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在宅看護事務所の起業計画発表会 再開「日本財団在宅看護センター起業家育成事業‐2026」が終わりました

再開した在宅看護事務所を起業する看護師のための応援事業‐「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業の8か月研修が終わり、2026年1月22、23日にその成果を踏まえた起業計画発表会を行いました。

当初は、研修者だけで喧々諤々だった発表会でしたが、今回は2014年の1期生からほぼすべての年度にわたる先輩が2日間にわたり、しっかりと質問し批評し、ご自分の経験からの失敗またヒントをコメントして下さいました。ネットワークの由縁で、ありがたい連携です。

2014年に、「看護師が社会を変える!」と銘打って始めた研修は、当初、走りながら考える、ではなく、走ってから考えたことも多々ありましたので、8か月にわたりご指導いただいた外部講師のご尽力へとともに、志を同じくする仲間の連帯力にこころから敬意を表します。

発表お疲れ様でした!
発表の様子
発表資料

たった12年前ですが、超高齢社会についても、在宅医療と看護、介護についても、そして医療費についても今ほど喧しい議論はなかった気がします。2015年に最初の起業家が生まれ、徐々にですが、年々起業家集団が増えました。2018年の初めての学会発表以後、財団指定もしくは各自の興味と専門性による学会や研究会へ発表、事例報告や論文発表、修士や専門性の獲得などなど、中身は年々充実しつつあります。もちろん、人口過疎地または同業者がひしめく地域で開業し、中々に経営安定せず、低空飛行が続く事務所もないとは申せませんが、ありがたいことに、巷間いわれるような経済破綻で閉めた事務所はありません。

研修修了者が100名を超えた2020年度、実際には2021年1月で、一旦、研修を終了したのは、在宅での看護のエビデンスを調査したいからでしたが、時を同じくして始まった新型コロナパンデミック対応のために、おっとりとエビデンスを調べるどころではなくなりました。その間の皆の貢献を想うと今でも涙が出ます。

さて、そのコロナ嵐の数年後、既に起業して業績が安定しているネットワーク仲間のご協力を得て、6か月間のOn the Job Trainingも試行しました。前・中・後期には、東京でしかるべき強化研修を挟みましたが、8か月間、同じ釜のご飯を食べるに比し、やはり遠慮が残り、同期連携よりも近隣先輩との関係に頼る傾向がわかりました。OJT継続を迷っていた中、激しく進行する超々高齢社会、少子化と急激な人口減もあり、わが国の医療保健体制は根底から考え直さねばならないと痛感することも多く、資金援助を頂いている日本財団のお勧めもあって、8か月研修再開に至りました。

研修再開を決めた後、私どもは世界が以前と全く異なる時代に突入していることを実感しました。たった10年ですが、わが国だけでなく世界も大きく変容しています。後述するAI化もありますが、人口動態の大きな変化の中で、人々の生や死に関する考え方も変化を余儀なくされています。病気になったら病院に行けばよいの時代ではなくなった中で、在宅での看護、地域での看護師の活動はどうあるべきか・・・それに向かってどんな研修が必要か。

2010年代。わが国で発生した未曽有の自然災害2011年3月11日の東北大震災です。巨大地震、大規模津波。フクシマでの原発事故・・・発生してはならない人為災害だったと私は思います。一方、世界はいわゆるグローバル化が加速し、ヒトもモノも情報も自由により早くより遠くに広がるようになりました。スマートフォンの広がり、Twitter(X)やFacebook(META)、LINEなどなど短文投稿型SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が当たり前になりました。幸い国家間の戦争はなく、世界経済も比較的安定していたように思います。何となく「地球は一つ」的雰囲気が感じられ、世界は良い方向に向かうのかな・・・と思ったものです。

一転2020年代はまだ真ん中ですが、分断と不安が蔓延しています。
入り口は新型コロナ、世界は分断され色々な活動は停滞しました。そして感染症の嵐が静まりつつあった頃、ウクライナへのロシアの侵攻、そしてガザでのパレスチナとイスラエルの戦争。さらにスーダンやミャンマ―での地域紛争、殺伐とした世界・・・大国アメリカ、中国、ロシアの対立も激化してきたように見えます。

地球だけでなく宇宙までもがご機嫌を損ねたように異常気候が続き、自然災害が激化深刻化しています。加えて、10年前にはある種の希望をもたらしたAIが恐ろしいほど急激に進化し、もはやそれなしの世界は考えられなくなっています。人々や地域をより早くより密接につなぐ役割をもつAIとSNSが一方では不安や分断を助長し始めているのかしらとも思います。

大きく揺れる世界の中の私たち。その身体的精神的社会的健康を護るための保健医療専門家である看護師が果たすべき役割も大きく変化するかもしれません。

再開した8か月研修は「揺れる世界」の中の人間を対象にしています。研修のあり方にも変えるべきこと、変えなくてもよいこと、そして変えてはいけないことと共に、変えねばならないが如何変えれば良いのか判断がつかないこともありました。既に国家資格を持った看護師を対象にする研修では、専門家としての彼女彼らが、人々と地域社会そして国が、さらに世界が必要とすること、恐らくすぐに必要になることに対応できるように、それは可能だと自信を持てるようになって欲しいと私は考えています。

再開8か月研修を終えた8名と、2024年1月の能登地震に重なり9月の豪雨禍で2024年度OJTが出来なった1名を加え、厳しい社会情勢となったわが国の各地・・・宮城、福島、千葉、埼玉、神奈川、愛知、京都、石川、広島・・・で「日本財団在宅看護センター」の旗揚げをする9名の前途に幸多かれと祈ります。

会場の様子、先輩方が見守りました