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Chair's Blog 会長ブログ ネコの目

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人類の新たな敵・・・・「蚊」かもしれないって!

ワシントン・ポスト(The Washington Post)は、アメリカの首都ワシントンD.C.を本拠とする国際的に最も信頼されている日刊紙です。1877年、明治11年に創刊された伝統ある、また、特にアメリカ連邦政府や政治関連報道が高い評価を得ている全国紙です。ワシントンポストと云いますと、1970年代、政府の機密文書「ペンタゴン(五角形の建物の形から米国防総省をいう)・ペーパーズ」を掲載しベトナム反戦運動を支援・・・この頃、若者たちはべ平連(「ベトナムに平和を!市民連合」、1965~1974年頃の日本の反戦・市民運動団体)に熱中しました。も一つ、後にダスティン・ホフマンとロバート・レッドフォード(といっても今の若い方には、誰??でしょうか)が、実在二人のポスト紙記者に扮したウォーターゲート事件・・・1974年のニクソン大統領辞任を引き起こした・・・という政治スキャンダルを暴いたことも思い出されます。

現在、アマゾン・ドット・コム創業者ジェフ・ベゾス所有だそうですが、創刊当初から何人もオーナーが変わっています。その内、1933年、破産しかけた同紙を買収し立て直した金融業者ユージン・メイヤーとその娘婿とその夫が自殺した後を継いだキャサリン・グラハムの時代が紙媒体メディアの黄金期だった・・・キャサリンの自伝日本語訳『キャサリン・グラハム わが人生』を読みました。父から夫が受け継いだ新聞社、その夫の急逝後に引き継ぎ、葛藤を乗り越えてリーダーとして辣腕を振るった間、組織と社会を護るのは「勇気」と「責任」と「誠実さ」と知る。ちょっと感動した自伝、そして勇気は生まれつきの資質ではなく、責任を引き受ける中で育まれる理解しました。

前置きが長くなりましたが、先日、そのワシントン・ポスト紙が「効果のある蚊対策5つと、効果の乏しい4つ」という記事を掲載しています。何のこと??と思って走り読みしました・・・

庭の水たまりをなくすこと、適切な虫除け剤を使うこと、長袖を着ること、扇風機を利用することなどなどは、誰でも、どこでも可能な実践的なこと、難しくもない。が、これは単なる夏の生活情報ではありません。国際保健、それを超えたプラネタリーヘルス(私たち人類が住んでいる地球の健康と私たち人間の健康は一体で、その両方を護ることを目指す考え方、自国の健康、他国との健康=国際保健を超えた考え方)の問題でした。

https://www.washingtonpost.com/wellness/2026/07/19/5-mosquito-fighting-methods-that-work-4-that-dont/

蚊が媒介する感染症にはマラリア、デング熱、チクングニア熱、ジカ熱、ウエストナイル熱、日本脳炎などがあり、世界保健機関WHOは、蚊など媒介動物(病気を感染させる動物、生物)による感染症で毎年多くの命が失われていることを度々警告しています。

(iStock)

問題は、蚊が突然強力になったのではないのです。温暖化、都市化、豪雨や洪水、国際物流や旅行など人々の移動の増加が熱帯や亜熱帯に限局していた蚊が北へ南へ生息域を広げることを助長しています。感染症が移動するのでなく、「感染症を運ぶ蚊」の生存圏が拡大しているのです。

日本も例外ではありません。ヒトスジシマカは全国へ分布を広げ、10年以上昔の2014年に、東京都内でデング熱の国内感染が確認されています。昨日も今日も、そして明日も東京だけでなく、日本の多くの地域で、35度を超えています。将来、さらに温暖化・・・ではなく熱帯化が進めば、日本各地でもデング熱やマラリアの国内感染例が発生するかもしれません。

蚊が媒介する感染症の危険性のある地域 
出典:米国疾病予防管理センター
https://www.cdc.gov/dpdx/malaria/images/map_950pxWide.gif?_=64915?noicon

この問題は医療だけでは解決できません。病院での治療体制の整備はもちろん大切です。が、それは蚊対策ではありません。庭の小さな水たまりをなくし、雨どいを掃除し、自治体が排水や廃棄物を管理し、地域全体が蚊の発生状況を監視すること——こうした地道な活動が感染症を防ぎます。手前味噌ですが、このような対策はまさにPrimary Health Care(PHC)の考え方-住民が主体となって環境や教育を含め、自治体や国の保健医療体制も巻き込んで国民の健康を守ることが重要、発病したら病院に行けばよいではなく、病気が起きない環境を、私たち自身がつくることが大事です。

昨日もおとといも、そして多分今日も、世界のあちこちで武力が行使されています。多くの国が莫大な資金を兵器に費やしています。世界の平和とその対極なる武力に関する世界最大の研究所ストックフォルム国際平和研究所(通称SIPRI)は2025年の世界総軍備費は2兆8,870億米ドル(約430兆円、1ドル=約149円換算。昨日今日の円換算1ドル163円なら470兆円)、11年連続で世界の破壊力経費は増え続けて、10年で41%も増えたと報告しています。軍備費は、当然と云いたいですが、アメリカ、中国、ロシア、ドイツ、インド・・・日本は10位です。アメリカ、中国、ロシアだけでも世界の軍備費全体の51%ですって。

この世界の軍事費、約430兆円(1ドル149円換算)は、日本の国家予算(一般会計)の約4倍、世界人口約82億人で割ると、一人当たり年間約5万2千円も軍事費に使っていることになります。わが国では消費税1%が云々されているのに・・・です。何と愚かしいことでしょうか!昨年、これほどを戦争(の準備)に使った人類は自分たちの健康、そして地球環境にはそれほど多くを費やしていません。 人類の健康は地球の健康なくして成り立たないことは自明、毎日、酷暑日アラートがでていますが、これは地球が病んでいること、病みつつあることの警告です。地球が発病したら治しようがない・・・

人類が本当に戦うべき相手は何でしょうか。目に見えないウイルスであり、それを運ぶ小さな蚊・・・その背後には気候変動、環境破壊、都市化、貧困、そして公衆衛生という地球規模の課題があります。人類は今、新しい戦争を戦っています。その相手は国家ではなく、自然環境の変化と、その中で勢いを増す感染症です。「蚊との戦い」は殺虫剤だけでは勝てないのです。地球環境を守ること、地域社会を整えること、そして一人ひとりが健康づくりに参加すること、それらはこれからの時代の最も有効な「防衛」ではないでしょうか?

血を吸った蚊
出典:米国疾病予防管理センターhttps://www.cdc.gov/dpdx/malaria/images/freeborni_large.jpg?_=58115?noicon

最後に、もう一言、余計ですが・・・

「戦争は敵をつくる・・・しかしPHCは仲間をつくる。蚊との戦いに必要なのは、断然、兵器ではなく、人々の協力です。」

酷暑、ご自愛ください。