つまり、「牛乳で検出されるのは不活性化されたウイルス片で、実際の感染力はないが、数週間にわたって検査陽性を維持するのはコロナウイルスと同様だ」としています。専門機関は、「現時点では、H5N1は主に動物での問題で、注意深く監視されている」としています。

2023年から2024年5月25日までの各種インフルエンザ検査陽性数
アメリカCDCへの公衆衛生検査所からの報告数(CDC HPより)
(CDC HPより)

わが国では、厚生労働省からの発表(厚生労働省HPより)があります。それによりますと、国内でも、鳥類(野鳥等)では鳥インフルエンザが発生していること、また、感染した野鳥等を捕食したことが原因と推定される哺乳類(キツネ等)の感染も確認されているそうです。

そして「国民の皆さまへ」という注意が発出されています。それによりますと、

衰弱または死亡した野生の鳥獣には不用意に触らないようにしましょう。
また、外出先から帰ったらせっけんで手を洗うなど、日常的な感染症予防を心がけましょう。 とあります。
また、「発生地域に渡航される方へ」として、養鶏場、鳥の羽をむしるなどの処理をしている場所、鳥を売買している市場に不用意に近づかないようにしましょう。さらに、弱った鳥や死んだ鳥にさわったり、鳥の糞が舞い上がっている場所で、ホコリを吸い込まないようにしましょう。外出先から帰ったらせっけんで手を洗うなど、日常的な感染症予防を心がけましょう。
さらに「発生地域から帰国された方へ」として、発生地域からの到着時に発熱などの症状がある場合、鳥インフルエンザに感染した鳥(死んだ鳥を含む)や患者に接触したと思われる方は、検疫所の担当者にご相談ください。帰国時には症状がなく、帰宅後に発熱やせきの症状が現れた場合は、医療機関を受診し、鳥インフルエンザの発生地域に渡航していたことをお知らせください。ご不明な点は、最寄りの保健所にご相談ください。とあります。

さてさて、また予防接種!!ですが、この鳥インフルエンザH5N1ウイルス用のワクチンはあるにはありますが、現在検出されている株は含まれていないそうですから、今、あわてて予防接種をすることは意味がないと思います。が、恐らく、世界中のワクチンメーカーは、COVIDワクチンに続いて鳥インフルエンザワクチン開発を進めているでしょう。COVIDよりは対策が進んでいると考えましょう。

何はともあれ、個人的な対策が第一です。
まず、じたばたしないこと!常日頃から、個人衛生に気を付けて、無用の人込みの中でうろうろしない、外出後は手洗いをきちんとする、そして、牛は大丈夫かな??などと牧場見学に行かないこと・・・ウイルスをもらったからといっても、必ずしも発症するかどうかもわかりませんが、体調に変化があれば、自己隔離して、出歩かないこと!!

わが国では、まだ、報告されていないとしても、それは時間の問題でしょう、いずれ、必ず来ましょう。また、そもそもトリインフルエンザですから、ご家庭での鳥類飼育(家禽類<鳥の家畜・・・鶏、かも、アヒル>)だけでなく、小鳥などを飼っている方は、少し情報に敏感になっている方がいいかもしれません。

私どもは、往来で、鳥類や動物が死んでいてもむやみに触らないこと、わが国はないと思いますが、未調理の肉など食糧品や生乳にむやみと接触しないこと・・・でしょうか。新型コロナで学習したことを、しっかり復習しましょう。

家畜疾病図鑑Web HPより