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Chair's Blog 会長ブログ ネコの目

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猛暑、酷暑・・・白露というのに。

毎日、TVで見る気象情報では、9月というのに、日本の多くの地域が真っ赤にみえる猛暑が続いています。まずは、残暑お見舞い申し上げます!!

日本で初めて気温が40℃度を超えたのは、1933(昭和8)年7月25日の40.8℃、山形県だそうです。この記録は2007(平成19)年8月16日、埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市がともに40.9℃、わが国観測史上最高気温を記録した年まで74年間の最高記録だそうです。この年、わが国は太平洋高気圧とチベット高気圧の二つに覆われて猛暑が続いたのでした。

2024年9月2日の最高気温(気象庁HPより)

2007年といえば・・・ジョンズホプキンス大学公衆衛生学大学院同窓会学長諮問委員会に参加した帰途、ワシントン‐ボルチモア空港で、小銭で何か買おうかとのぞいたドラッグストアに翌年の大統領選挙に立つらしい人々の顔のメタルバッチが大きなプラスチック容器に入れてありました。すぐに判ったのはヒラリー・クリントンでしたが、お店の若いスタッフが、この人が勝つから買いなさい!とすすめたのがバラク・オバマでした。で、乗り継ぎのシカゴ・・・今から考えればオバマの本拠地・・・で誰が売れているのか、2、3の売店をのぞいてみたら圧倒的にオバマの容器が減っていました。

気温による日の呼び方があります。最高気温25℃以上の日が夏日です。毎年、オッ!暑くなってきた、夏だ!と思う最初の日ですね。それが30℃以上となると真夏日、そして最高気温が35℃以上となると猛暑日、アッツイなぁ、ちょっとやれんなぁとなります。昨今では、40℃以上の日を酷暑日、夜間最低温度が30℃以上は超熱帯夜・・・という呼び方もあるそうです。ついでに、最高気温が0℃未満の日は真冬日、最低気温が0℃未満は冬日・・・日本の美しい四季とは一転し厳しい気候にもこんなネーミングをする・・・それぞれでわが国のちょっとした文化、素敵だと思います。

特に厳しい暑さが押し寄せることを熱波と申します。熱波は地震・津波、火山爆発、台風などと同じく自然災害です。日本よりも、世界各地で多く見られます。熱波は、地震や台風のように物理的な破壊力ではないのですが、高温は被災・被害を起こします。人の健康にかかわることでは、特に夏期の高温多湿地帯の熱波は、熱中症による健康障害、高齢者や病弱者の死亡につながります。また、就労時の事故や災害が増え、生産性低下を来します。では、低湿度であればましかというと、乾燥地帯だけでなく、乾燥と高温による森林火災や干ばつを来します。数年来、アメリカ、オーストラリアほか、世界各地で大規模な火事が頻発しています。

アメリカ西部で発生した火事(TBS NEWS Youtubeより)
ギリシャの山火事現場の消防士(BBC NEWSより)

その昔、ペシャワールで50度以上を経験しました。当時は不安定な電力事情もありましたが、電力使用制限から工場の閉鎖や、時には病院機能が低下することもありました。当然、生産効率は下がります。さらに広域長期の高温は、前述の山火事以外に干ばつを引き起こし、農作物が取れなくなり結果として飢餓をきたします。熱波は、地震や台風など短いインパクトの災害や火山爆発といった中期的災害でなく、年余時には10年以上の干ばつなど、災害というイメージとは異なる災害です。

さてさて、今年に先立つ2010年代の世界平均気温は1850~1900年(産業革命前)に比べ、およそ1.09℃上昇したとされています。たった1℃程度ではない気もしますが、いずれにしても、産業革命という人類生存のあり方を変えた世界的事態から、工業化が広がり、そして石炭、石油といった化石燃料のエネルギーに目覚めた人類がそれらを使いすぎたツケが、今、地球温暖化として生じていることは否めません。

1990年代末、WHOで勤務した頃、インドネシアのスマトラ、カリマンタンの広大な山火事が近隣シンガポールやマレーシアにも煙害を及ぼしました。勤務していた緊急人道援助部も関与を余儀なくされる規模でした。そもそも焼き畑の火入れによる小規模な火事は多い地帯でしたが、広大な地域が延々と燃え続けた理由は浅い地表に存在する泥炭に移った火の消火の難しさもありましたが、少雨乾燥の所為でした。

世界の年平均気温偏差(気象庁HPより)

そしてその頃、日本の京都で開催されたのが第3回気候変動枠組条約締約国会議、通称COP3(コップスリー)でした。正式には、「気候変動に関する国際連合枠組条約 United Nations Framework Convention on Climate Change、略してUNFCCC)」は、1992年5月に国連総会で採択後、同年6月にブラジルのリオデジャネイロで開催された「環境と開発に関する国連会議(UNCED)」で議論された「地球温暖化問題に関する国際的な枠組み」を設定した環境条約でした。

気候変動に関する国際連合枠組条約のロゴ

1997年12月、京都の国立京都国際会議場で、温室効果ガス排出規制に関する国際的合意形成のための会議が開かれました。「気候変動枠組条約」発効以来この会議は毎年開催されますが、その会議(Conference of Parties:COP、仲間のカンファレンス!)の3回目、長い正式名に代わりCOP3と呼ばれました。京都では地球温暖化がやかましくいわれたこともあって、「地球温暖化防止京都会議」という呼ばれ方もあります。ホント、この頃からもっと真剣に対処実践しておれば、今年の熱波はなかったかも、と私は思います。なぜなら京都では、各先進国に温室効果ガス排出削減目標を課す「京都議定書」が採択されました。先進国は温室効果ガス削減目標(2008‐2012の5年間で対1990年比で日本は-6%、アメリカは-7%、欧州連合(EU)は-8%と明確な数値が出されたのに・・・
今年はその第29回(COP29)が11月にアゼルバイジャン共和国バクーで開催されます。

ま、産業革命以来の化石燃料の廃棄物が積もり積もって生じている地球温暖化・・・なら、それを止めればよいとしても100年、150年のツケは1年や2年で改善されることはない・・・来年は、もっと暑いかもしれませんね。

それにしても、中国由来の二十四節気(にじゅうしせっき)によれば、立秋は新暦8月上旬、処暑(しょしょ)は8月下旬、白露(はくろ)が9月上旬、秋分が9月下旬、寒露(かんろ)が10月上旬、霜降(そうこう)が10月下旬と季節が廻ります。そろそろ露が結ぶころだから白露なのですが、残暑どころか、猛暑です。ホントに、ホントにどうなるのでしょうか?