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敬老の日

昨日9月16日は、敬老の日でした。

昭和23(1948)年制定の国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)の第1条には、『自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。』とあります。そして第2条には、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを趣旨とし・・・とあります。ちょっとツっこみますと、「ウ~ン、多年にわたり社会につくしてきたかなぁ・・・」でありますし、「敬愛って?」でもあります。

老人!といわれると、カチン!とくる方もおいでかもしれません。高齢者、お年寄りもなんだかなぁ・・・ですが、だんだんなれて、私などは後期高齢者と云いすぎるとひんしゅくを買うこともあります。

敬老の日の歴史を見ていて、ちょっとびっくりしました。兵庫県多可郡が発祥の地だそうです。現在の多可町は、郷里宝塚からなら、中国縦貫道を通って1時間ほどのところです。そしてその発祥は、1947(昭22)年9月15日に、当時の門脇政夫村長が、村主催の敬老会を開かれことがきっかけだったそうです。

1947年、第二次世界大戦終結後2年、郷里宝塚はいわゆる空襲を受けませんでしたが、貧しい農村そのもの、後に経験する開発途上国の地方と何ら変わりはありませんでした。それほど数は多くなかったのですが、濃緑やカーキ色の軍服姿の兵士やMP(Military Police軍警察)と書かれた白いヘルメット姿で腰にでっかい拳銃を付けた碧眼金髪の米軍人の姿がみられました。その当時のわが国です。『国民衛生の動向』によりますと1950(昭25)年当時の日本人口が83,199,637人、出生実数が2,337,507人、高齢化率は4.9%・・・どこの国??の話ですね。

当時兵庫県多可郡野間谷村(現多可町八千代区)の門脇政夫村長が「老人を大切にし、年寄りの知恵を借りて村作りをしよう」と農閑期で気候も良い9月中旬の15日に始められたそうです。「戦後」という言葉がぴったりの時期だったでしょう。また本格的な復員(軍組織が解散され、兵士が祖国に帰ること)はなかったと思います。安否が判らない人々もおられたと思います。日本中は貧しく混乱していました。特に農村部では、次男三男以下を戦場へ送ったご家庭も多く、村の収穫は「供出(国の要請で、軍などに収穫物を提供すること)」で没収されていたでしょう。そして限界を超えて耐えた挙句の果ての敗北、生き残った人々も、心身ともに疲労していたでしょう。

村長は、そのような人々に報いるために「としよりの日」を制定し、村の公会堂に55歳以上の方々を招き、食餌と播州歌舞伎でもてなされたことが敬老会の始まりだそうです。後に、「長い間社会に貢献してきたお年寄りに敬意を表すとともに、その知識や人生経験を次の世代に伝授してもらう場を設ける」という趣旨だったと述べておられますが、「戦後の混乱の中でややもすれば老人軽視の風潮があらわれたことを憂い、荒廃した人心の収攬をはかった」、「子供を戦地に送り、精神的に疲れていた親世代に報いたい」という考えもあったとも仰せです。現在も、八千代コミュニティプラザ玄関脇に「敬老の日提唱の地」の石碑があるそうです。

1950(昭25)年には兵庫県が「としよりの日」を制定、翌年には中央社会福祉協議会(現全国社会福祉協議会)が、そして1966(昭和41)に全国民の祝日となり、世紀が変わった2001年に祝日法改正(ハッピーマンデー制度、祝日が日曜の場合、月曜も休み)により、9月第3月曜日へ移動しました。

世界的には敬老の日を持つ国は、まだ、少ないようですが、高齢者へ敬意を表する記念日を持つ国は多く、国連の国際高齢者デーInternational Day of Older Personsは10月1日です。

「65歳以上の高齢者 働く高齢者 いずれも過去最多に 総務省」(2024年9月15日 NHKニュースより)

さて、昨日のTVでは、現在の日本の人口1億2,376万人で総数は昨年から59万人の減少、そして65歳以上は3,625万人で総人口の29.3%と報じていました。59万人の人口減とは、東京都板橋区592,927人、杉並区572,843人、八王子市560,092人、地方では、姫路市525,884人などに匹敵する人口が減少しているのです。少子化もありますが、人口減は、一夕一朝に対策できるものでないことを考えると、国家百年の計・・・目下、自民党も立憲民主党も党首選ですし、キナ臭さが消えない世界各地でも首長の交代が続きます。

今夜は中秋の名月、我一人、心安らかに名月を愛でられることはあり得ません。どの国にあっても、人々の安寧を第一とするリーダーが増えますようにと祈ります。

国立天文台HPより