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Chair's Blog 会長ブログ ネコの目

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アメリカ大統領の一般教書演説 首相の施政方針演説とあわせて。

2月20日、第105代内閣総理大臣高市早苗首相の施政方針演説を取り上げました。4日後にドナルド・トランプ第47代アメリカ合衆国大統領の2026年一般教書演説が行われました。首相や大統領の施政演説を解説する能力はありませんが、たまたま、日本の国政選挙が2月にあったため、ほとんど同時期に日米両国トップの施政方針に接しましたので、ちょっと感想を・・・

今回の一般教書演説(State of the Union Address 合衆国大統領が連邦議会〈中央政府の国会〉両院議員に対して行う国の現状〈State of the Union〉に関する見解と主要政治課題の説明。年頭教書とも呼ぶ)はトランプ第47代大統領がその職に復帰された後の初教書演説でしたが、歴代最長の1時間48分!途切れ途切れながら、かなりの部分を拝聴しました。

トランプ大統領の一般教書演説(CNNより)

結論的には、前は酷かったが、1年でこんなに良くなった・・・ではなく、良くしたとの自賛的報告。日本人的ですが、スッゴイ!!業績なのかお話ぶりなのか・・・圧倒されました。ついでに最短の年頭教書は初代大統領ジョージ・ワシントンが1790年1月8日、当時の首都ニューヨークで行った10分のものだそうですが、アメリカの独立は1776年で、初代大統領着任は1789年4月30日ですから、その間の為政責任者は当時の建国に関与した人々の集まり、つまり会議の議長だったようです。

さて2026年2月24日、米連邦議会下院本会議場での第47代大統領の、歴代最長一般教書演説は、批判的な報道によると、過去1年の「実績」と今後の施政方針述べてはいますが、11月の中間選挙をとても強く意識した政治色強の内容とされています。トランプ氏はいつものように、バイデン前政権から引き継いだ時の経済はひどい状況だったが、「私たちの国は復活した」、「(アメリカは世界で)最も熱い(国だ)」、「私たちは実にうまくやっている」などの主張を織り交ぜつつ演説されました。

トランプ氏、中間選挙控え経済実績アピール 史上最長の一般教書演説(Yahooニュースより)

まず経済。経済・雇用に関して、インフレは急激に低下し、所得は急速に増加、株式市場は史上最高を記録し、かつてないほど強い経済状態になったと主張。ガソリン価格は下がり、住宅ローン金利も低下と。投資は過去4年間の1兆ドル未満が、過去1年で18兆ドル以上も確保、「アメリカはこれまで以上に大きく豊かで強くなった」と自賛。が、世界中が影響を受け、対応を余儀なくされた関税政策は演説直前に最高裁から違法と判断されましたが、より強力な代替措置を取るとの考えをぶち上げられました。直後に外部は裏付けがなく過大評価と非難した雇用と物価対策も、著しい改善と報告されました。

移民と治安に関しては、国境管理強化と不法移民取り締まりによって治安が良くなったと強調、「政府の最優先義務は米国民の保護だ」と述べ、野党つまり民主党を批判。先日この欄でも取り上げたミネソタ州での連邦移民局職員による国民の射殺は一切取り上げられずですが、白黒はっきりしているのは判り易いです。つまり国境管理が強化され、不法移民の流入が抑えられたとし、移民政策や法執行をめぐる体験談や家族の悲劇を紹介し、麻薬フェンタニルの流入減少や犯罪率の歴史的な低下と結び付けて対策の成果を強調されました。

大国アメリカの外交と安全保障は一国に留まらず、世界の治安とも関連します。トランプ大統領は、さし当って交渉中のイランの核・ミサイル開発を「陰謀的野望」と強烈に批判し、アラブ世界の大国イランを世界最大のテロ支援国家(the world’s leading state sponsor of terror)と呼び、その国が「核」を持つことは絶対に許さないとの決意を示されました。ちょっとわが国のお近くにも聞いて欲しいですが・・・外交全般への言及は限定的で、中国やロシアへの直接的言及は少ない・・・なかったように思いました。が、この欄でも取り上げたベネズエラのマドゥロ大統領夫妻を急襲拘束し、自国へ拉致したアメリカ軍作戦は明確に称賛し、自分の外交政策は「強さによる平和」だと強調。強い大統領!です(ちょっとため息)。

いずれにせよ、大統領の激しく情熱的なご報告各項目毎に賛同する共和党員らは拍手し、立ったり座ったり・・・態度で賛意を示されていましたが、11月にある中間選挙への政治的メッセージとのちょっと冷めた批判が多いようです。

中東の国々(Wikipediaより)

着任直後の日本の内閣総理大臣の総論的前報視的、つまり未来形の演説に対し、大統領のそれは後方視的で過去形・過去完了形で、主語はほぼ一人称でした。文化の違いでしょうか。

上記、アメリカとイランの会議はジュネーブのオマーン国大使館で行われていますが、私が思い出すのは、2020年1月3日に行われたイラン革命防衛隊・コッズ部隊ソレイマニ司令官への無人機攻撃による殺害です。この時、イランは報復としてイラク駐留米軍基地へ弾道ミサイルを発射しアメリカとイランが全面戦争寸前まで緊張したことです。この時のアメリカ大統領は1期目のトランプ氏でした。プロ外交官として平然と対話しておられますが、敬虔なイスラム教徒であろうイランのアラグチ外務大臣のお腹の中は如何ならんと私は心配します。

脱線しましたが、アメリカ大統領の一般教書演説は支持者からは経済成長と安全保障強化が評価される一方、批評家や野党は事実誤認や誇張が多いと指摘しています。

大統領の一般教書演説後、早速に反論演説をされたアビゲイル・スパンバーガー・ヴァージニア州知事(民主党)は、つぎの3つの問について考えてほしいと述べています。
「大統領は無理なく生活できる環境をつくろうとしているか」、
「大統領は米国民の安全を国内外で守ろうとしているか」、
「大統領はあなたのために働いているか」

答えはすべて「否」だと、スパンバーガー知事。「大統領は今夜、彼がいつもしていること‐うそを言い、スケープゴートをつくり、注意をそらした。」 私たちの国の差し迫った課題に対し、真の解決策を何も示さなかった。それどころか、その多くを自分で悪化させている」と批判しています。

日本のまったりした国民性と白黒はっきりさせるかの国、それぞれの為政者の演説、如何でしょうか?

「トランプ氏はあなたのために働いているか」民主党ホープが反対討論(毎日新聞より)