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梅雨

梅の雨とかいて、なぜ、ツユと読む、読めるのでしょうか?

ウメ・・・私は梅干し大好きですが、桜のお花見に対して、梅のお花見を堪能した回数は限られています。

バラ科サクラ属ですが、ウメの花は小ぶりでしかも1節につきたった1個しかつかないので、満開であっても、桜や杏、バラや桃のような豪華さはありません。時によると、うんと傍に寄るまでは、ごつごつした黒い木の節しか見えないお花見あります。

とは云うものの、わが国では、古来、梅が愛でられてきました。万葉集や源氏物語にも梅は沢山でてきます。そして、関西では、奈良市から直線距離で30Kmほど東、忍者で有名な伊賀の郷に近い月ヶ瀬が第一の梅の名所ではないでしょうか地図で見ると、ちょうど紀伊半島の付け根の真ん中たりです。長らく訪れていませんが、あまり交通の便は良くなった・・・名張川沿いの集落を超えて行く、その道中のあちこちにも梅の木があったように記憶しています。鄙びた日本の原風景とでも云いたいような・・・住むには不便?いえいえ、今では、インターネット宅配で何でも一両日中に入手は可能、不便なところなどないはずです。

奈良には、もう一カ所、大仏様の奈良市からは南に、3、40Kmでしょうか、紀伊半島の真ん中に近い五條市の賀名生<アノウ>も見事です。こちらは、南北朝時代に都落ちした後醍醐天皇が滞在されたことから都の風物である梅が広がったとか、同じく奈良吉野のサクラに負けじと、中千本とか奥千本の名称もあります。時期によっては、文字通り満山ウメ、ウメ!です。さらに、関西には、もう一カ所、日本一の梅の名所があります。南部梅干しで名高い和歌山県日高郡の南部梅林も豪快です。こちらは、梅干しのための木だそうですが、地域一帯が梅の木、そして梅干しです。

梅を愛でると云えば、木の本数は少ないですが、各地の天満宮の梅があります。

そして天満宮といえば、今は学問の神様ともされてい菅原道真公をお祭りしたところですが、本拠は九州大宰府の天満宮です。九州には、「とびうめ」と号された諸々がありますが、そのいわれは、政敵に讒訴<ザンソ>された道真公が京の都から大宰府に左遷された時、京の邸宅の庭の桜と松と梅の木に、別れを告げられ詠まれたというのが、

東風<コチ>吹かば <ニオ>い起こせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ

桜の木は、あるじがいなくなって枯れますが、松と梅のは、セーノ!といったかどうかは別に、あるじを追って空を飛んだというのです。あいにく、松は、途中の摂津の国板宿(今の神戸市)で、地上に降りた、落ちた?とされていますが、梅は一夜にして、大宰府に到達した・・・それが「飛び梅ってわけです。

大宰府天満宮前の「飛び梅」は三株ですが、それで大きな一本に見えます。その他、周辺には豪快ではありませんが、梅林があります。

さて2月頃に花が咲く梅の実が熟すころがツユ・・・で梅の雨。日本では、北海道や太平洋の中にある小笠原諸島に梅雨はありませんが、朝鮮半島や南部中国さらに台湾にも梅雨があります。ただ、東南アジア諸国の雨季の一種でもあります。わざわざ雨季ではなく、ツユと呼ぶところに、自然を敬い愛でるという、謙虚な文化があるのでしょう

子どもの頃、ちょっとした豪雨に雷がゴロゴロ、ピカッとくるとお年寄りたちが、

ああ!梅雨があけた!!

と云っていたことを思い出します。

2017年の北九州、18年の広島と岡山、ともに7月上旬でしたが、西日本は豪雨禍に見舞われました。今年の梅雨明け。直前の豪雨が大きくないことを、どうか、今年は穏やかなツユであってほしいと願います。