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Chair's Blog 会長ブログ ネコの目

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高齢者の骨折

2週間ご無沙汰しました。
2月27日、転倒して左の肩ではなくて、腕の骨を折りました。左上腕骨頭の下です。

高齢者の骨折の一般的な経過は、
まず、骨折です。俗に高齢者は骨が脆くなっていると申しますが、ささいなことで骨折します。転倒は大きな原因です。大腿骨頭、手首、私のような上腕骨・・・どこでも比較的簡単に折れます。で、次は治療ですが、大事なことは、まず「骨の位置を正確に戻すための固定」です。場所と折れ方によっては金属製の板やネジを用いた手術もあります。脚、足では手術が多いですね。上腕では、折れる場所にもよりましょうが、以下に記しますように、私の場合は、鎮痛剤だけ・・・診断というか治療方針を立てて下さった整形の先生に申し訳ない受診料でした。

次の段階がリハビリテーションです。数日後以降、骨が固まるまでの間にいわゆるリハビリテーションが始まります。筋力を回復し、日常生活に戻るための身体能力の回復もあります。骨折の部位、折れ方などによって、また、本人の努力あるいは怠け度によってリハビリの期間、効果は大いに異なると思います。

その昔は、高齢者の骨折では、同時に肺炎や血栓症などの合併症のリスクがありました。高齢化が一層進むだろう今後、骨折に伴う合併症予防が重要になるかと危惧します。さらに、いったん骨折すると、行動制限をしてしまうご本人やご家族があるやもしれません。長期的には、骨折の有無にはかかわりませんが、より丁寧な栄養摂取や運動のフォローアップが必要でしょう。高齢者の骨折はただ折れた骨の整復固定だけでなく、総合的なケアが必要なわけです。

私自身は、後期高齢者になって以来、登山家だった知人に教えられたのですが、例えばお風呂のようなすべりやすいところでは「両手両足4本のうちの3本を固定して、1本を動かす」ということをまもっていましたし、階段やエスカレーターには殊の外気を付けていました。が、今回は、ほとんど段差のない平坦なところで前のめりにヅッデンドゥでした。

一瞬、頭の中が空白という感じでした。平素、ノートパソコンを入れた小型のキャリーを押していましたが、当日は、荷物がなく右に軽いバッグ、左に数枚の書類の入ったプラスティック袋を持っていました。何につまずいた・・・という感覚はありませんでしたが、左の肩を強烈にぶつけた感はありました。指は動く、感覚はある・・・が、異様な、刺すような痛み。しばらく床に座ったまま・・・たまたま出勤してきた同じ職場の仲間も声をかけてくれました。守衛殿に助けられて、車椅子で5階の職場、そして救護室で休みました。しかし痛みは劇烈!受診しなければ・・・と決心がつきました。

万が一、肩辺りの骨がバラバラになっていたら手術、入院もありと、旧職場に連絡し、職場の看護職と日本財団在宅看護センターネットワークの近隣の仲間に連絡して、受診しました。レントゲンを撮る、適切な体位をとる、腕の位置を定めるのがとても痛い・・・この辺りで、骨折は確信しましたが、一方、ひびが入ったくらいだといいのになぁと虫の良い願望も。整形外科医は、レントゲンフィルムを前に、マスクの下でしたが、にっこり微笑まれたような「折れていますなぁ!」しかし、上腕の2か所を押さえて「痛いですか?」とお尋ねくださったところは痛くない・・・それで治療方針が決まったのでしょう。
タクシーに乗る前に、古典的な三角巾法で腕を固定していましたが、それをご覧になって「(三角巾が)ある方が楽ですか?」とお尋ね。
「ハイ!」と答えたのですが、
「鎮痛剤を出します。」
私:「ギプスとかシーネ(副木)とか・・・」
「腕をブランと下げて、そのままが治りが早いのです・・・」
私「アノ、痛い・・・」
「鎮痛剤をだします。」

数日後に、整形外科医は非情!!痛みが判らない!と医療系SNSに八つ当たりを載せましたら、尊敬するご開業の先生から、懇切丁寧に解説をいただきました。

曰く「大人の腕の重さは約5kg程度ある。折れた骨が大きく偏移(本来の場所から移動すること)していない場合、特に肩関節の辺りは、腕の重さで自然整復(元の位置におさまること)するのが最良の治療法。それを判断できる整形外科医はとても優れている。」とたしなめられました。なるべく、固定しない!!治療法も日進月歩なのですね。おかげで第5日目の再診時には、上腕骨の頭は、かなり元の位置に近づいていました。

(ASKULより)
(Wikipediaより)

余談ですが、平坦なところで転倒するのは靴の問題もあろうかとも記載しましたが、またまた尊敬する臨床家から、ChatGPTでお調べくださった回答が掲載されました。

高齢者が平坦な地面で転倒する要因の一つに、履いている靴の特性が大きく関わっています。以下のような靴の特徴が、転倒リスクを高めたり、逆に予防したりします。
1. 転倒リスクを高める靴の特徴
ソールが硬すぎる足の動きに合わせて曲がらず、つま先が引っかかりやすくなる。
滑りやすい靴底溝が少ない、摩耗してツルツルになった靴底は滑りやすい。
サイズが合っていない大きすぎるとつまずきやすく、小さすぎると歩行が不安定になる。
履き口がゆるい(スリッパやサンダル)しっかり固定されず、足が浮いてしまいバランスを崩しやすい。
重すぎる靴高齢者は足を持ち上げる筋力が低下しているため、重い靴はつまずきやすい。
つま先が引っかかる形状つま先が反り返っていないデザインだと、ちょっとした段差でも引っかかりやすい。

2. 転倒を防ぐ靴の特徴
適度なクッション性と柔軟性がある靴底
滑りにくいゴム底で、溝がしっかり刻まれている
かかとがしっかりホールドされる(マジックテープや紐で調整可能)
適切なサイズ感(指先に少し余裕があり、かかとが浮かない)
つま先がやや上がっていて、歩行時に引っかかりにくい
軽量で足の負担にならない

3. 生活環境と転倒の関係
平坦な地面でも、次のような環境要因と靴の組み合わせで転倒リスクが高まります。
床が滑りやすい(タイル、フローリング、濡れた場所) × 滑りやすい靴
小さな段差(カーペットの端、ドアの敷居) × つま先が引っかかりやすい靴
歩行速度が速すぎる・急に方向転換する × 硬くて重い靴

4. 転倒予防のために
靴のチェックを定期的に行う(すり減った靴は交換)
屋内用・屋外用で適切な靴を使い分ける
歩行時はゆっくり、足を高く上げる意識を持つ
バランスを鍛える運動を習慣にする

私に限りますと、*4の最後の二項、歩行時はゆっくり、足を託上げる意識を持つは欠落しています。
また、バランスを鍛える運動はしたことがない・・・反省しています。

骨折に限りませんが、長く臥床すると、いわゆる廃用症候群・・・身体を動かさない状態が長く続くと、身体機能や精神状態が悪化=低下すること・・・で、大昔は、お年寄りが骨折、入院、廃用症候群、誤嚥性肺炎・・・によって死亡もありました。

いずれにせよ、自分の健康は出来る限り、自分で管理する賢い高齢者になることを再度意識しました。