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Chair's Blog 会長ブログ ネコの目

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異常気象・・・災害

その昔の梅雨<ツユ>といえば、しとしとと絹糸のような雨が降るでもなく止むでもなく、紫陽花<アジサイ>の薄い紫や青がしっとりと映え、長靴をはいた幼稚園児が水溜まりで、いたずらをする・・・私の育った宝塚では、カエルの合唱も楽しめました。時折の「大雨」・・・それも夜間のそれでは、昔風の雨合羽<カッパ>に時代劇のような笠をかぶった祖父をはじめ、近隣のお百姓たちが夜を徹して、水田の水具合を監視していました。

何時の頃からか、大雨ではなく豪雨が当たり前になり、最近では線状降水帯とか、滝のような雨、警報級の大雨などなど、普通の雨降りは稀になったような気もします。豪雨は、自然災害のひとつです。

ベルギーのルーヴェン大学にCRED(Center for Research on Epidemiology of Disasters)という自然災害に特化した情報センターがあります。

ベルギー・・・ってどこ、などとおっしゃる方はいらっしゃらないと思いますが、広大な国ではないものの中世の趣が残る王国です・・などといっても、私は、まだ医師だった頃に首都ブリュッセルで行われた学会に参加したこと、WHO勤務時代の同僚がこの国の出身で一緒に行動し、また、きわめてインテリな彼女から、ヨーロッパの中世以来の複雑な交流、歴史を教えられたことなど、限られた経験しかありません。通称ベルギーは、それほど国内的もめごとが表に出ませんが、オランダ語(Koninkrijk België)、フランス語( Royaume de Belgique)、ドイツ語(Königreich Belgien)と、常に三つの言葉が出てきます。地図では上方(北)はオランダ、右側(東)はドイツとルクセンブルグ、下(南)はフランスと接しており、王様がおいでの連邦立憲君主国です。隣接するオランダ(Nederland)、ルクセンブルグ(Luxemburg)とあわせてベネルクス3国とも呼ばれます。

ルーヴェン・カトリック大学のCRED(https://www.emdat.be/

知人の受け売りですが、ブリュッセル首都圏には19の自治体があり、この地域にはEU(European Union 欧州連合)関連機関がたくさんありますので、EUの首都とも呼ばれており、つまり世界的な都市圏ともいえます。が、それほど歴史の長い国ではなく、ナポレオンが蹂躙し、フランス革命によって混乱した大国ブルボン朝崩壊後のヨーロッパの安定のために開かれたウィーン会議(1814~15年)で、ネーデルランド連合王国から分離独立が認められた比較的新しい国です。で、オランダ語の一種フラマン語を話す北部と、フランス語の南部、それに一部ドイツ語地域があるそうです。ブリュッセル生まれの知人はフラマン語、ドイツ語、フランス語のほか、英語、スペイン語に長けていましたが、後に勤務したピョンヤン時代には朝鮮語、バグダード時代にはアラビア語もものにしていました。その彼女が申していたのは、ベルギーと呼ばれる地域、国はあるが、ベルギー人はいない・・・と。では、あなたは何人かと尋ねると、よく判らない・・・生まれた場所はあるけど・・・と、ベルギー人といわれてもピンとこないらしい様子でした。彼女は、超のつくコスモポリタン(世界主義者、地球市民)でしたから、ちょっと特異でもありますが、災害救援でめぐり会う外国人の中には相当数のベルギー生まれがいました。

かくかように、もろもろの歴史をも引きずる人々を含む単一国家が生まれたものの、オランダ語系とフランス語系の言語戦争?が続いたことから、1993年にフランデレンとワロンとブリュッセル首都圏の3区分の連邦制に移行しています。

前置きが長くなりました。そのベルギーの首都ブリュッセルにあるルーヴェン大学は創立1425年、日本では応永32年、室町時代です。第5代征夷大将軍足利義量<ヨシカズ>が急死して、将軍職が空位になった・・・そんな時代に大学!すごい歴史ですね。そして前述CREDは、1973年に、そのルーヴェン大学の高名な疫学者Michel F. Lecha教授によって開設されました。疫学Epidemiology は、どんな病気が、何処で、どれくらい発生しているか・・・といったことを研究する学問ですが、自然災害というものに目を向けられた疫学者がおいでになったのです。最初は、災害が引き起こす健康障害に関して、どんな規模のどんな災害が発生し、どれくらい続いて、その結果、健康にどんな被害を及ぼしたかをまとめ発表されはじめました。1977年に、Lecha先生が亡くなられた後を継いだのは、私も後に親しくなったClaude de Ville de Goyet教授、さらにCREDは、1980年代には、WHOの研究協力センターとなり、1992年からは、ジョンズホプキンス大学公衆衛生大学院の同窓でもあるD. Guha Sapir教授が後継され、2021年にはN. Speybroeck教授だそうです。Guha Sapirは、インド生まれ、サリー姿で忙しく働いていました。

そのCREDの情報ですが、1960年頃から徐々にふえてきた災害は1980年代以降急増し、高止まりしています。なぜ、でしょうか?

今日は、都心部でも、先が見えないほどの降り方でもあります。
九州では、ここ何日も、雨・・・梅雨の時期でありますが、梅雨のおもむきはありません。
各地の警報的情報を見たり聞いたりするたびに、ヤキモキしていますが、皆さま、どうぞ、十分以上に気を付けて下さい。

Our World in Data HPより災害はどんどん増えて、高止まりしている・・・
TSKさんいん中央テレビより