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Chair's Blog 会長ブログ ネコの目

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ナガサキ、ヒロシマ・・・そして南海トラフ

8月6日のヒロシマ、そして、79年前の今日この日の午前11時2分、ナガサキ上空で2番目の原爆が炸裂しました。

原爆を二発もつかったことについて、色々、言い訳がましくいわれていますが、それにしても、なぜ、戦争、紛争がなくならないのでしょうか?そして、今年は、現在も解決のめどがついていないパレスチナでの紛争の一方、長崎市がイスラエルを招待しなかったとして、6か国もの駐日大使が欠席されたそうです。今日の式典は、戦争ではありましたが、一瞬にして7万人以上の人々を死に追いやった原爆という武力による犠牲者を悼む会なのに、なぜ・・・政治的判断? すっきりしません。

そして昨日の宮崎県を中心とした地震、南海トラフ!!

気象庁の発表です。「(2024年8月)8日午後4時43分ごろ、宮崎県で最大震度6弱を観測する地震があった。震源は日向灘で、震源の深さは約30キロ、地震の規模はマグニチュード(M)7.1と推定される。気象庁は今後1週間以内に大規模地震が発生する可能性が平時より高まっているとして南海トラフ臨時情報の「巨大地震注意」を初めて発表した。」

臨時情報には防災対応に応じて①警戒②注意③調査終了―の3パターンがあり、今回発表されたのは注意で、避難経路の確認など備えを再確認する必要がある。対象は茨城から沖縄までの29都府県707市町村。気象庁は8日に記者会見し、大規模地震が起こる確率について普段より高まっているが「特定の期間中に大規模な地震が必ず発生することを知らせているわけではない」とも強調した・・・で、どうするのが正解なのでしょうか?

Mw 9.1の最大規模となる南海トラフ巨大地震の想定震源域
(2013年、地震調査研究推進本部 地震調査委員会)Map_of_Japan_with_highlight_on_47_Okinawa_prefecture.svg_Area:
南海トラフの地震活動の長期評価(第二版)について 概要資料(pdf)”,
地震調査研究推進本部(Headquarters for Earthquake Research Promotion)
南海トラフ巨大地震の想定震源域の地図、
2013年地震調査研究推進本部 地震調査委員会による。
ファイル:RuptureAreasNankaiMegathrust 2013.png 作成: 2013年5月28日

まず、南海トラフ・・・ってなにです。
1995(平成7)年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の経験を活かし、地震に関する調査研究の成果を社会に伝え、政府として一元的に推進するために設置された特別の機関である政府地震調査研究推進本部、通称地震本部の説明では、

日経電子版(2024/8/9)より
ウェザーニュースより

「トラフとは、海溝〈細長く、特徴的に非常に深い、非対称断面を示す海底の凹地。比較的急峻な斜面を有する〉よりは浅くて幅の広い、比較的緩やかな斜面をもつ海底の凹地で、舟状海盆ともいいます。形態のみで定義されており、規模、成因はさまざまです。海溝の一部で地形的にトラフといわれるもの(南海トラフ、駿河トラフ、相模トラフ)、島弧背後にあって現在拡大しつつある縁海(マリアナトラフ、沖縄トラフ)などがあります。また、起源的には海溝であるが、堆積作用によって浅く周縁の斜面が緩やかになったものにも使われることがあります。」 う~ン、ちょっと判りにくい・・・けど、点ではなく面・・・その面が地震の震源になる・・・

ま、海底の地図・・・の説明ですが、ほとんどの人は見たことがないですね。

私どもの姉妹財団である日本財団では、2017年8月から海洋事業の一環として、2030年までに全地球の海底地形図を100%完成することを目指す国際的なプロジェクト「日本財団-GEBCO Seabed 2030」を推進されています。そして、水路の重要性を周知する日として国際水路機関が提唱する「国際水路デー」である(2020年)6月21日現在、地図化された世界の海底地形は19%となりました、とも報告しています。

海底地形の解明が進めば、海底に残された痕跡によって氷河の融解が太古からどのように進んできたか推測できることも判明しました。(日本財団HPより)トラフの存在もそういった中で解明されてゆくと思います。

GEBC(The General Bathymetric Chart of the Oceans(GEBCO)は国際水路機関―(IHO)と国連政府間海洋学委員会(UNESCO-IOC)が共同で推進する、世界唯一の公的な海底地形図を作成する団体で、モナコ公国のアルベール1世大公が1903年に海底地形図の作成を提唱したことに起源を持つ歴史ある団体だそうで、日本財団はSeabed 2030プロジェクトを共同で実施する以前の2004年からGEBCOと連携し、海底地形図の専門家を育成する人材育成事業を実施しており現時点で40カ国90名が研修プログラムを修了していますと、2020年に発表しています。

ま、トラフと呼ばれる独特の海底の凹地・・・周囲よりは凹んでいるのですね・・・で、相当広い範囲にあるのが、いっせいではなくとも、短時間にバラバラと震源地化する・・・通常の地震なら、一定の震源地がガタッときて、余震はありますが、いわゆる本震は一回なのに対して、トラフで起こるのは、いわば巨大地震群なのですね。

図1を見ますと、南海トラフを震源とする巨大地震は、西暦600年から1946年までの約1350年間に13回発生しています。一番最後が1946年ですから、80年前・・・ぼちぼちの時期でしょうか。

東北大震災同様、広大な地域に被災が及ぶことが危惧されます。

各々方、ゆめゆめ、油断あそばすな!です。

暑い中、戦争、紛争、災害・・・止まって欲しいものばかりですが、できる備えを致しましょう。

図1 過去に発生した南海トラフ地震の震源域の時空間分布(wikipediaより)