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国の消長ーEUを通らないヨーロッパ訪問で思うこと

所用で、ジュネーヴ、ロンドン2泊ずつの移動です。

2月2日の羽田空港、乗客や見送りの人々は80%程度、航空会社スタッフはほとんどマスク姿でした。

2019年12月に中国湖北省武漢市の海鮮市場に端を発した新型コロナウイルスの拡大は、2020年1月31日、WHO(世界保健機関)が、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と宣告しました。確かに、わが国を含むアジア各国のみならず、他地域にも波及し、感染者も死者の数も増えています。そして、肉眼では目に見えない、小っちゃなチッチャナ新型ウイルス(による感染症)が、今や実質的にアメリカと並ぶ大国となった中国の国の展望に大きな影響を及ぼしかねない、超大国中国が滅びるやもといった過激な記事まで現れています。

わが国では、超高齢少子社会が国の将来・・・大袈裟には存亡にかかわる懸念材料ですが、病気ー端的に申せば、ちょっと厄介な風邪引きでもありうる新型コロナウイルス感染症が、何と国の消長の一因になるという危険性があるというのです。太古の昔、自然災害や食糧難・・・天候異変による飢餓が集団を滅ぼし、古代、中世では戦争がある国を滅ぼし、ある国を繁栄させました。近代では、実際に滅亡してしまった国はないような気がします(不勉強ですみません)が、国の消長は、例えば、数年前、ギリシャに端を発した経済破綻と、現在のいくつかの、いわゆる破綻国家(横文字では、fragile/failed state 脆い/失敗した国 と云います)ともされる、紛争によって管理不能の国々があり、そして人口動態、感染症と、きわめて社会的要因が目立ちます。

ジュネーヴへの往路の中継地ロンドン ヒースロー空港では、マスク姿は、私が移動した範囲では、どなたもつけていない、つまりマスク姿ゼロでした。

そのイギリスは、3年7ヶ月かかったそうですが、失礼ながら、たいそう強引に事を進められるボリス・ジョンソン首相によって、やっと1月31日をもって、欧州連合(EU)から離脱できました。EUすなわちEuropean Union(欧州連合)とは、従来からあった欧州諸共同体(European Communities, European Community、 EC:同一機構で運営されてきたヨーロッパの3つの共同体である欧州石炭鉄鋼共同体<ECSC>、欧州経済共同体<EEC>、欧州原子力共同体<Euratom>に加盟していた国々が、1991年12月に始まり、翌年2月7日にオランダのマーストリヒトで調印され、さらに翌年1993年11月1日に発行した同名の条約を基にできたヨーロッパ諸国の連合体です。

ヨーロッパ圏外の、ごく普通の国民である私たちの日常生活には、あまりというか、ほとんど影響はありませんが、確か、これら一連の協議の主題が通貨と政治の統合だったことを、今回、思い出しました。ヨーロッパに旅行しますと、ユーロという貨幣単位がありますが、これはEUの産物です。が、ヨーロッパにあるスイスはEU非加盟なので、スイスフランです。

色々な会議を経て、28ヶ国のEUは、人口5億を超える巨大国家的存在として存在してきましたが、絶えず、問題があったことも事実です。なんせ、公用語24、通貨が10種類、失礼ながら、中世にはいがみあっていた国々が一緒にやるというのですから、ギクシャクしても・・・ですね。

思い出すのは、難民を扱っていた時、EU以前からあった、いくつかの国の間で、通関チェックなしの国境通過を可能にする条約・・・シェンゲン協定が、1997年に、改めて合意され、人々が自由にEU内を移動できることになったことです。が、最近では、この利点を悪用して、テロリストやその卵が、自由に往来する問題が生じているとか・・・人間の悪意は果てしないです。

イギリスが離脱したEUは、目下、27ヶ国になりました。今回は、非EUのスイスと、離脱したイギリスを訪問したので、私は、EUには入っていません。

往路のヒースローは静かでしたが、それは金曜の夜に離脱した後の週末だったからかもしれません。ジュネーヴで見たBBC放送では、ジョンソン首相が、激しい演説をなさっていました。とはいうものの、昨日と今日にすぐ何かがおこるのではなく、イギリスは、これからいつまでかは未定ですが、移行期間に入ります。期間中、経済面はこれまで通り、EU加盟国とほとんど同じく扱われるそうなので、最初は目立った動きは起きないとされていますが、昨夜お目にかかった純粋Britishイギリス人の公衆衛生専門家かつ起業家は、ちょっと首をすくめて・・・何でもありの日々が始まる・・・と懸念されていました。

次回、国の消長には日本のことを書きます。